兵庫県立歴史博物館 館長 端 信行
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文化庁「歴史文化基本構想」事業のひょうご版 2011年2月15日 |
2月8日の午後に、高砂市のふれあいの郷 生石研修センターで開催されたシンポジウムに表題に惹かれて参加した。このシンポジウムの目的は、3年間にわたる文化庁の文化財総合的把握モデル事業報告会で、兵庫県からは篠山市(現:丹波篠山市)と高砂市の事例が報告された。
こう書くと何だかむずかしいことを言うているな、との印象をもたれるかも知れないが、ひらたく言うと、各市町における文化財を総合的に見なおし、これからのまちづくりに活かしていこうという計画づくりの報告会である。
“文化財というととかくこれまでは保護・保全ばかりが強調されてきたきらいがあったが、近年ではいかにそれらを活用するかという面にも力を入れはじめている。
聞いていて面白いと思ったのは、ここでいう文化財が指定文化財のみを指しているのではなく、それらの周辺にあるさまざまな文化財(最近では文化資源という人も多い)までを視野に入れて、まちづくりに活かしていこうという点であった。それが「総合的把握」の意味するところで、この運動は、地域と文化を考える非常によいモデルであると評価できる。
姫路・船場城西の会から姫路の事例も報告された。本館ではいま「姫路 今むかし」展を開催している。いま人びとの関心は、自分たちが住むまちのあゆみやあり方に集まっている。文化によるまちづくりはこれからの大きな課題である。