ウグイス 09.03.03 




季節は足踏み



 2月26日の朝、南但馬自然学校で今年初めて、ウグイスのさえずりを聞きました。寒い時季には「ジャッジャッ」と鳴いていたウグイスですが、このところの春めいた天候につられてさえずり始めたのでしょう。
 それでは、今季初のウグイスの声を聞いてください。いかがでしたでしょうか? 控(ひか)え目な声で、とても見事なさえずりとは言えませんが、それでも春の訪れを予感させるウグイスのさえずりはいいものです。
 
 ウグイスの初音(はつね)を聞いたこの日は、とてもいい天気になりました。近くの川では、冬を日本などで過ごすヒドリガモのペアが、陽気に誘(さそ)われ岸に上がり柔(やわ)らかな草をおいしそうについばみ始めました。彼らは、間もなく生まれ故郷に向けて旅立ちます。今日の暖かい日差しに本能が駆(か)り立てられるのでしょうか、茶色い首のオスは、すくっと頭を上げると何かを偲(しの)ぶように遠くを見つめ、切ない声を上げていました。

 2月上旬(じょうじゅん)から、ちらほら花を咲かせ始めたオオイヌノフグリは、田んぼの畦(あぜ)一面に広がり、つぼみをふくらませた山のミツマタも、春を今や遅(おそ)しと待ちわびているようです。
 しかし、物事は一足飛びには進みません。その後の思いがけない雪に季節は足踏(あしぶ)みをしています。初音を聞かせた春告鳥(はるつげどり)のウグイスも、猫(ねこ)の目のように変わる、このところの天候にきっと驚(おどろ)いていることでしょう。

文責 増田 克也


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