戦争が具体的な話題になる社会がやってきそうで、まあ、困ったもんですが、やっぱり戦争は

いけません。素直にそう言える社会でないといやですね。こんな時期に図書館には「日本海軍は

なぜ過ったか」なんて言う書名の本が入りました。旧日本海軍の将校であった人たちが、敗戦

後、海軍反省会なる会合を持ち、４００時間にわたるディスカッションの記録を残していたという

のです。じつはその真相は、星陵図書館にはありませんが「海軍反省会」（PHP）という８巻の

書物になっています。数年前にＮＨＫが特集番組を作ったこともあるそうです。

本書は、その特集と「海軍反省会」という書物にかかわった三人の作家と研究者の対談で

す。なかにこんな発言があります。

半藤「反省会の中でも、本当に勝てると思っていたのかねえ、なんて」

澤地「勝てるつもりでやっていたんだけどねえ、なんて。」

半藤「日露戦争の時の国家予算の規模を帝政ロシアと比べると、あちらは二十億、こ

ちらは二億ぐらい。そして、太平洋戦争開戦直前の昭和一六年の予算をアメリカ

と比較すると、やはり一〇分の一なんです。日露戦争も一〇対一で勝った、対米

戦争も一〇対一で勝てる、大丈夫だ、と。それは先人が手本を示しているから、

ということが基本的にあるわけなんです。それが、軍人は常に過去の戦争を戦

う、ということなんです。」

というふうに、戦争を直視する。それがいま大事でしょ。何も知らないままで、選挙権だけ大人に

されたらだめですよ。（館長）