クヌギハマルタマフシ 08.10.14




秋の実り?



 南但馬自然学校のエントランス広場に植えられたケヤキの葉っぱが、赤や黄色に色づき始めました。6月に花を咲かせていたヤマボウシも、今では、葉っぱから上向きに顔をのぞかせるように赤い実をたくさんつけています。この実はいよいよ熟してくると下向きになり、食べると柔(やわ)らかい果肉の素朴(そぼく)な甘(あま)さが口に広がります。
 校内のあちらこちらにマーキングされた、テンのフンにはアケビの種が多く混ざるようになり、朝来山の動物たちも「秋の実り」の恩恵(おんけい)を受けているようです。

 そんなある日、本校のスタッフが「葉っぱに実がなっとるでぇ!」と携帯電話(けいたいでんわ)の写真を見せてくれました。早速、その場所に向かうと、確かにクヌギの葉っぱにナンテンの実のような赤い玉が葉脈(ようみゃく)に沿って4つ並んでいます。これも「秋の実り」でしょうか?
 実は、この赤い玉はクヌギの葉っぱに、虫が寄生してできた“虫こぶ”です。図鑑(ずかん)で調べてみると、クヌギハマルタマフシという名前でした。難しい名前ですが、「クヌギハ(クヌギの葉っぱにできる)、マルタマ(丸い玉の)、フシ(虫こぶ)」と覚えるといいですね。

 他にも虫こぶを探してみると、少し離(はな)れたクヌギの葉っぱの裏側に、真ん中がく窪(くぼ)んだお饅頭(まんじゅう)のような、クヌギハケタマフシがありました。名前のとおり毛がたくさん生えています。シラカシの葉っぱには、小さなエアーズロックのようなカシハイボフシが、ヌルデには、その昔、お歯黒の原料にされたヌルデミミフシを見つけました。

 みなさんも野山を散策する機会があれば、虫こぶを探してみてはいかがですか。葉っぱの裏まで丹念(たんねん)に探すと、色や形がユニークで個性的な虫こぶがきっとみつかりますよ。

文責 増田 克也


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