宿へ着いたら、まず東西南北の方角を聞いて確かめ、次に家の構造や便所、表裏の出入口を確認するのが昔からの教えである。火事や強盗、けんかがあったりしたときのためである。

宿は定宿を決めておくのがよい。初めての土地でよくわからないときは、なるべく造りが立派でにぎやかな宿屋に泊まるのがよい。少し値段が高くとも相応のことがある。

長雨の後は山が崩れ落ちるということがある。山際の大きな岩の下にある宿屋や、川岸の宿屋には泊まらないこと。

支払いは各人がそれぞれが出すようにすること。持ち合わせがなくその場で出してもらった場合は、その日のうちに清算すること。長い道中では金銭の貸し借りは、わからなくなってしまうためである。

相部屋で酒盛りが夜更けまで続く場合、酒盛りが済むまで、仲間内で順番に起きておくこと。長い酒盛りも問題を起こしがちである。