監修:反核写真運動
「決定版:広島原爆写真集」(勉誠出版)
「決定版:長崎原爆写真集」(勉誠出版)
東日本大震災が福島の原子力発電所に過酷事故をもたらすという歴史的な事件の結果、「原
子力利用」という科学技術に対して、さまざまな意見や思惑が飛び交っている。事故の責任がどこ
の誰にあるのかということを曖昧にしたまま、なし崩しの再稼働を進める国もあれば、国家レベルで態
度決定を真摯に議論する国もあるらしい。
ともあれ、原子力の兵器としての利用が、どんな結果をもたらすのかここに二冊の写真集がある。
「リトルボーイ」とニックネームで呼ばれた広島を襲ったウラン爆弾。「ファットマン」と呼ばれた、長
崎を襲ったプルトニウム爆弾。原子力爆弾にニックネームがついていたということに、まず驚くのは僕
だけではないだろう。笑いながら投下された新兵器が、こんな結果を非戦闘員であった住民たちにも
たらすということをB29の搭乗員は知っていたのだろうか。はっきり言って、この写真集を最後ま
で見ていくことは、僕にはできない。でも、見始めないと、本当のことを考えることはできな
いんじゃないだろうか。(館長)