久しぶりの雪



 2月2日、南但馬自然学校に雪が降りました。午前8時頃から舞い始めた雪は、あっという間に10pほど積もり、この冬、初めての本格的な積雪となりました。これまで暖かい日が続き、雪かきの苦労はありませんでしたが、冬らしくない冬に何かもの足りなさを感じていました。それだけに、今回の雪には思わずはしゃいでしまいました。
 雪の止み間をぬって、朝来山の雲海展望台まで登ってみると、寒々としたモノトーンの風景が広がっていました。南但馬自然学校の本館棟、大屋根広場や食堂棟もすっぽり雪をかぶっています。ピーンと張りつめた冬の空気は、遠くの山々にまで手が届きそうなほど澄みわたり、山の頂には重たい雪雲が今にも覆い被さろうとしています。これでこそ但馬の冬風景です。
 
 景色を眺めていると、ふと頭に浮かびました「こんな雪の日は野鳥たちはどうしているのだろう」地面が雪に閉ざされ、エサ採りにさぞ苦労していることでしょう。そこで、南但馬自然学校に野鳥の姿を探してみました。
 
 まず出会ったのは、一つだけ残ったカキの実をつついている“ハシブトガラス”です。最後の実を食べ尽くすと、雪の空に飛び立っていきました。白と黒の世界で、カキの実の赤が今でも目に焼き付いています。

 降りしきる雪に今にも埋もれてしまいそうになっているのは“カシラダカ”です。彼には雪の下にある食べものがわかるのでしょうか。降る雪をものともせず一心に雪をかきわけていました。

 “コゲラ”はズズメほどの日本で一番小さいキツツキです。普段は樹木の幹や枝にとりつきエサを捕っていますが、この日は休耕田で大きく成長した雑草の茎をつついていました。きっと虫が潜んでいるのでしょう。

 田んぼでは、積もった雪から、稲の二番穂が突き出しています。そのモミを上手にむいて食べているのは“ホオジロ”です。ここにはまだたくさんの穂があるので、当分エサには不自由しないですみそうです。

 雪が止み、雪原に“セグロセキレイ”が舞い下りました。胸を張り、足取り軽くかっ歩するも、エサ探しには余念がありません。「あっ!これ食べられる?

 この他にも、車のわだちに現れた地面や、小川の中州でエサを探すものなど、雪の日も野鳥たちはそれぞれ工夫をこらし、たくましく暮らしていました。

 になると天気は回復し、翌3日は澄みきった空が広がり、その空の青を映した氷と雪が辺り一面ブルーの朝を誕生させました。今冬一番の冷え込みに南但馬自然学校の朝来山は空気も凍らんばかりの氷点下7度まで下がり、尾根の木々は白い氷の衣装をまといました。こんな冬らしい朝があと何日訪れるのでしょう。すでに草木の芽は動き始め、このまま春に向かいそうな南但馬自然学校です。


文責 増田 克也
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