ヒメツチハンミョウ


まだ虫の姿もまばらな3月の初め、本館の裏口に黒光りするヒメツチハンミョウを見つけました。

寒いのか身体を丸めてほとんど動かずにいます。次の日、出勤するとまだ同じ場所でじっとしていました。


ヒメツチハンミョウのことを調べると、幼虫の変わった成長課程が紹介されていました。

土の中から孵化(ふか)した幼虫は、アザミなどの花によじ登ります。そして蜜(みつ)を求めてやって来た

ハチの体にしがみつき、そのままハチの巣に運ばれると、そこにある卵や蜜を食べて成虫になります。

一見、らくちんに思えますが、登る花を間違えたり、ハチ以外の虫にしがみつくと生き残ることはできません。

無事、成虫になれるのは、チャンスに恵まれた一握(ひとにぎ)りの幼虫だけということです。

本館の壁(かべ)につかまる、このヒメツチハンミョウも、幾(いく)たびもの試練を勝抜(かちぬ)いた一匹なのでしょう。