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環境防災科

設置の背景

舞子高校に環境防災科を設置することが決まったのが平成12年(2000年)3月。4月から2年間の研究・準備期間を経て平成14年(2002年)4月から本格的にスタートした。防災教育を推進する全国ではじめての学科であり、このような学科が被災地神戸に設置される意義は非常に大きい。兵庫県では阪神・淡路大震災以降、命の大切さ・助け合いのすばらしさなど、震災の教訓に学ぶ「新たな防災教育」を推進してきたが、それを高校の専門学科で展開しようというものである。
 舞子高校は、震災直後から市民救命士(心肺蘇生法)の資格取得に全校でとりくみ、教育委員会が作成した防災副読本「明日に生きる」の実践事例集づくりにも参加するなど、県内の高校では先進的な実践を進めていた。被災地に位置する学校で、防災教育の実践があり、屋上には防災型のソーラーパネル(NEDO:新エネルギー開発機構)が設置されているなど、学科設置の条件がそろっていた。
 防災教育を専門に行う学科は全国に先例がなく、教育課程の編成は試行錯誤を重ねた。研究担当の教員が大学を訪ね、防災会議やセミナーに出席し、書籍を読み、行政の防災セクションの助言を仰ぎといった作業を積み重ね、何とかカリキュラムの形を作ったのが平成12年(2000年)11月。教科は「環境防災」、科目は「災害と人間」「環境と科学」「社会環境と防災」「自然環境と防災」など、すべて学校設定科目とした。
 防災教育を学校の核に据えるため、環境防災科設置に向けた研究とあわせて震災メモリアル行事「阪神・淡路大震災を忘れない~21世紀を担う私たちの使命~」を1月17日前後に開催してきた。このとりくみは平成17年(2005年)1月で5回目を迎えた。また、年に5回、学期末に行う避難訓練に防災教育をドッキングさせ、HR単位での防災学習と全校生への震災体験の講演や生徒の発表を取り入れてきた。
 防災にかかわるさまざまな機関の理解・支援と阪神・淡路大震災を継承・発信しようとする多くの専門家の援助を得て、何とか先の見えるものとなってきたのが、学科スタート直前のことであった。
 平成16年度(2004年度)に3学年がそろい、平成17年(2005年)春、最初の卒業生を世に送り出した。



教育目標

環境防災科の基本的な教育理念は、次の3つである。

  • 阪神・淡路大震災の教訓を生かし、自然環境や社会環境との関わりを視点に据えた防災教育を推進することによって、共生社会における人間としての在り方・生き方を考えさせる。
  • 大学やその他の研究機関、関係機関等との連携を密にし、実践的・体験的な学習を通して、理解を深めるとともに、「環境」「防災」に関わる様々な課題の解消に向けて、主体的・自発的に考え、行動できる力の育成に努める。
  • 自然現象のメカニズムや災害と人間社会の関わりの学習などを通して、自己を取り巻く様々な環境に対する理解を深めたり、災害に対応する力を身につけるなど、「Think Globally, Act Locally」(地球規模で考え、地域で活動する)人間の育成に努める。
  • 社会環境の外でおきた台風や地震は自然現象だが、社会環境の中では災害となる

    環境防災科の教育課程は自然環境と社会環境という視点で構成されている。太平洋のど真ん中の台風や人が住んでいない地域の地震は災害ではない。それらは自然現象と呼ばれるものである。その自然現象が人の社会を襲い、そこに被害をもたらしたとき、災害となる。災害の大きさは、乱暴に言えば、この自然現象の大きさと社会の防災力、逆に言えば脆弱さとの比較で成り立つ。かなり強い地震でも、社会の防災力が整備されていれば被害は軽微で済む。 ところが同じ規模の地震でも脆弱な途上国で起これば、相当な被害をもたらす。近年、途上国で続いている地震被害を見れば、このことは容易に理解できる。このように、防災には社会環境が強く関係しており、この社会環境を学び、どのような方法で災害を減少させるのか(減災)を考えることが必要である。環境防災科のカリキュラムは、新たな防災教育の中心課題である命の大切さや助け合いのすばらしさを縦軸に、自然環境と社会環境を横軸にとって教育課程を編成していった。

    自然現象が社会の防災力よりも大きくなれば災害が発生する

    教育課程(環境防災科)

    環境防災科の教育課程表です。下の画像をクリックするとPDFファイルが表示されます。

    授業内容

    環境防災科の特色ある授業内容をご紹介します。また、校外学習や校外活動については、ブログに公開していきますのでご覧ください。

    【1年生】 【2年生】 【3年生】

    学科説明

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