マントカラカサタケ 08.09.09




きのこゾクゾク



 今年もマントカラカサタケが、自然観察路くまコースの起点付近に姿を現しました。約40pもある柄(え)の先端(せんたん)には、これから傘(かさ)になる部分が野球のボールほどに膨(ふく)らみ、こんがり焼き上がったおいしそうなパンのように見えます。
 翌朝には傘が開き始め、大きさは大人の手のひらより遥(はる)かに大きくなりました。その日の午前中、本校で自然学校を実施している明石市立魚住小学校の子どもたちと観察に向かいましたが、この巨大きのこにはみんな驚いた様子でした。正午過ぎに三度(みたび)訪れ、頭を低くして下からのぞき込むと名前の由来になった立派なマントを颯爽(さっそう)となびかせていました。

 マントカラカサタケが開いた場所から更(さら)にくまコースを進むと、きのこが出てくる「つぼ」と呼ばれる部分が、卵にそっくりなことからその名前が付いたタマゴタケがありました。ピョコッと顔を出した幼いきのこは落ち葉に埋(う)もれたマンゴーのようです。このタマゴタケも翌日には全開し、反り返った色鮮(いろあざ)やかな傘を誇(ほこ)らしげに見せてくれました。
 傘を半分開いたタマゴタケのかたわらには、これから誕生するきのこの白い卵が静かにその時を待っていました。

 くまコースから外れ林に入り込むと、山の珊瑚礁(さんごしょう)“ホウキタケの仲間”や、遠くからもよく目立つ朱色(しゅいろ)のきのこ“ベニウスタケ”。アカマツの倒木(とうぼく)の陰(かげ)に身を隠(かく)す“イグチ科のきのこ”や、雑木林(ぞうきばやし)に神秘的な白い姿が映える“コトヒラシロテングタケ”などがひっそりと迎えてくれました。8月の終わりから続いた雨が、きのこたちを一斉(いっせい)に目覚めさせたのでしょう。わずかな時間で予想した以上のきのこを見ることができました。

 南但馬自然学校の季節は、鮮やかな色やユニークな形のきのこたちに導かれるように、少しずつ夏から秋へ向かっているようです。

文責 増田 克也


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