マヒワ 06.11.14





冬をつれてくる野鳥



 「チュイーン、ジュクジュク」去年の冬に聞き慣れた懐かしい鳴き声が聞こえてきます。今年もマヒワがやって来ました。マヒワはシベリアなどで繁殖し、日本へ越冬に来る渡り鳥です。以前、南但馬自然学校では見られない野鳥でしたが、3年前から姿を見かけるようになりました。
 マヒワはスズメよりずっと小さく、飛んでいるときの姿は黄色い小鳥に見えますが、背中や脇には複雑な模様があります。おもに群れで行動し、遠くから声が聞こえたかと思うと、ザアーッと私の頭の上を、2度3度と旋回して、お目当てのヤシャブシの木に留まりました。マヒワはヤシャブシの実が大好物です。「チュイーン、チュイーン」にぎやかな食事が始まりました。
この写真には4羽のマヒワが写っていますが、左の3羽は鮮やかな黄色をしたオスで、右端の少し色が薄い1羽がメスです。メスのマヒワは、つま楊枝より細い枝を足でしっかりと握りしめ、くちばしで実を下から押し上げるようについばんでいます。こちらのメスは、おちょぼ口からごちそうがこぼれそうなほどほおばり、とっても満足そうな表情をしていますね。
 そのときです、この平和な食事光景が一変しました。群れの1羽が異変を察知してとびだすと、それにつられて群れ全体にパニックが起きたように一斉にザアーッと飛び立っていきました。人間の私は何も感じなかったのですが、敏感なマヒワたちは何らかの危険を察知したのでしょう。「マヒワは臆病なやつだ」なんて思わないでくださいね。力の弱いマヒワたちは、いち早く危険を感じ取り、逃げることが外敵から身を守る唯一の手段なのです。また、群れでいることも周囲を警戒するには有利ですね。

 マヒワは日本に渡ってからしばらくの間は高い山で過ごし、いよいよ寒くなると南但馬自然学校に下りてきます。今年はマヒワが下りてくるのが例年より半月ほど早いところをみると、冬はすぐそこまで来ているかもしれませんよ。
 
文責 増田 克也
 
  
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