特徴満載!赤色のヘビ
南但馬自然学校では7種類のヘビが棲(す)んでいますが、そう何度も出会えないのがこのジムグリです。現に今年の出会いは春から2度しかなく、1度目はアッと言う間に林の中へ姿を消してしまいましたが、今回は写真を撮(と)らせてくれました。それでは、兵庫県版レッドデータブックで要注目種とされているジムグリを紹介(しょうかい)しましょう。
ジムグリに出会ってまず目を引くのは、体の赤い色でしょう。図鑑(ずかん)によるとジムグリの色は変化に富み、その個体や地域によって差があるらしいですが、これまで見た本校のものは幼いヘビは赤く 、成長するにしたがって赤味が失せる 傾向(けいこう)にあります。今回出会ったジムグリは体長50pほどでしたが、赤いところをみると、まだ成長過程にあるようです。
体の模様も独特です。胴体(どうたい)を持ち上げたときに、わずかに見えるお腹の鱗(うろこ)には、黒鍵(こっけん)と白鍵(はっけん)が並ぶピアノの鍵盤(けんばん)に似た市松模様(いちまつもよう)。それに、頭にある黒い矢印の模様もジムグリが進む方向を指し示しているようでユニークです。
ところで、この“ジムグリ”というなんともヘビらしくない名前は、どこから来ているのでしょう。これは土の中によく潜(もぐ)ることから付けられたようです。名前の由来は体の特徴(とくちょう)としても現れています。
それでは口元に注目してください。上あごが下あごを包み込むように被(かぶ)さっていますが、これは土に潜るときに口の中に土が入らないような構造になっているそうです。
これまで校内で出会ったジムグリは、比較的(ひかくてき)おとなしく、威嚇(いかく)などされたことがありませんでしたが、今回のジムグリは私のことがよほどお気に召(め)さないのか、何度かファイティングポーズを見せると、しなやかに体をくねらせアスファルト道路を横断して薮(やぶ)の中に姿を消しました。
特徴満載(とくちょうまんさい)の赤いヘビ、ジムグリ。次に出会った時にも、じっくり観察させてほしいものです。
文責 増田 克也
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