山の秋と里の秋
南但馬自然学校の木々はまだまだ色づいていませんが、繰り返し聞こえるニホンジカの声に少しずつ秋の深まりを感じるこの頃です.。
青く澄みきった高い空に誘われて、山と里に秋を探しに出かけてみました。
まず出会ったのは、薄暗い山の中でもよく目立つユキノシタ科の植物、“ダイモンジソウ”です。手足をいっぱいに広げ、体操でもしているかの様な白い花を咲かせています。この名前の由来は、花が“大”の文字に見えることから名付けられたようです。
沿道で青紫色の花を風に揺らせているのは“アキチョウジ”です。2pほどの細長く突き出した花には余程おいしい蜜があるらしく、数匹のクマバチがひっきりなしに訪れていました。
小ぶりな花を控えめに咲かせている“クロバナヒキオコシ”には“キイロスズメバチ”が蜜を求めていました。凶暴で肉食のイメージが強いキイロスズメバチですが、クロバナヒキオコシの小さな花に一心にとりつく姿は愛らしく見えます。側では毛虫が「モシャモシャ」と食べる音が聞こえてきそうなほど豪快に花びらをほおばっていました。
次に山を後にして里へ足を向けることにしました。田んぼの畦を彩る“ヒガンバナ”も幾分赤味が失せ、そろそろ終わりを迎えているようです。大豆畑の周辺には、首を長くして待ちわびた“ノビタキ”が訪れていました。「季節を告げる渡り鳥」、ノビタキの姿を見ないと秋の実感が湧きません。オスのノビタキは春に訪れた時には、タキシードを着た様な夏羽でしたが、繁殖を終えた今は、メスによく似た地味な冬羽にすっかり着替えています。
畑に突き立てられた竹竿でノビタキが見つめる先には、刈り取りが終わり二番穂が伸びた田んぼに2種のサギが同じポーズで佇んでいました。
文責 増田 克也
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