アセビ 08.02.12




早咲き競争よ〜いドン!



 このところの天候は雪が続き南但馬自然学校はまっ白です。春はまだまだ先のように感じますが、この時季になると、今年はどの植物が一番に花を咲かせるのか気になるところです。

 「早咲き競争よ〜いドン!」2月4日、立春のスターターピストルを合図に、いよいよレースの始まりです。そこで勝負の行方を見届けるべく「ザックザック」雪を踏みしめ南但馬自然学校のフィールドに分け入りました。

 南但馬自然学校での“早咲き一番”は、これまでの経験から大方の予想はついています。毎年エントリーするのはマンサクウメ。両者はいつもトップの座を競い合うライバル同士で、他の者を全く寄せ付けない“早咲き”の強者たちです。
 
 まずは、マンサクの様子はいかがでしょうか。マンサクの語源は「まず咲くマンサク」からきていると言われるほど、早咲きを誇る植物ですが全く花の気配はなく雪まみれです。後日、枝の雪が落ちてからのぞいてみると、まだつぼみを固く閉じたままで、暫くは咲きそうにありません。

 おや、こんな所に一輪、ウメの花が開いていますよ。やりました!今年の“早咲き一番”は去年に引き続きウメの勝利です!
 ちょっと待ってください。これは事務室の薪ストーブで暖められ花を咲かせたウメでした。これはとんだフライングです。では、屋外のウメはというと、やっぱりマンサクと同じで堅いつぼみのままでした。

 「今年の早咲き競争の決着はまだ当分先だな」そんなことを思いながら帰り道をたどっていると、足下にあるこんもり茂った緑の陰にある、小さな白いものが目に留まりました。「雪かな?」腰を低くしてのぞき込むと、釣り鐘形の小さな花をいくつも付けているではありませんか。

 この白い花を開かせたのはアセビです。例年なら3月上旬から花を咲かせますが、この株は特に早咲きのようです。あっけなく今年の“早咲き一番”は予想外のアセビで決着がつきました。
 この栄誉を知ってか知らずでか、次に咲かせる大きくふくらんだつぼみに白い雪のティアラを誇らしげに乗せ、ひっそりと佇んでいました。

文責 増田 克也


“自然のページ”のご意見ご感想をメールでお寄せください
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp