リョウブの花は大にぎわい



 7月に入り、リョウブの花が咲きました。白い小さな花が房状(ふさじょう)に集まり、先端(せんたん)に向かって順に花を咲かせていきます。蒸し暑い時季にあって、白い花は目に涼(すず)しく遠くから眺(なが)めるだけでも楽しめます。
 リョウブの花は見た目だけではなく、よい香りがするため、多くの昆虫(こんちゅう)を引き寄せます。そこで、脚立(きゃたつ)に上がり、花に集まる昆虫の姿を探してみました。

 まず、目に付いたのは、上の写真にあるクマバチです。胸の毛が黄色いチョッキを着ているように見える大型のハチですが、温厚な性質で人を襲(おそ)うようなことはありません。ですから、こんなに近くで食事の様子を見ていても安心です。
 「おや、ここにもクマバチ?」と目をやったハチは、形や大きさこそクマバチとそっくりですが、黄色のチョッキがありません。これは黄色いパンツがトレードマークのクロマルハナバチです。
 次に見つけた虫もハチの仲間ですが、クマバチやクロマルハナバチと似ても似つかないスリムな体したジガバチです。以前、ジガバチが幼虫の餌(えさ)にするためイモムシを捕(つが)まえるところに出会ったことがありますが、成虫は花の蜜(みつ)を好むようですね。

 花の中に頭を突っ込んでいたコガネムシの仲間、ヒラタハナムグリがようやく顔を上げて姿を見せてくれました。その周りには、名前も知らない、小さな小さなゾウムシがたくさん群がっています。ヒラタハナムグリの体長は5o程度なので、このゾウムシがいかに小さいかがわかってもらえると思います。
 ヒラタハナムグリは、その後、となりにやってきたジガバチと仲良く並んで、体中、花粉まみれになりながら食事に精をだしていました。

 その他にも、つぼみにつかまり、チューインガムをふくらませるように口から水滴(すいてき)を出すハナアブの仲間。黒と黄色の縞模様(しまもよう)でハチに擬態(ぎたい)するオオヨツスジハナカミキリ。羽にアルファベットの“J”の文字が対で並ぶエグリトラカミキリなど、リョウブの花は1日中昆虫たちで大にぎわいでした。

文責 増田 克也


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