朝山実【ルポライター】
「パッチギ」(キネマ旬報社)
姜誠
「またがりビトのすすめ」(岩波書店)
映画になった「パッチギ」を在日の人の勝手な論理だと批判する人もいるらし
い。けれど、それなら『またがりビトのすすめ』も一緒に読んでしまおう。「パ
ッチギ」の突進と、人が一人で、さまざまな境界線を、突き破り、乗り越えて生
きてゆく「またがりビト」の主張が、どこで、どうぶつかり合うのか、どこで共
感するのか。読んでみないとわからない。ちなみにパッチギっていうのは「突き
破る」という意味の朝鮮語であるらしい。
守りたいものや、守られたいものに囲まれて生きている人は感じないかもしれ
ないが、人が一人で、さまざまな境界線を越えて、自由に生きようとすると、突
破しなければならない壁が見えてくることもある。
「パッチギ」という言葉が爽快に響くのはそんなときかも。(くま)