ざんばらけ”はNo good



 冬になりタゲリが姿を見せました。タゲリはチベットや中国などから越冬(えっとう)のために日本へやってくる渡り鳥で、ハトほどの大きさの野鳥です。
 一番の特徴(とくちょう)は、冠羽(かんう)という頭から後ろへ向けてピンと伸(の)びるチョンマゲのような羽です。ここさえ見落とさなければ、バードウォッチングの初心者でも、すぐに識別できるほど個性的な姿の持ち主です。

 ゆらゆら風に揺(ゆ)れる冠羽を見ていると、ふと考えることがあります。「いったいこのチョンマゲは何のために付いているのだろう?」
きっとこれがなくても空を飛べるだろうし、餌(えさ)だって採れるでしょう。そうすると、やはりこれは「飾(かざ)り羽」と解釈(かいしゃく)するのが自然ですね。「チョンマゲが美しいオスはメスからもてる!?」そんなこともあるのかもしれません。
 ところで、但馬地方の方言で髪(かみ)が乱れている様子を“ざんばらけ”と言いますが、チョンマゲが“ざんばらけのタゲリ”はどうもみすぼらしく見えてしまいます。当のタゲリもその辺りは心得ているのか、水浴び羽繕(はづくろ)いと身体の手入れに余念がありません。

 ひとしきり、羽繕(はづくろ)いを終えると「ミュー」という子猫(こねこ)のような鳴き声を残して空に舞(ま)い上がり、ふわふわと軽い羽ばたきを繰り返しては南の方角へ小さくなっていきました。この冬は、個性豊なタゲリたちが目を楽しませてくれることでしょう。

文責 増田 克也

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