キジ  06.05.02    
きれいな羽は誰のため?



 南但馬自然学校では5月になると、森のスポーツ広場下の田んぼで、地元、迫間地区のみなさんに“田植えの先生”になっていただき子どもたちが田植え体験をします。
 その田んぼに、子どもたちより一足先にやって来るのが上の写真の野鳥です。名前は分かりますか?昔話の“ももたろう”で活躍する鳥。そうです、この鳥はキジですね。
 
 キジをよく観察していると、では、体のある部分に違いがあることに気づきます。みなさんは分かりますか?では、望遠鏡でのぞいてみましょう。どうですか・・・?もう分かったでしょう。
 顔に注目してください。赤い部分の大きさが全く違いますね。この部分を“肉ぜん”と言いますが、春になると肉ぜんが大きくなって垂れ下がります。
 もしも、近くにキジのはく製があれば見てください。はく製の肉ぜんが小さいのは、狩猟期(11月15日〜2月15日)に捕られたものだからですね。キジは日本の国の鳥「国鳥」に指定されていますが、不思議なことに狩猟鳥(鉄砲やワナで捕っていい鳥)でもあります。

 上の写真のように、大きな肉ぜんやきれいな羽を持っているのはオスです。一方メスはどうでしょう・・・オスと比べてとっても地味な羽の色ですが、上手に周りの景色に溶け込んでいます。この色はキツネやタカなどの敵から目立ちにくく、身を守ることができます。メスだけがこんなに地味な色をしているのは、卵を産み子孫を残す役割があるからでしょうね。

 「ケンケン、ドド、ドドド」今の時期、オスは大きな声と羽音で、自分の縄張りを他のオスに知らせます。人間語では「ここは俺の縄張りだー!他のやつは入ってくるな!」とでも言っているのでしょう。
 こんな忙しい時でも、オスは身だしなみを欠かしません。尾羽の付け根には、特別な化粧油が出てきます。これをくちばしで、ていねいに全身の羽にすり込んでいきます。こんなにおしゃれをするのは、羽を清潔に保つためですが、キジには他にも理由があります。それはきれいなオスはメスにもてるからです。キジやクジャクのオスがこんなに派手で美しいのは、メスが少しでもきれいなオスを結婚相手として選んできた結果だと言われています。「あ〜 人間でよかった」胸をなで下ろす私でした。
 
文責 増田 克也

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