雪の年明け


 大晦日(おおみそか)の午前から降り始めた雪は、辺りを銀世界へと一変させました。南但馬自然学校の積雪は約30センチほどでしたが、但馬の北部ではライフラインや交通機関に影響(えいきょう)を及(およ)ぼすほどの大雪となりました。

 翌、元日の朝には天候は回復し、東から望む本校のバックグラウンド朝来山は、雪と青空のコントラストも鮮(あざ)やかに光り輝(かがや)いています。そこで、気持ちよく晴れ上がった青空の下、辺りの散策に出かけることにしました。

 昨夜の雪で、アイスバーンになった道路を歩いていると、「トロロロロロ、トロロロロロ」と心地よいトレモロが響(ひび)いてきます。それは春先の繁殖期(はんしょくき)に、キツツキが木を突(つつ)いて互(たが)いにコミュニケーションをとる、ドラミングと呼ばれる音によく似ていました。
 音がする方向にある尾根から飛び出した枯(か)れ松を見ると、米粒(こめつぶ)ほどのものが、幹にくっついています。カメラの液晶画面(えきしょうがめん)で拡大すると、脇腹(わきばら)の黒い縞模様(しまもよう)が特徴(とくちょう)のキツツキ、オオアカゲラでした。
 2011年最初の野鳥との出会いは、オオアカゲラがドラミングで合図をして居場所を知らせてくれたように思えました。

 次に、田んぼへ移動すると、雪で餌場(えさば)を失った小鳥たちが、稲(いね)のひこばえに群れていますオオカワラヒワスズメは、ひこばえに掴(つか)まりモミをついばみ、雪の上に降り立ったホオジロは、「エイ!」とばかりに稲穂(いなほ)を引っ張り奮闘中(ふんとうちゅう)です
 こちらは、稲穂には目もくれず、無心に雪を掘(ほ)るカシラダカです。いつの間にか、一羽が加わり二羽で並んで掘り始めました。
 何か不安を感じたのか、サッと頭を上げた、そのくちばしにはしっかりと海藻(かいそう)のような餌をくわえています。雪の下にはさぞかし食べ物がたくさんあるのでしょう。

 元日のいい天気はつかの間で、午後になると灰色の雲に覆(おお)われ

                 鉛色の空を飛ぶカルガモの群れ

、再び雪になりました。大晦日の思わぬ雪に、人は除雪に追われ鳥たちは餌探しに大わらわ、正月気分はお預けの年明けになりました。

文責 増田 克也


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