三つの光でホイホイホイ


 本校のスギ林に、東南アジアなどから日本へ渡り、繁殖(はんしょく)する野鳥、サンコウチョウがやって来ました。
 オスは上の写真のように、黒い身体に白いお腹。アイリングと呼ばれる目の周りと、くちばしがコバルトブルー。そして、身体の倍以上もある長い尾羽。一目見るなり忘れることができない特徴的(とくちょうてき)な姿をしています。
 一方、メスは、茶色の背中に短い尾羽。アイリングも控(ひか)え目でシックな装いです。

 こんなに個性的なサンコウチョウですから、毎年、是非、会いたいと願っても、そう簡単にはいきません。それは、案外用心深い上、スギやヒノキの暗い林を住処(すみか)として、ほとんど外へは出てこないからです。加えて、近年、東南アジアなど、越冬地(えっとうち)の森林破壊(しんりんはかい)によって生息環境が悪化しているため、サンコウチョウの数そのものが減少していると言われています。

 実際に例年、校内で声を聞く機会はほとんどありません。ところが、どうしたことでしょう、今年は3カ所のスギ林から「ホイホイホイ」と軽やかな声が響(ひび)いてくるではありませんか。これは、近年にない出会いのチャンスです。
 林の縁(ふち)で声が聞こえる方向を、見つめていると、暗い林の中をヒラリヒラリと移動するものがありました。次の瞬間(しゅんかん)、黒い影が枝にとまると、いきなり「ホイホイホイ!」
 この鳥は紛(まぎ)れもなくオスのサンコウチョウです。混み合ったスギ葉の間を縫(ぬ)うように、そっと見通せる場所へ移動し、どうにかシャッターを切りました。

 撮影後に、大口を開けてさえずるサンコウチョウの写真をよく見ると、なんと口の中は黄緑色で、その上、さりげに脚(あし)までコバルトブルーをしています。これは写真を撮ることで気づいた新たな発見でした。

 最後に、サンコウチョウという名前の由来について触(ふ)れておきます。サンコウチョウは漢字で「三光鳥」と書きます。これは、この鳥のさえずりが、「ツキ(月)、ヒー(日)、ホシ(星)ホイホイホイ」と聞こえるところから名付けられました。
 それでは、みなさんにも“サンコウチョウの声”を聞いていただきましょう。どうですか、「月、日、星」三つの光が聞き取れたでしょうか。

文責 増田 克也


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