ハイイロチュウヒ 08.01.22




雪の日に珍客来る



 先週は何度か寒波が訪れ、元日以来の雪をもたらせました。朝起きると昨日までと打って変わり辺りは白一色です。こんな日に野鳥たちはどうしているのでしょう。そこで南但馬自然学校の周辺に野鳥たちの姿を探してみました。

 まずは、昨年末より越冬をしている“タゲリ”のねぐらに向かいます。田んぼでうずくまり、まだエサ探しへ出発する気配はありません。「いち、にい、さん・・・全部で7羽、今日もみんなそろってるな」点呼を済ませてその場を後にしました。

 こちらは既に食事中の“ツグミ”です。普段は田んぼや河原でよく見かけますが、雪の日は庭先のピラカンサを求めたようです。
 数日前に水が張られた小さな田んぼでは“アオサギ”がエサを探しています。彼らは雪に閉ざされてもエサが捕れる場所をよく知っていて目ざとくやってきます。
 
 ウメの枝に
とまるスズメのような小鳥を見つけました。少しずつ近寄り双眼鏡で見てみると、ユーラシア大陸北部で繁殖し、冬を日本などで過ごす“カシラダカ”でした。数羽の群れでいることが多いカシラダカですが、今日は仲間とはぐれたのか、たった1羽で枝先にたたずんでいました。

 カシラダカと対照的なのはスズメたちです。100羽近い群れは誰をリーダーとすることもなく、枝から枝、枝から地面へと水の流れのように移動していきます。

 こちらも群れで行動している“カワラヒワ”が、アスファルトの黒く覗いた路上に群がっています。すぐ近くの田んぼでエサを捕っていた別の群が何かに驚いたように一斉に飛び立ちました。どうしたことか血相を変えて、上へ下へと蛇行する奇妙な動きを繰り返しています。
 そのとき、カラス大の鳥が視界に入りました。一見してトビかと思いましたがなんとなく雰囲気が違います。地上すれすれを、なめるように獲物を追う姿。よく目立つ白い腰。時折見せる、羽をV字型に振り上げた滑空。この鳥はまちがいなく北国のタカ、“ハイイロチュウヒ”です。その後、目で追うこと十数秒、田んぼや草原から小鳥を追い出しながら遠くへ消えていきました。

 ハイイロチュウヒは大陸で繁殖し、日本には冬鳥として全国に渡来しますが、広い田んぼや草原がない本校周辺では、おそらく初確認でしょう。今冬は各地でタカの渡来数が多いと聞きます。どうやら当地もその恩恵を受けているようです。寒波と共に突然現れた珍客に次回の雪が楽しみなこの頃です。

文責 増田 克也

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