ベニマシコ 07.12.18




雨のち曇り時々晴れ



 天気図の等圧線が縦縞に描かれ西高東低の気圧配置と天気予報が告げた朝、みぞれに変わりそうな冷たい雨が降る南但馬自然学校周辺を散策しました。

 里の田んぼを一巡りすると、ツグミが畑の隅で身体に乗せた小さな雨粒を光らせ丸くなっていました。これまでツグミといえば、背筋をピンと伸ばし活発なイメージを持っていただけに、寒げに雨を耐える姿は印象に残りました。
 ツグミと対照的なのはセグロセキレイです。この寒空の下、勢いよく水浴びをする姿を震え上がる思いで見届け、次は山へ足を向けました。

 山の麓にさしかかると雨は幾分弱まり、ほんの少し日が差し込んだかと思うとまた曇るといった不順な天候です。そんな空を恨めしそうに見上げていると、聞き覚えのある甲高い声が二度三度と山裾に響いてきます。声の主はどうやら茂みに潜んでいるらしく、なかなか姿を見せてくれません。その時、太陽のスポットライトが茂みを照らし、突き出た雑草の先端にひょっこり姿を現したのは予想通りベニマシコでした。
 ベニマシコは北国から越冬のため当地へ渡ってくる野鳥です。大きさはスズメほどですがスズメよりずっとスマートな体型で、オスは顔と胸から腹にかけての渋い赤色が特徴です。
 程なく、ベニマシコはイラクサ科のアカソと思われる実を小さなくちばしでついばみ始めましたが、僅か十数秒後に「フィフィ」と甲高い鳴き声だけを残して飛び去り、再び姿を現すことはありませんでした。ここにはイタドリセイタカアワダチソウなど、彼らの好物が豊富にあるのでまた近いうちに再会できることでしょう。

 山を後にし再び里に下りると、スズメたちが群れ始め本格的な冬の訪れを告げているようです。天候は夕刻になっても相変わらずの時雨模様で、分厚い雲の隙間から垣間見るつかの間の夕日を望みながら帰路に着きました。

文責 増田 克也

 
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