その3

五味文彦【日本中世史。】

「源実朝」(角川選書)

「徒然草の歴史学」(角川ソフィア文庫)

先生のネタ本を先に読む。そういう発想を持てれば得意教科が増える。この本は東大の日

本史の先生が書いた本だが、高校の日本史の教員のネタ本というよりは国語、古典の教員

のネタ本だ。こういうふんで仕込んだネタで時間を持たせる教員は減って来たけれど、僕らが

高校生だったころはたくさんいらっしゃった。先生がネタにしている本を読んだことがあったりす

ると、かえって授業に身が入ったから不思議だ。授業が終わると、数冊のネタ本を紹介してく

ださる先生もいらっしゃった。高校の先生のアパートを訪ねて、蔵書を貸していただいたりする

と、偉くなったような気がした。

大学に進むと、教授がネタにしている本を読んだことがないと、あからさまにバカにされるとい

う、かなり無理がある、あるいは理不尽と思われる態度で扱われたことが思い出だが。
(だって

相手は専門家なのだからね)
僕自身は、苛められて、むきになって本を読む癖がついた。

ともあれ、こういう書物は、教科書より面白いことは間違いないから読んでみるに越したこと

はない。


星陵生の中にも、紹介したネタ本がおもしろかったからという理由で、国語が得意にな

った人がいる。
そういうもんだと思う。(館長)