シメ 09.01.20 




南向き斜面では



 先週は雪の日が2日あり、南但馬自然学校の積雪は60pにも達しました。このまま根雪になるかと思いましたが天気は週末に回復し、里を流れる川の岸は雪が解け始め、南を向いた斜面(しゃめん)はまだら模様になりました。
 このような場所には、野鳥がエサを求めて集まります。それでは、この川辺に訪れた野鳥を紹介(しょうかい)しましょう。

 「ガサッ、ゴソ」物音に目を向けると、大きなお腹を突(つ)き出したシメが川岸の斜面を物色しています。草の中に頭を突っ込むと太短い頑丈(じょうぶ)なくちばしにものを言わせて、邪魔(じゃま)な枯(か)れ葉などをどんどんブン投げて豪快(ごうかい)にエサを探しています。
 ところが一度(ひとたび)目当てのエサが見つかると、ピタッと動きを止め何かを考え込むように首を左右に傾(かし)げながら、くちばしを小刻みに動かします。どうやら探し当てた草の実から中身を取り出して食べているようです。シメのように植物の種や実を食べる野鳥は、くちばしのエッジが内側に巻き込むようにカールし、小さな種の皮なども上手にむくことができる仕組みになっています。

 先ほどから、土手の上で黄色いお腹を向け、こちらを伺(うかが)っていたオスのアオジがようやく水辺へ降りてきました。目の周りが黒いためか、とても眠そうな表情に見えます。オスより先にエサをついばんでいたメスは、穏(おだ)やかな顔つきをしています。

 複雑な羽の模様で見事にカモフラージュし、石のように固まっていたタシギが、エサをついばむアオジの様子に安心したのか、ようやく警戒(けいかい)を解いて動き始めました。シメとは対照的な長いくちばしを「ズイッ!」と勢いよく何度も地面に差し込んではエサを探します。

 他にも、4羽の群れでやって来たカシラダカ、スマートな体のキセキレイ、水辺に向かって飛び立つハクセキレイ、セキレイの仲間でシックな色のタヒバリ、土手の枯れ草から鋭(するど)い視線で獲物(えもの)を探すモズなど、たくさんの野鳥を観察することができました。

 野鳥たちは地面が雪で閉ざされると、土が露出(ろしゅつ)した水辺をめざしてやって来ます。みなさんも雪が解けだした場所で少し待ってみませんか、きっといろいろな野鳥が姿を見せることでしょう。

文責 増田 克也


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