天上のまやちゃん

作品解説

十三仏図

館蔵 十三仏図
室町時代 1幅 絹本着彩 掛幅装 100.8cm×41.7cm

 初七日(しょなのか)から三回忌(き)にかけて死後の裁きをおこなう十王(じゅうおう)は、中国撰述の偽経(ぎきょう)『十王経』に記されています。中世の日本で成立した『地蔵十王経』では、さらに七回忌、十三回忌、三十三回忌と忌日(きじつ)が延ばされ、十三人の冥府(めいふ)の王とその本地仏(ほんじぶつ)、すなわち十三仏が想定されました。
 この絵ではジクザクに下から上へ進むようにして、十三仏をもれなく描きます。
 ストーリーでは餓鬼道の川でおぼれるまやちゃんを、幾つもの光りが守っています。この場面のイラストでは、十三の光が描かれていて、光は十三仏であることをほのめかしています。ここで登場する地蔵菩薩は、五七日(ごしちにち:35日目)の閻魔王の本地仏です。河に落ちたまやちゃんを、地獄や賽の河原でも、見守ってくれているのです。

四章【餓鬼道】を読む
五章【地獄道】を読む
六章【賽の河原】を読む
Copyright(c)Hyogo Prefectural Museum of History.All Rights Reserved.