2015・神無月・その11

稲泉連『命をつなげ―東日本大震災大動脈復旧への戦い(新潮文庫)

「震災から…」ということばをつかうとき、神戸の人は阪神大震災を思い浮かべるのだが、その言葉が

思い出として使われるには、あまりにも生々しい現実を生きている人たちが、この同じ国にいることを知

ることは、大切なんじゃないだろうか。
今年も東北にボランティアで行く星陵高校生もいると聞

いている。実際に体を動かしてボランティアに参加するのは勇気がいるし、決意もいるだ

ろう。
本を読むことで、災害の復旧で苦労する人がいて、それを伝える人がいるのを知るときに、自分

の立っている場所を考える契機と出会うこともあるのではないだろうか。
石井光太という人の『遺体』(

新潮文庫)
という衝撃的なルポもおススメです。(館長)

 高校を中退して、早稲田の第二文学部に進学し、ルポライターとして活動している稲泉連と

いう人がいる。三十代のライターだけれど
『ぼくもいくさに征くのだけれど』(中公文庫)という、戦死

した竹内浩三という詩人の伝記で
大宅荘一ノンフィクション賞を取った人。館長としては人気

の『永遠のゼロ』よりはこちらがおススメなのだけれど。その人が東日本大震災をルポ

している。