雪の日に



 2月6日、朝起き抜(ぬ)けに窓の外をのぞいてビックリ!昨日までと打って変わり、辺りは一面銀世界です。雪の欠片(かけら)もなかった南但馬自然学校にも雪が降り積もり、積雪はこの冬一番の25センチに達しました。
 こんな雪の日に野鳥たちはどうしているのでしょうか。そこで辺りを散策してみることにしました。

 まだ薄(うす)暗い田んぼへ向かうと、畦(あぜ)の枯(か)れ草につかまったホオジロが目にとまりました。どうした訳か、身体の半分が雪に埋(うず)もれたまま全く動きません。不思議に思い近づくと、ハッと気がついたように飛び出して行きました。

 川の中にはチドリの仲間、ケリの姿がありました。普段は田んぼで餌(えさ)を捕(と)っていますが、この雪ではとても無理でしょう。川の流れに立ちつくす姿に「水は案外温かいのかも・・・?」と思った瞬間(しゅんかん)、ブルブルッ!全身を震(ふる)わせました。

 暗いスギ林の地面から「チッ、チッ」と小さな声が聞こえてきます。声のする方へ少しずつ近づくと、いきなり足元から数羽の小鳥が一斉(いっせい)に飛び立ち、林の奥にある茂(しげ)みに逃げ込み見え隠(かく)れしています。
 その場でしばらく待っていると、十数メートル手前の横枝に1羽がもどってきました。双眼鏡(そうがんきょう)で見ると黄色いお腹がよく目立つアオジでした。どうやら雪の浅いスギ林で餌を採っていたところを驚(おどろ)かせてしまったようです。アオジたちを気遣(きづか)い早々にその場を立ち去ることにしました。

 雑草が生い茂る休耕田では、メスのベニマシコが雪で閉ざされた地面を避(さ)けるようにセイタカアワダチソウの茎(くき)につかまっています。このベニマシコは先端(せんたん)の穂(ほ)を食べようとしていますが、すぐに飛び上がらずなかなか慎重(しんちょう)です。
 じっくり時間をかけて先端までよじ登ると、辺りを見回しいっそう警戒(けいかい)をしている様子です。普段は茂(しげ)みに潜(ひそ)むベニマシコにとって、外敵などに身をさらすことになる先端での食事は大変危険な行為(こうい)なのでしょう。しっかり安全を確かめた後、ようやく食べはじめたかと思うと、何かに驚いたのか慌(あわ)てて茂みにもどってしまいました。

 雪の日は、外に出るのが億劫(おっくう)になりがちです。しかし、意外な野鳥との出会いや、雪の上に残された足跡(あしあと)の観察など雪の日ならではの楽しみもあるものです。みなさんも思い切って雪の日に出かけてみてはいかがでしょうか。

文責 増田 克也

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