Memory01
女学校・新校舎・当時の制服
 大正14年4月8日、あこがれの明石高等女学校に入学した。
 この学校は、県に二つしかない五年制で、私が入学したとき、初めて五学年が揃い、全校生が500名になった。間に合わせに移転した小学校の古い校舎でやりにくかった。
 翌年2月、寒い風の中を1キロあまりの東の新校舎に移転した。みんな椅子をひとつずつさげ二列になって運んで行った。校舎はピンク色の2階建てで、山を削って造られ、段々になっており、どの教室からも明石海峡を隔てて淡路島が眺められた。天気の良い日は嶋の家々が見え、また、海は白帆や外国船が航行していた。夏は涼しい風が教室の隅々まで吹き入った。
 この学校の制服は、自分で裁縫の時間に作るのである。一学期は袴で通い、その間に帽子、麻のブラウス、アルパカのスカートを縫って6月1日からそれを着用した。夏服が出来上がると紺サージの冬服にかかり、10月から着用できるよう精出して縫った。冬の帽子は5年生が作ってくれた。          

(明石高等女学校5回 二星いくえ)