試薬の調製

学校における実験・観察に使用される薬品のすべての調製・取り扱い方を覚えるのは大変であるが、危険防止の意味で、基本的な試薬の調製はもちろん、取り扱いに注意を要する薬品については熟知しておかなければならない。

試薬調製

  • 「水」とは特に断りのない限り、純水または蒸留水を意味する。水道水は使わない。
  • 用語について・・・食塩水の場合、食塩を「溶質」、水を「溶媒」、食塩水を「溶液」という。
  • 試薬は、特に断りのない限り1級を使用する。(特級は高純度) また、市販の試薬は濃度が必ずしも正確ではないものや空気中で不安定なものがあるので注意する。
  • 使用した試薬は量を確認し、薬品台帳に記入しておく。(特に毒劇物)
  • 試薬ビンから取り出した試薬は、不純物の混入の恐れがあるので、元のビンに戻さない。
  • 秤量には薬包紙などの重さを差し引くことができ(風袋引き)、最小値0.01gまで量れる電子天秤が便利である。
  • 薬さじ(スパチユラ)は、薬品によってはプラスチックと金属を使い分ける。
  • 液体試薬をビンから出す時は、ガラス棒などを使用し、こぼれないように行う工夫をする。 ラベル面を上にし、手でラベルを覆うようにビンを握りラベルを保護する。なお、ラベルを汚さないことが基本であるが、汚れて判読できない試薬は危険薬品と同等に扱い、使用してはならない。
  • 溶液を作るとき発熱する試薬は、容器を水で冷却しながら行う。特に硫酸の場合は水を急に 注ぐと突沸するので注意深く少量ずつ加える。硫酸に水を注ぐという逆の手順で行うと大変危険であるので、絶対してはいけない。また、水酸化ナトリウムも手で触れることのできないくらい高温になることがある。
  • 固体試薬の攪拌にはマグネチックスターラーを使うと便利である。
  • 開封時や調製時に有毒な気体を発生する試薬は取り扱いに注意する。
  • 水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性溶液は、すり合わせのガラス栓(試薬ビン等)を侵し 固着させてしまうので、ゴム栓にする。シリコン栓はやや高価であるが、耐アルカリ性に優れている。
  • 硝酸・硝酸銀・過マンガン酸カリウム等、光によって変化する薬品は褐色ビンに入れる。アンモニア水・塩酸等、気化しやすい薬品はねじ口ビンを使用すると気体が漏れにくい。少量使用する試薬は、スポイトビンや点眼ビンに分注すると便利である。
  • 試薬ビンのラベルは「教育実務必携」に準拠することが望ましいが、便宜上、毒劇物は赤ラベルに黒文字、その他は青ラベルに黒文字にしてもよい。