派手やかなカムフラージュ




 スズメより少し小さく、オスは美しい色合いを持つ、キビタキという小鳥をご存じでしょうか。主に東南アジアから繁殖(はんしょく)のため、日本などにやってくる渡(わた)り鳥で、ほぼ全国の山林に分布する、本校でもお馴染(なじ)みの野鳥です。

 この時季、子どもたちが宿泊(しゅくはく)する、生活棟(せいかつとう)の周辺に広がる雑木林では、毎日早朝から、とても文字では表現できない複雑な節回しの清々しい声を聞かせてくれます。
 校内を20分ほども散策すれば、建物があるエリアだけでも数カ所から、さえずりやライバルと争う声が聞こえますので、本校におけるキビタキの生息密度は相当高いものと思われます。

 ところが、一度(ひとたび)キビタキを探そうと、声のする林に目を凝(こ)らせても、なかなか見つけられません。キビタキの体色は、喉(のど)から広がるオレンジ色のグラデーションや、黄色、黒色そして白色と、大変よく目立つはずですが、これが不思議なくらい見つけられないのです。どうしてでしょう?
 それは、一見カラフルに思えるキビタキの色合いは、林の中で葉を透過(とうか)する光に包まれると、これが見事なカムフラージュとなるのです。

 今日も、本館の裏側から生活棟へ続く雑木林をテリトリーとするキビタキの声が、事務室まで響(ひび)いてきます。それでは、軽やかにさえずり、頭を掻(か)き、そして虫を捕(と)るなど、すばしっこく動き回るキビタキの様子を上のフレームからご覧ください。

文責 増田 克也


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