あんたはだれや?



 雨が降り出しそうな夕方のこと、暗くなり始めた河川敷(かせんじき)を通りかかると、遠くにムクドリといっしょに餌(えさ)を探す鳥がいました。地面をトコトコと足早で歩いてはピタリと止まるその動作は、毎日のように目にするツグミ
よく見かける一般的なツグミ

のものでしたが、その鳥はツグミと比べて体の色が薄(うす)く、模様も違(ちが)うため、数が少ない渡り鳥のハチジョウツグミのように思われました。そこで、そっと近づいて写真を撮り確認することにしました。

 撮影した写真を見返すと、胸はレンガ色に黒い斑点(はんてん)、背中は黒みがかった灰色で羽根には白い縁取(ふちど)り、そして尾羽を広げるとよく目立つレンガ色など、どれもツグミにはない特徴(とくちょう)がみられます。やはりこの鳥はハチジョウツグミなのでしょうか?

 図鑑(ずかん)などで調べると、「ハチジョウツグミとツグミは、どちらもシベリアやロシアで繁殖(はんしょく)し、冬は中国南部や台湾(たいわん)、日本などに渡るが、ハチジョウツグミは日本に少ない。また、体の色や模様はいくつものバリエーションがあり、ツグミと明確に分けることは難しい。」と書いてありました。

 改めて、写真を並べてツグミと比較(ひかく)すると、色、模様ともかなりの違いがあり、ただのツグミではないことがわかります。今回、残念なことに、「この鳥はおそらくハチジョウツグミだろう」程度で名前までは明らかにできませんでしたが、このような不思議な鳥に何度も首を傾(かし)げながら、いろいろと調べるのも楽しいことですね。

文責 増田 克也

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