ハイタカ 09.01.06




再会を期待して



明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。


 早速(さっそく)ですが、みなさんの初夢はいかがでしたでしょうか? 新年最初の“自然のページ”は、昔から「一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)」と言われ、初夢にみると縁起(えんぎ)がいいとされる“タカ”のお話をします。

 年の瀬(せ)も押(お)し迫(せま)った、昨年12月26日早朝のこと、雪がちらつくまだ薄暗(うすぐら)い田んぼを見回っていると、複雑に絡(から)みついたクズのつるにとまる、ハトほどのスマートな鳥を見つけました。双眼鏡(そうがんきょう)で確認すると、それは冬に南但馬自然学校周辺に渡ってくるタカの仲間、ハイタカです。

 ハイタカは、置物のようにじっと動かずにいましたが、背筋をピンと伸(の)ばし遠くをにらむといきなり飛び出していきました。向かった先は、約100メートルも離(はな)れた田んぼです。ハイタカがものすごいスピードで田んぼに突(つ)っ込(こ)むやいなや、パニックに陥(おちい)った30羽ほどのカワラヒワが一斉(いっせい)に飛び立ちました。
 ハイタカはクズのつるに身を隠(かく)し、田んぼでエサを採るカワラヒワを狙(ねら)うタイミングをはかっていたのです。

 さあ、うまく獲物(えもの)を捕(と)らえることができたでしょうか。結果を確認しようと、ハイタカがすっ飛んでいった田んぼに少しずつ近づくと、青みがかった灰色の背中が見えてきました。狩(か)りが成功していれば、獲物を足で押さえつけているはずです。距離(きょり)をさらに詰(つ)め、期待に胸をふくらませながらそ〜っとのぞき込みましたが、残念なことにその足元に獲物はありませんでした

 ハイタカはすぐにその場を飛び去るかと思いましたが、狩りの失敗がよほど悔(くや)しかったのでしょう、空高く飛ぶ小鳥の群が頭上を通過するたびに姿勢を低く構え、恨(うら)めしそうな視線をに空に向け動こうとはしません。
 暫(しばら)くするとようやく気を取り直したのか、ファッションモデルのように体の向きを変えて、前からも後ろからも姿を見せてくれました。
 正面から見るハイタカの眼光は鋭(するど)く、胸の筋肉が素晴らしく発達しているのがよくわかります。そして、喉(のど)から脚(あし)の辺りまで広がる朱色(しゅいろ)の横縞模様(よこじまもよう)はオスの特徴(とくちょう)です。
 今度、再会するときは、見事に獲物を捕らえるシーンを、是非(ぜひ)、見せてほしいものです。彼にはくるりと向けた頭の後ろに、二つの白い斑(ぶち)があるので他のハイタカとすぐに見分けることができるでしょう。

文責 増田 克也


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