アカヤマドリってどんな鳥?



 朝来山の山頂へと続く、自然観察路きつねコースにオレンジ色のきのこを見つけました。傘(かさ)を少し開かせたまだ幼いきのこでしたが、地面からニョキッと突き出した太い柄(え)はとても力強く感じます。
 名前を調べようと図鑑(ずかん)をパラパラめくると、特徴(とくちょう)がある色と姿からすぐに見つけ出すことができました。その名前は、アカヤマドリ(赤山鳥)・・・なんともきのこらしくない名前です。一般的にきのこと言えば“シイタケ”とか“マツタケ”など最後に「タケ」が付くものが多いですが、アカヤマドリとは山に棲(す)む鳥の仲間と勘違(かんちが)いしてしまいそうですね。

 次の日、アカヤマドリの様子を見に行くと、まだだれにも採られることなく、急な上り坂の傍(かたわ)らにひっそりと佇(たたず)んでいました。昨日に比べて大きく成長し、開いた傘のひび割れからは白い肉質がのぞいています。近くから傘のてっぺんを見ると、深いしわが刻まれ、まるで人間の脳のようです。
 ところで、図鑑によるとこのヤマアカドリは大変おいしいきのこで、その味は一度食べると忘れられないとか・・・「ちょうど今日辺りが食べごろかな?」ふとそんな思いが頭を過(よ)ぎりましたが、今回は成長の過程を観ることにしてそのまま下山しました。

 それから3日後、再びアカヤマドリを訪ねると自慢(じまん)の傘が溶(と)けはじめ、ホラー映画にでも出てきそうな見るも無惨(むざん)な姿になり、傘の内側には無数の小さな虫が取り付いていました。

 アカヤマドリが発生したきつねコースには他にも、髭(ひげ)を蓄(たくわ)えたお爺(じい)さんのようなフサヒメホウキタケ、漢方薬で有名な霊芝(れいし)の別名を持つマンネンタケ、光に透(す)けた傘が美しいヌメリツバタケなどが姿を現しました。
 南但馬自然学校の季節は、きのこたちに導かれるようにゆっくりと秋に向かっているようです。

文責 増田 克也

“自然のページ”のご意見ご感想をメールでお寄せください
Email mtajimashizen@pref.hyogo.lg.jp