キビタキの独唱会
南但馬自然学校の朝来山には、春から秋にかけて“キビタキ”という渡り鳥が暮らしています。オスは黄色と黒色のコントラストに、白い羽のアクセントがよく目立ち、特に胸から喉(のど)にかけて広がる黄色のグラデーションは思わずため息が出るほど艶(あで)やかです。この喉の色は、光の当たる角度によっては濃(こ)いオレンジ色にも変化して、いつまで見ていても飽(あ)きない美しさです。
キビタキは姿だけではなく、さえずりも艶やかです。その声は、オーケストラなどで使われる“ピッコロ”という小さな横笛の音色にそっくりで大変よく響(ひび)き、複雑な節回しの中に他の野鳥のさえずりを即興(そっきょう)で取り入れる、生まれながらの音楽家ぶりをみせてくれます。
さあ、それではキビタキの独唱会にご案内しましょう。キビタキのアイコンをクリックして鑑賞(かんしょう)してください。
朝の散歩で、こんな声が聞こえてきたら清々(すがすが)しいですね。
とても複雑なさえずりで、二部構成になっています。
祭ばやしのような、日本的なフレーズです。
「ちょっと来い、ちょっと来い」と聞こえる“コジュケイ”という野鳥に似た声です。
いかがでしたでしょうか。みなさんもキビタキの独唱会を“生”で聞いてみませんか。会場は明るい雑木林、そして開演時間は未定ですが、朝のうちがいいでしょう。また、独唱会は梅雨が明け夏の盛りを迎(むか)える頃(ころ)になると、来年の春まで休演となりますのでお早めにどうぞ。
文責 増田 克也
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