Q、まず最初に校長先生は今年から星陵高校に赴任されましたが、星陵高校のイメージについてどう思われますか?
A、ここに赴任する前は第三学区の友が丘高校にいたので、エリアとしては同じ地区。違うエリアの学校に行くと雰囲気などが変化するけど、星陵と友が丘の生徒たちの雰囲気が良く似ていて、伸び伸びと明るく生活しているなというふうに思っています。
Q、それでは、これはというお勧めの本は何ですか?
A、山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」っていう本で、全部で五巻ある。何がこの小説の中心になっているかって言うと、日航の墜落事故。今年、新聞とかでも報道されていたからみんな見聞きしたと思うけど、御巣鷹山に落ちて五百何人が亡くなって、四人生存者が奇跡的にいたという事故。映画も面白かったけど本のほうがより詳しいし、良かった。
日航の飛行機が落ちたとき、僕が初任だった頃で、学校に出入りしていた人がその飛行機に乗っていて亡くなってしまって、すごくショックだった。あと、もう一人僕の知っている人が、その飛行機に乗る予定だったけど、交通渋滞に遭い乗れなかった。その人が乗る予定だった飛行機が落ちてしまった。その身近な二つの体験でこの事故を凄いことだと思ったから読んだ。山崎さんは本を書くにあたって、遺族に会って話をしている。実際に本を書くとき、現地に行く人ばかりじゃないけれど、彼女は実際に行って綿密な調査の元に書いたから迫真の表現力があると思う。だから山崎豊子さんの本は高校生も読んでみてもいいと思う。
もう一つ自分の経験で思うのだけれど、冒険小説やSF小説は高校生の今のうちに読んでおいた方がいいと思う。僕が中学生の時にジュールベルヌの「地底旅行」というSFの冒険小説を読んだ。その時はわくわくドキドキして一気に全部読んでしまった。二十代半ばにもう一度読んだら、ある程度知識が付いてきたから書いてある情景や描写をありえないだろうと思って興味をそがれてしまった。そういう本は早めに読んでおいたほうがいい。
Q、知識を身につけたからこそ、楽しめないということですか?
A、冒険小説にのめりこめるほどの純粋さがあるというか、僕たちに純粋さがないというわけではないけど知識が増えると「そんなこと」って思ってしまう。ある程度知識や常識がつく前に読むべき本があると思う。
あと、先ほどの山崎さんの本でいったら「白い巨塔」は、映画化されたり、何回もテレビで放送しているけど、それもおもしろかった。僕が大学に入学してすぐ大学病院に検査入院したことがあって、教授が先頭に立って、大名行列のように、廊下を歩いてくるところを見た。同じような場面が「白い巨塔」にもあって「これか」と思った。その時僕は腕を検査で一針ほど縫うようなカテーテルをいれる手術をした。局部麻酔だったから、意識ははっきりしていた。手術中に電気刺激が走り、僕は「あぁ―」って言った。その時に教授が何て言ったか今でもはっきり覚えている。教授は「まさか君切ったんじゃないだろうね。」と言ったのを聞いて「ちょっと待ってくれよ。」と思った。その後実際しびれも若干残った。その後、病院の大きな機構に訴えることはもちろんしてない。この体験の前に「白い巨塔」を見ていたから「まさにその小説の世界だなぁ」と感じた。実際に起きたことを、小説仕立てで書いている。だから山崎豊子さんの本は面白い。
Q、校長先生は体験とリンクさせて読む方ですか?
A、今は体験とリンクさせて読む例を出したんだけど、必ずしも体験とリンクさせて読むわけではないよね。昔からの日本の純文学も読むけど、どっちかと言えば笑いに長けている本や人からの紹介、本屋大賞の本などを「一回、読んでみよう」と思って読むことはある。たとえば、星陵図書館にあるというので、若い人に評判らしい「鹿の王」は読んだ。それから「村上海賊の娘」や「海賊と呼ばれた男」も読んだ。
別に体験で読んでいるわけではなく、たまたま体験がその本の中身とリンクした感じ。軽い読み物だったら兵庫県が物語のロケ地にもなっている内田康夫さんの旅情ミステリー本をよく読んだ。「城崎殺人事件」や「神戸殺人事件」などの場所の描写が出てきて、当然取材しているから、土地の描写もリアルになっている。僕が知っているところもあるし、逆に全然知らないところもあって、「こういう感じなんかな。」って思った。それはあまりかしこまって読む感じではなくて、軽く電車の中で読んだりするかな。
Q、中学生の時にSFを読んだっておっしゃりましたが、昔から本はよく読まれていたんですか?
A、ところが、中高生のときはあまり本好きではない子供だった。どちらかかと言えば「読め」と言われて「うーん」と言っていた部類だった。だけど働きだしてから読み始めて面白いと思うようになった。中高生の時は運動ばかりしてお世辞にも本が好きとはいえない学生だった。
Q、校長先生、たしかバレーお上手でしたよね?球技大会の時にお上手でびっくりしました。
A、中高大学とバレー部だった。運動少年だったから、あまり本を読まなくて、体を動かしている方が好きだった。みんなも、なにかをきっかけにして面白い本を読んでみたらいい。本屋さんに行くと一生のうちに絶対に読み切れない数の本があるから、人が「この本が良かった」っていう本や、売れている本は読んでみるのもいい。
Q、先ほどの山崎豊子さんの映画化されている本の中で他にどんな話を映画でご覧になりましたか?
A、木村拓哉が出演していた「華麗なる一族」も見た。「大地の子」も全部を見たわけではないけどテレビで見た。昔はあまり映画を見なくて、四十歳を越えてから見るようになった。
Q、原作を読んでから映像化されたものを見るか映像化されたものを見てから原作を読むのかどっちがおすすめですか?
A、どっちがいいかは分からないけど、固定観念で考えなくていいと思う。僕の場合はたまたま映画を先に見て、「こんなのだったのか。」「これは日本の事件のことだったのか。」と思った。小説があったことは知らずに映画化されたものを見たときに案内を見て「小説だったのか、だったら読まないと。」と思って読んだ。そうすると映画は原作に寄せて作っているけど、やっぱり映像にするときは制約があるから一概にどっちがいいとは言えない。去年放送されていた池井戸潤の「半沢直樹」シリーズはテレビで見てから本を読んで、「この表現がこんな映像になっているのか。」とリンクするから、一度見比べ、読み比べてっていうのをしてみたら面白いと思う。
Q、「半沢直樹」は評判ですね。面白いんですか?
A、うん、おもしろかった。印象に残っているのは、精神的に追い込まれてノイローゼになりそうな半沢直樹の知り合い。裏切られてしまうときノイローゼになるところがテレビでは墨汁を落としたような表現で映像化されていた。文章をこうやって映像化しているのかっていうのを見たときは面白い。今はCGが発達しているから、昔は難しかったものがリアルに出来る。昔より本の内容と映像が近くなっているのかも知れない。昔の映画ではできないことがあるから、今とは違う表現があったかもしれない。もしみんなの年齢で何を読むか考えている暇がないなら、話題になった映画の原作があるから、それをきっかけに読んでみるのもいい。
Q、本を手に取りにくい人からしたら、映像を先に見たら少し手に取りやすいということですか?
A、それはあると思うね。若い頃はそういうきっかけで読んでいたらもっと早く本を読んでいたかな。さっきも言ったけど読書家の「ど」の字にもいかなかったから。でも読んだらいろいろな知識が入ってくる。それに別に知識だけに限ったことじゃなく、感性っていうのも映像を見てから目から入る刺激で頭を動かすのか、文字から入って自分がその文字を映像化するのかで全然違うと思う。今の若い世代はバーチャルっていうか、視覚で入っている場合が多いように思う。だから文字を読んでそれをどんな風に想像するかみたいなところを大事にする方がいいかもしれない。でも、本を読むきっかけのうちの一つにしたら、映画やテレビで見たものを比較して読んでみるのもいいと思う。
Q、星陵生に一言!
A、これからみんな海外に出ていく機会は、僕が若い時代より多いと思うから、機会があったら海外に出てほしい。旅行も今だったら大学の卒業旅行で海外っていう話もあるけど、僕の時代ではありえなかった。海外に出るのは、ある意味ストレスでもあるけど同じ旅行に行くにしても、ツアーに申し込んで外国に出て、ずっと日本語で生活出来るような旅行はせず、一人か二人でスケジュールが縛られない旅行をするのがいいんじゃないかな。これからみんなの年齢で言えば、行く人がほとんどだと思うから、大学に行っているときにそういう所に目を向けて、海外に出て武者修行をするっていうようなことがいい。
Q、能動的っていうことですか?
A、そういうところに自分を投げ込んで、ひとりだったら自分でなんとかしなければならないから能動的な活動もそうだし、人に頼らないでやっていくことも大切。
Q、お忙しい中、長時間になりました。今日は本当にありがとうございました。
星 陵 図 書 館201512月号
発行:県立星陵高校図書委員会 発行日:2015/12/20 NO201501
《《この秋、もっとも印象に残った2冊=生きた人間の記録》》
小熊英二「生きて帰ってきた男」・金時鐘「朝鮮と日本に生きる」
受験生を図書館で見ている毎日の中で、それでいいのかなと思うことがあります。日本史や世界史の事象や人名を、いわゆる、くそ暗記している人
がいるのですが、彼らは決して「歴史」の勉強をしているわけではないのではないか、そんなふうに感じます。「事件は現場で起きてい
る」と絶叫する若い警官を主人公にしたドラマが流行ったことがありました。教科書やセンター試験に登場する事件は、ただでさえ現場
を離れてしまっているのですが、マークセンスで出題される、記号を解答するというシステムの中で歴史は現場からどんどん離れてゆき
ます。もう事件でも歴史でもない、ただの記号になっていないでしょうか。
今年の夏、「生きて帰ってきた男」 「朝鮮と日本に生きる」という二冊の岩波新書の新刊が出て、それを読みました。久々に胸を打たれる読書、読み終わるまで一気に、という経験を
しました。一冊目の「生きて帰ってきた男」は慶応大学の社会学者小熊英二の著書。彼はこの国の戦後の歴史を対象にして綿密な資料収集と聞き書きで次々と本を書き、「民主と
愛国」・「1968 上・下」(それぞれ新曜社)が代表作と言っていいでしょう。実直に調べ上げる視点が新しいと評判の書物で、毎日出版文化賞や大仏次郎論壇賞で評価された
のですが、あまりにも大きな本、1冊が900ページを超える上に、価格も貧乏な高校図書館の予算では間に合わないということもあり図書館にはありません。それらの著書
に比べて、この本は新書版389ページにすぎませんが内容の面白さでは引けを取りません。1925年に生まれて1945年敗戦の年の4月、20歳で徴兵され、旧満州に出征。シベリア抑留
を経て1948年、昭和24年、8月に帰国。その後5年間の結核療養生活ののち、30歳でようやく社会生活を始め、現在90歳で存命である一人の平凡な日本人男性の生涯の聞き書きです。
二冊目の「朝鮮と日本に生きる」は金時鐘(キムシジョン)という在日朝鮮人の詩人の思い出語りの形をとった自伝です。先日の新聞紙上で本年度の大仏次郎賞を受賞したこ
とが報じられました。金時鐘さんは日本が併合統治していた朝鮮の元山で1929年に生まれ、済州島で成長した人。《私は生まれながらにして昭和の御代の恩恵に浴した一人でしたの
で、当然のことのように日本人になるための勉強ばかりしてきました。朝鮮で生まれて朝鮮の親許で育っていながら、自分の国についてはからっきし何も知りませんでし
た。後日、母はひとりっ子のお前を思ってお父さんも黙っていたのだと取り成してくれてはいましたが、言葉も土着語の済州弁しか話せず、文字もアイウエオのアひとつ
、ハングルでは書き取れない私だったのです。》と本書の冒頭で記しているように、皇国少年として日本の敗戦、朝鮮の解放を体験し、戦後「4・3事件」の虐殺をのがれて日本へ逃
亡し、大阪猪飼野での現在にいたる在日朝鮮人としての87年の生涯を生きている人です。こういうふうに紹介すると、それが歴史や事件の現場と何の関係があるのかといぶかしむ人
もいるかもしれません。そこなのです、この二冊に共通するのは日本の、あるいは朝鮮の現代史の現場からの報告なのです。一人は出征の満州の地でやる気のない二十歳の二等兵
として、もう一人は自分が朝鮮人であるという自覚も持てない十七歳の皇国少年として八月の敗戦を経験します。その日から、この二人の普通の人間が70年間、この国で
死にものぐるいで生き抜いてきた、それが淡々と語られます。歴史の教科書が一行で書いて通り過ぎる事件が、人間が生活した重さで記述されています。シベリア抑留、4・3事件など
明らかな大事件もありますが、結核療養所や猪飼野での暮らし、何よりも高度経済成長の戦後社会での失敗や人との巡り合いの記録は、事件の現場からの生々しさを伝え
ているとこが二冊の本に共通しています。「生きて帰ってきた男」の最終章にこう書かれています。《さまざまな質問の最後に、人生の苦しい局面で、もっとも大事だったことは何だ
ったかを聞いた。シベリアや結核療養所などで、未来がまったく見えないとき、人間にとって何が一番大切だと思ったか、という問いである。「希望だ。それがあれば、人間は生きていける。」そう謙
二は答えた。》験生が歴史から遠ざけられる現実は、やがて社会全体が歴史を観ようとせず、大げさな宣伝や思い込みの風評が社会を動かし始める予兆のように見えます。現実の社会では生きた人
間が生活し、その集積が歴史であることを知る〈読書の可能性〉を感じさせる本と出会ってみませんか。(館長)
《みんなのレビュー》
『アルスラーン戦記』 田中芳樹(光文社文庫)
それは軽ーいつぶやきに過ぎなかったのですよ。夏休み、通りすがりに「『アルスラーン戦記』図書室にいれてくださいよー」と図書館長に言ってみたわけです、ダメ元で。そしたら、なんと二学期早々に私の机の上にどーんと8冊つくねてあるではないですか。紹介文を書くようにという指令メモとともに。
というわけで4日で読破したのはいいけど肝心の紹介文に気の利いたことが書けず、二ヶ月かかって長編大河紹介文自分的黒歴史付き、というのを書いていたのです。しかし、自分が読んでもうざいのでやめて、読書感想文を書きます。
主人公アルスラーンはパルス国王子、しかも素直ないい子で、14歳なのに中二病の欠片もなく、はっきりいって面白みのない主人公なわけです。突然、国を滅ぼされ、父母の生死もわからず(すぐわかるけど)、単身彷徨って危うく命を落とすところを忠実な部下に救われ、国家再興の旅と戦いに出る……つまんなさそー、と思うでしょ。ところが面白いのです、脇役が。
見所(読みどころ?)は何といっても個性あふれる脇役達の人物像と活躍ではないでしょうか。敵も味方も王も貴族も平民も、ものすごくくせ者揃いであるところが何とも言えない。
アルスラーンはひどい目に会い続けても、設定上善きもの・美しきものを失わないというか、あまり成長しないというか、そんなのだが、脇役達はこの役立たずの王子を支え、あるいは敵対し、複雑な国際情勢のなか正面から、搦め手から渡り合い、成長していくのですな。とても魅力的です。なんか敵役までかわいそうになることがしばしばあります。この人物、過労死するんちゃうか、心配やわ、とか。
『アルスラーン戦記』はあの荒川弘(『鋼の錬金術師』『銀の匙』)でマンガになったし、アニメにもなったので見た人もあるかもしれません。お気に入り登場人物に特別な思い入れのある人も多いようです。やはり脇役の個性際立つ魅力が大きいと思われますね。斯界用語でいうところの「キャラが立つ」脇役が各種揃っており、つい特定の人物を応援してしまう、ますます情がわき、そのうち物語自体に思い入れたっぷり、どっぷり浸ってしまう、そんな話です。
私の周りにはダリューンびいきが多いが、アニメみてると「君、こないだまでエゾノーで野球してたよね?」と思ってしまうのは私だけ?
ところで、私の贔屓はですね……やっぱり、ここは奥ゆかしくやめておきましょう。是非読んで当ててみてください。(屈折してるけどわかりやすい好み、といわれています?!)
※新潮文庫「日本100年の名作全10巻」というシリーズが図書館に入りましたが、1年生を担当していらっしゃる武闘派現代文のA教諭に1冊ずつ読んでいただき、気になった作品にレビューを書いていただきました。今回は1巻・2巻からです。
「小さな王国」(谷崎潤一郎)
長年学校の教員をしているとこの物語の沼倉少年のような生徒に何度か出くわす。小説の登場人物ほどではないにしても、そういう生徒は人をいつの間にか支配してしまう力を生まれつき持っているのだ。作品ではいつの間にか貝島先生までもがその支配下になってしまいそうになるのだが、この教師はいかにも自信過剰の思い込みの強い男である故、沼倉少年の持って生まれた才能の前では膝を屈するしかなかった。少々マゾヒスティックな屈辱感をも味わわせられる物語であった。
題名や時代背景からするといかにもプロレタリア文学くさい作品ではあるが、「蟹工船」や「セメント樽の中の手紙」などのような体制やブルジョワジー批判などはなく、登場人物は貧しく無学ながらも今を前向きに生きている。なさぬ仲の継母や、確執のある父とも主人公は自分の懐かしい縁者として愛情を持って接する。何か人の本質の美しい部分をロマンチックに描いているようにも思える。ただ、最後に主人公がこれから労働運動または政治運動に足を突っ込みそうになる所で話が終わるので、この続きこそがプロレタリア文学と言えるのだろう。
これまたプロレタリア文学的なムードであるが、やはり「ある職工の手記」同様、反体制でも反ブルジョアでもなく、市井の男のちっぽけな一日を描いているだけで、面白くも何ともない。
これを選んだ理由は、当時の武蔵野の風景が詳細に描かれているからである。中央線中野駅を過ぎると田ばかりで、さらに荻窪を過ぎると畑と丘と雑木林ばかりだという。荻窪名物のラーメン屋すらない。そのうえ何と吉祥寺駅を畑中に建てられた家が四,五件並んでいる寒駅と書いている。その吉祥寺から徒歩数分の所に主人公の息子夫婦が住んでいるのだが、その家を閑静でよかろうが不自由で困る。湯屋も無い、不便な所に引っ込んだ、東京の家賃に比べるとまるで嘘の世に安い、などと言っているのだ。僕は荻窪に一年、武蔵小金井に二年住んだが、休日に新宿は少々遠いので吉祥寺で遊ぶのが楽しみであった。吉祥寺は規模で言えば三宮程度の街である。大都会なのだ。近鉄デパートだってある 。伊勢丹もある。この息子の住む家なら、今なら駅近のマンション。地価は坪300万は下るまい。で、この親父の住んでいるのは横浜なのだ。今なら僕なら吉祥寺を選ぶなあ、などと思いながら楽しく読んだのであった。
これはよかった。芸妓として生きる玉千代の、その運命に抗うことなく恰もおとこの身勝手に翻弄されているが如くに見えながらもその実女としてしぶとく生きる姿に、女という生き物の芯の強さを改めて感じさせられる逸品であった。欲をかかず脳天気とも言える屈託のなさ、明るさが、反って読み手をしんみりとさせてしまう。現代の風俗と違って昔は良いですね。
客観的に見ると恵まれない境遇ではあるが、それを不幸だと決めつけるのが憚られるような生きる力を感じさせる作品である。この第2巻にはこういった社会の底辺で生きる人間の姿を肯定的に描いたものが多いです。時代のせいですかね。
青山潤「うなドン」(講談社文庫) 292A
僕は、午前の部活が終わった足で、図書館に本を借りに行きました。部活終わりでお腹がすいていたせいか、『うなドン』という本が目に留まりました。この本はうな丼の味を探求していく物語だと思いました。でも、全く違い、うなぎを研究するために世界中のうなぎを集めるというものでした。読み終えて、特に印象に残った言葉は「小さかったら跳べ!」です。これは、人よりも劣っていることがあれば、その分努力をし、それでも補えなかったら、少しでも自分ができることをプラスしていく、というような言葉です。この言葉は、僕にも置きかえられるなと思いました。
僕はバレー部に所属していますが、残念ながら背は高くありません。でも、背の高い人達と戦わなければなりません。だから、その分高く跳ばないといけません。それでも、負けてしまうことがあります。だからこそ、自分ができることをプラスしていく努力がもっと必要なんだと思いました。
この本の登場人物がうなぎに夢中になっているように、僕も夢中になれることを見つけたい、そして、将来自分が夢中になれるような仕事をしたいなと思いました。タイトルに惹かれて読んだ本でしたが、得るものが多い本に出合えてよかったです。(4GO)
恩田陸・乙一他「青に捧げる悪夢」(角川文庫) 913
思わず背筋がゾクりとするホラー・ミステリを読んでみたい…無性にそう思うことはないだろうか?そう思うことがある、という方にはこの本をオススメしたい。一つの話を読み進めて行くうちに集まる情報…真実が明かされた時(または、あなたが隠された真実に気付いた時)、あなたの求める物が得られるはずだ。そう思うことがない、という方にもこの本をオススメしたい。普通のミステリーやホラーとして読むこともできるからだ。何より、短編集である点が大きい。普段あまり本を読まない人でも、一つの話くらいであれば気軽に読むことができる。なんにせよ、読んでみると良い。『試し読み』のようや軽い気持ちで構わない。案ずるより読むが易し。7KM
2015:今年の新着図書《新着図書一覧》
※※全部で新着図書は300冊ほどあるのですが、ここに載せるとページ数が膨大になるので星陵高校ホームページ⇒「星陵図書館」で見てください。「開館予定」・「通常の図書当番」など情報がいろいろです。一度開いてみて下さい。(館長)
集後記 新春スペシャル特別号
※「どうでしたか?今回初めてインタビューしてみて」「意外と緊張せんかったですねえ」「緊張せんかったですか…。私はかなり緊張しましたけど」「私は肝がすわってるんで(ドヤ顔)」「あ、そうですか。はい。(なかったことにして)校長先生、熱心にお話ししてくださいましたね。」「そうですね〜泣 でも小さい頃は本を読まなかったとか意外でした」「どんな大人でも小さい頃は読書嫌いだったみたいですね。」「大人になってから、読書していなかったことを後悔しているようでしたので…」「みなさん!ぜひ図書館に来て本を読みましょう!」(どんぐりA・B)※次は新年号。これは1月中には出しましょうね。(くま)
1年 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | 7組 | 8組 |
貸出数 | 48 | 58 | 66 | 55 | 104 | 88 | 123 | 131 |
2年 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | 7組 | 8組 |
貸出数 | 4 | 25 | 9 | 6 | 1 | 0 | 27 | 5 |
3年 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | 7組 | 8組 |
貸出数 | 26 | 15 | 12 | 38 | 21 | 5 | 12 | 97 |
職員 | 377 | ※12月10日現在 | 合計 | 1353 |
月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
計 |
開館日数 |
24 |
29 |
19 |
20 |
31 |
17 |
20 |
20 |
※ |
※ |
※ |
※ |
180 |
入館者数 |
207 |
819 |
1437 |
426 |
261 |
1058 |
1202 |
1252 |
※ |
※ |
※ |
※ |
6662 |
貸出冊数 |
94 |
143 |
138 |
365 |
183 |
149 |
77 |
135 |
79 |
※ |
※ |
※ |
1363 |