コガラ 06.12.19




ベレー帽のジェントルマン



 みなさんは、シジュウカラやヤマガラといった野鳥の名前を聞いたことがありますか? このように、名前の最後に「カラ」や「ガラ」と付く小鳥の仲間をまとめて“カラ類”と呼びます。南但馬自然学校には、シジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、ヒガラの4種類のカラ類が暮らしていますが、今回の「自然のページ」は“コガラ”のお話をしたいと思います。

 コガラは丸っこく、ふわふわとした小鳥です。誰でも上の写真のような、かわいいコガラを見てみたくなるでしょう。では、どうしたらコガラに出会えるでしょうか。カラ類は秋から冬にかけて、“混群(こんぐん)”と呼ばれる10〜20羽の集団になって行動しますので、この混群を見つけることが近道です。運良く混群に出会えても、カラ類たちは、どれもよく似た模様や色をしています。特にコガラは、シジュウカラヒガラによく似ているので、混群の中からコガラを見分けるのは、少し難しいかもしれません。
 そこで、とっておきの見分け方を紹介します。混群に出会ったら、小鳥たちの頭に注目してください。コガラはおしゃれなベレー帽をかぶり、口の下にはあごひげをたくわえた、一見、ジェントルマン風です。この2点が確認できればコガラに間違いありません。

 コガラは南但馬自然学校で、一年中見られる野鳥です。春から夏にかけては、朝来山の高いところまで登らないと出会えませんが、秋になると建物がある、標高300m付近まで下りてくるので、部屋の中から窓越しに姿を見られることもあります。カラ類の中ではヒガラの次に小さく、体長は約12pほどで、クヌギの葉っぱに隠れてしまいそうなサイズです。動きはとてもすばしっこく、あちらの枝からこちらの葉っぱへと少しもじっとしていません。
 コガラは、クモや虫を木の皮や枝の先からくちばしを器用に使って引っぱり出して食べます。こちらのコガラもおいしそうな虫を見つけたようです。すると次の瞬間、体の大きなヤマガラがやってきて追っ払われてしまいました。ヤマガラはコガラの様子をよく見ていて、エサを横取りしてしまいます。同じ群れの中で家族のようにしていても、時には意地悪もするようですね。

 冬は葉っぱが落ちて、野鳥の姿がよく見られるので観察にはもってこいの季節です。部屋の中で縮こまってないで、思い切って外に飛び出してみましょう。うまく混群に出会えれば“ベレー帽のジェントルマン”があなたをお出迎えしてくれますよ。


文責 増田 克也

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