7.天気図の書き方

[目的]ラジオの気象通報を聞いて天気図を書く。
[準備]ラジオ用天気図用紙 ボールペン 鉛筆 色鉛筆
[手順]
1)ラジオの気象通報の内容を、直接天気図用紙に記入するかメモをとる。
1.各地の天気(風向、風力、天気、気圧、気温)
2.気象庁海洋ブイおよび船舶の報告(海上の資料:緯度・経度、風向、風力、気圧)
3.漁業気象(高・低気圧、前線、台風などの位置、中心気圧、進行方向と速度、最大風速など、霧の区域や、特定気圧の等圧線の位置など)
2)等圧線を記入する。
3)天気図を読んで天気を予測する。
[留意点・工夫点]
ラジオの気象通報の放送時刻
放送局周波数放送時刻放送内容
NHK第2地方により違う
例えば東京は693KHz
    関西は828KHz
 09:10 16:00 22:00それぞれ06時、12時、18時の全国天気概況、各地の天気、漁業気象
ラジオたんぱ
(日本短波放送)
第1 3.925MHz
  6.055MHz
  9.595MHz
土日は第2
第2 3.945MHz
  6.115MHz
  9.760MHz
気象・海上気象解説
 05:30〜05:45
03時の各地の天気、概況、解説
高層気象解説
 05:20〜05:30
 山岳気象
 春夏冬の10日間
(放送されないこともある)
前日21時の気圧700hPaの地点の風向、風速、高度、気温と概況
放送内容
 1.全国天気概況では、日本付近の概略の気圧配置、各地方の天気の状況と気温の平年との違い(平年偏差)が放送される。
 2.各地の天気は、日本付近の54個所の風向、風力、天気、気圧、気温が放送され、富士山ではほかに風速(メートル)が加わり、気圧や天気は報ぜられないこともある。放送される順番は決まっている。気圧は1000hPa以上の場合、下2桁のみ放送される。
 3.気象庁海洋ブイは、日本海や四国沖などの一定地点にあって、風向、風力、気圧を報じてくる。
 4.漁業気象とは、漁業のための気象という意味でなく、高・低気圧、前線、台風などの位置、中心気圧、進行方向、速度、最大風速など、また、霧の区域や、特定気圧の等圧線の位置などを、集まったデータから解析した結果である。昭和2年4月、水産業者の要望によって、天気予報が「漁業気象」として放送されて以来この言葉が用いられている。
データの記入のしかた
 1.放送は1回だけであるから、前もって記入用紙を準備しておきメモする。テープに録音してもよいが、慣れると放送を聞きながら天気図に直接記入できる。
 2.天気図用紙の入手方法は書店や気象官署に問い合わせる。また、インターネットからダウンロードできる。ラジオ用の用紙第1号は、メモをするところがあるが、第2号は、メモ欄がなく直接記入するようになっている。
 3.気象要素等の記入の方法は日本式天気図記号による。(参考1)
 4.天気図用紙の観測地点の○(地点円)に記入モデルに従って、ボールペンで書く。
記入モデル
 5.隣の地点と重なって書けないときは、地点円から少しずらして書く。
 6.前線の通る位置は×印を小さくつけて、あとから線で結び、色や前線の記号をつける。
 7.等圧線を描くには、消すのに楽なHBかB程度の鉛筆を用いる。
 8.特に、今後の天気を予想するために、自分のいるところの西側のデータを書き漏らさないように注意する。
記入上のポイント
 等圧線は1000 hPaを基準に2hPa、または4hPa ごとに描き、20hPaごとに太い線で描く。新聞やテレビの天気図は4hPa ごとが多い。等圧線は偶数の気圧の値ごとに描くが、各地の気圧は偶数の値とは限らないので比例配分して描くとよい。等圧線は陸地では地形の影響もあって多少はくねることはあるが、あまり局所的なことにとらわれず、滑らかに描くのがよい。
 地表付近の風と等圧線のなす角は、一般には25〜35度で、陸上で大きく海上で小さい。また、低緯度で大きく高緯度で小さい。
 風が強いほど等圧線の間隔がせまい。
 高・低気圧のある場所と風の向きを見て、等圧線を描く。北半球では、高気圧からは、風は右回りに吹き出し、低気圧には、左回りに吹き込む。高・低気圧は、まわりより気圧の高い所を高気圧、低い所を低気圧とし、特定の気圧を境にして定めているわけではない。気圧の谷とは、地図にある谷間のように、細長く伸びている気圧の低い所でその両側に山に相当する高気圧がある。また2つ以上の低気圧があるとき、これらの間の気圧の低い所も気圧の谷である。
 前線のところでの等圧線は、暖気と寒気がぶつかり合い、空気の密度の差で、気圧が変化するので、高圧側に引っ張られるように折れ曲がる。
 等圧線は途中でなくなったり、交叉したり、ループを描いたり、枝分れすることはない。
 低気圧や台風は外側の等圧線から描きはじめ、内側の中心付近の等圧線へと描いていく。高気圧も同じで、一般に中心付近はあと回しにする。
 データの多い所から描きはじめ、データのない所はあと回しにする。
 寒冷型、温暖型の閉塞前線と閉塞点からでる寒冷前線、温暖前線の関係は"人"か"入"の型になる。
 降水の区域を緑色で、雷の区域を赤色で、霧の区域を黄色などで薄く塗っておく。
利用法
1.連続した2日間の天気図を用意し、次の日の天気に影響を与える高気圧、低気圧をさがす。
2.これらに着目しながら、前日から今日までの動きを追う。
3.前日から今日までの移動距離から、次の日の高気圧、低気圧の位置を予想する。
4.高層天気図についても同様に次の日に影響を与える寒気や気圧の谷を捜して、次の日の位置を予想する。
<参考1>
天気図記号
風力風速は地上10mの地点
解析記号
 
<参考2>
○上空の風
 約1000mより上空になると、気圧傾度力=転向力となる。このとき、風は等圧線に平行に、北半球では高気圧を右手(南半球では左手)に見て、一定の速さで吹き続ける。この風を地衡風という。また、円形の等圧線に沿って吹く風を傾度風という。この場合には、気圧傾度力と転向力に加えて、円運動による遠心力がはたらく。
 
 
○地表付近の風
 気圧傾度力と転向力、および地表との摩擦力の3つの力で決まる。3つの力が、図のようにつり合った状態で風は等圧線に対して斜めに吹く。摩擦力の大きさは地形によって異なるが、一般に陸上で大きく、海上では小さい。気圧傾度力は同じ大きさでも、摩察力が大きくなると風速は小さくなる。そのため、転向力が小さくなり、等圧線と風とのなす角度は大きくなる。このことから、北半球では、高気圧から風は右回り(時計回り)に吹き出し、低気圧へは左回り(反時計回り)に吹き込む。高気圧の中心付近では、吹き出す風を補うため上空から風が降りてくる(下降気流)ため天気が良く、低気圧の中心付近では、吹き込んだ風が上空に昇っていく(上昇気流)ため天気が悪い。
 
 
空気にはたらく力と風の吹き方
気圧傾度力
  気圧差ができると、高気圧から低気圧へ向かって等圧線に垂直に風が吹き出す。
転向力
  円板や地球とともに回転しながら物体の運動を観測するときに現れる見かけの力を転向力という。北半球では、転向力は物体の運動方向を右に曲げるように、進行方向に対して直角右向きにはたらき、南半球では逆に、直角左向きにはたらく。転向力の大きさは高緯度ほど大きく、赤道ではOである。また、物体の速度に比例し、速度の増加とともにしだいに大きくなる。
摩擦力 
  地表付近を吹く風は、地表との間で摩擦力を生じる。摩擦力は、風と反対の向きにはたらく。
遠心力
  高気圧や低気圧の中心付近では、等圧線が円形である。風は等圧線に沿って等速円運動をしながら吹くため風には遠心力がはたらく。
<参考3>
 温帯低気圧の一生