作品解説
七十一番職人歌合(ななじゅういちばんしょくにんうたあわせ)
七十一番職人歌合(ななじゅういちばんしょくにんうたあわせ)
江戸時代 三巻 紙本着彩 巻子装
上巻:縦32.0㎝×横2334.3㎝
中巻:縦32.0㎝×横2248.4㎝
下巻:縦32.0㎝×横2288.8㎝

 絵画を土佐光信、詞書を三条西実隆、和歌の詠者の一人を飛鳥井雅康が担当し、室町時代後期に原本が成立したものと推定されています。「職人歌合」は様々な職業の人物を組み合わせて、対になる両者の和歌を載せるもので、鎌倉時代後期から制作され始めました。合計142種の職業が採り上げられており、女性はその内の34種に及びます。

詳しく読む

 「七十一番職人歌合」は、絵画筆者を土佐光信、詞書筆者を三条西実隆、詠者の一人を飛鳥井雅康として、16世紀初頭(室町時代)に原本が成立したと推定されている絵巻です。本絵巻物には来歴を記す奥書等がありませんが、その伝本のひとつとして江戸時代に制作されたものとみなせます。現在の表具は昭和44年(1969)に新調されたもので、錦地に竹の金泥下絵を描いた旧表紙や紐が付属しています。

 「職人歌合」は、さまざまな職業の人物を組みあわせて、架空の歌合を記録した形式をとるジャンルの絵巻物のひとつで、鎌倉時代後期から制作されはじめました。「七十一番職人歌合」に先立ち、「東北院職人歌合」「鶴岡放生会職人歌合」「三十二番職人歌合」などの先行作品がつくられています。「職人歌合」で登場する職業の数は、時代が下るにしたがって社会的変化による職業の分化を反映して、増補されていく傾向にあります。

 「七十一番職人歌合」では、合計142種と最多の職業がとりあげられ、「月」と「恋」とを歌題はとした和歌や詞書では、秋日の各職人のようすが活写されています。職業のうち34種(24%)が女性によって占められることにも、時代の変化として注目されます。絵画にはいきいきとした職人のセリフ(画中詞)も添えられています。このように絵画と画中詞による精彩豊かな風俗表現は、室町時代に成立した絵巻物「福富草紙」や「道成寺縁起」などとも通じています。

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