郷土芸能部門活動記録
郷土芸能部門委員長
(県立志知高等学校) 中村勝年
平成4年度に発足した本部門の加盟校は、8校と少数ではあるが、国外でのさまざまなイベントに参加したり、全国高校総合文化祭で優秀賞、優良賞を獲得をするなど活発な部が多い。
平成12年8月に静岡県浜北市で開催された第24回全国高校総合文化祭には市立神戸西高校と県立三原高校が出場。神戸西高校は見事全国ベスト8にあたる優良賞を受賞した。
平成12年11月に京都で開催された第20回近畿高校総合文化祭には市立兵庫商業高校が出場した。
平成12年11月に出石で開催された第24回兵庫県高校総合文化祭第7回郷土芸能発表会を開催し、加盟校のうち7校の発表があった。
1.兵庫県高校総合文化祭
1)兵庫県総文にむけて
12.07.07 第1回運営委(サンピア明石)
12.10.31 第2回運営委(サンピア明石)
12.11.12 搬入、仕込み、リハーサル
2)第24回県高校総合文化祭郷土芸能発表会
月 日11月12日(日)13:00〜16:00
会 場 出石町 ひぼこホール
参加校7校、他特別出演1団体
参加生徒 160人 観客人数 150人
プログラム
開会式
歓迎のことば(浜坂高校 上島尚徳 )
挨拶(県高文連郷土芸能部長 島田英樹)
@兵庫県立播磨農業高校(播州歌舞伎)
A神戸市立兵庫商業高校(龍舞)
B兵庫県立千種高校(和太鼓)
C兵庫県立志知高校(淡路だんじり唄)
D兵庫県立浜坂高校(麒麟獅子舞)
E出石和太鼓の会 一宮(和太鼓)
F兵庫県立三原高校(淡路人形浄瑠璃)
G神戸市立神戸西高校(和太鼓)
(加盟校の県立須磨東高校は不参加)
出場校は加盟校の7校。各校とも日頃練習を積んだ演目に取り組み、充実した演技が行われた。演技は3時間程度で、持ち時間は各学校15分程度しかなかったが、各校の持ち味を存分に発揮した発表会であった。運営は加盟校顧問15名と、司会2名(八鹿高校放送部)があたった。
今年の出石町の発表では郷土芸能を愛する地元の熱心な方々に多数おこしいただき、心温まる拍手や励ましを受け、郷土芸能を継承する高校生たちは大いに勇気づけられた。発表会の開催に際しても、出石町をあげての協力を得ることができ、郷土芸能の競演にふさわしい舞台を用意していただいたことに心よりの感謝を申し上げたい。
当日実施した観客の皆様のアンケート結果をみても、「生徒たちの素晴らしい活動にただただ感動した」「懸命な姿にあついものがこみあげました」「身のふるえる感動でした」「近年、青少年の事件が続く中で、今回の発表を見て、高校生の持つ情熱・パワーを感じ、元気づけられた」との声を多く聞くことができ、我々としても非常に充実した結果を残せたことに満足している。
生徒たちは郷土芸能の練習・発表を通じて、伝統的に日本人が持っていた美しい価値観を学んでいるように思う。作品内容の理解の他に、師匠さんなど地域の人たちとの交流、公演活動を通じた様々な年齢層の方との交流を通じて、複眼的な思考を身につけているように思う。そのような心をいつまでも大切にし、新世紀での新たなる発展を目指して本部門は邁進していきたいと考えている。
3)出演生徒の感想
僕たち播磨農高歌舞伎部の演目の一つである「寿式三番叟」を演じさせていただき本当にありがとうございました。今回は初出演の人や役が代わった人も緊張していましたが、無事終えることができてよかったと思います。これからは本番でのミスをなくし、一人一人が自分の役に自覚をもって練習に励みたいと思います。
(播磨農業高校 2年 豊島賢司)
私達龍獅團は、この県大会で龍舞を披露しました。私は県大会に出場するのは初めてで、他校の和太鼓や浄瑠璃など、多様な郷土芸能をみるのも初めてでした。私の学校付近では、私達のような芸能の部活動は少なく、他校の取り組みを間近で見て、私達と似たことを一生懸命に取り組んでいる人達と会えて、とても嬉しく思いました。
(市立兵庫商業高校 2年 森 聖子)
僕は今回初めて県総文へ参加し、太鼓を演奏しました。舞台の明るさと張りつめた空気にとても緊張してしまいました。自分達の演奏を終えてからも他校の演技に目をみはるなど、感激と感動のしっぱなしでした。来年はもっといい演奏をしたいと思うので、これからの練習にもっと励みたいと思います。
(県立千種高校 2年 藤本善弘)
県の最北端での県総文。私たち淡路島から参加したものにとって、歴史のある出石町での発表はとても思い出に残るものでした。一年ぶりに見た他校の演技、熱心に聞いてくださったお客さま。そして、部の仲間とふれあいを深めた神鍋での宿泊。また、ホテルで食べたカニと、大会終了後に食べたそばの味。何もかも良かったです。素敵な場所での発表会に感謝をします。
(県立志知高校 3年 土井康行)
11月に第24回兵庫県高校総合文化祭郷土芸能部門発表会が但馬で開催されたことを僕達はうれしく思いました。各地域の郷土芸能を見たことなど、とても良い思い出になりました。僕達、浜坂高校は12月にロータリークラブより麒麟獅子の道具を一式いただきました。今後は今まで以上に頑張っていきたいと思います。
(県立浜坂高校 3年 上島尚徳)
今回は例年とは違う外題にチャレンジしました。自分たちとしては新鮮味がありました。また、今年度は、多くの観客の方々から高校生の文化活動を高く評価していただき、大きな自信となりました。今後も一層芸に磨きをかけ、より多くの方々に喜んでいただけるよう郷土芸能の担い手としてがんばりたいと思います。
(県立三原高校 2年 濱口英司)
今回出場して、他校の演技を見て多くのことを学ぶことができたと思います。そして今回出場して学んだことを次からの演奏に生かして、今回以上の演奏をしていきたいと思います。
(市立神戸西高校 2年 久保田 潤)
同じ高校生だが圧倒された。すっごい、感動した。ありがとうございました(17才女性)。
社会が欧米化されている今日、この様な郷土芸能を継続させることにより、地域社会を築いていけることと思い喜んでおります(40代女性)。
今日の芸能を見て、これからは「今の若者はなっとらん」などとは言えないという気分にさせられました(60代女性)。
ものすごくよかった。遠路見に来てよかった(50代男性)。
こんなにがんばっている高校生が地元にいることを知り、驚くと同時に誇りに思いました(30代女性)。
私も高校生ですが、今まで郷土芸能に関心がありませんでしたが、今日見てとてもすばらしいと思いました(15才女性)。
2.第24回全国高校総合文化祭郷土芸能部門
実施概要
月 日 平成12年8月8・9日
会 場 静岡県浜北市文化センター
市立神戸西高校と県立三原高校が全国高校総合文化祭に出場。神戸西高校は全国ベスト8にあたる優良賞を受賞した。
2)全国総文に参加しての感想
感動、ライバル意識、そしてプレッシャー
市立神戸西高校 和太鼓部顧問 松村公彦
今回の静岡大会では、3年生1名、2年生3名、1年生11名で参加しました。1年生が多いため、大会に向け、どこまで仕上がるかが大変心配されましたが、何とか無事に演奏することが出来ました。他校の素晴らしい演技も見学し、彼らなりに感動とライバル意識とプレッシャーを感じ、引き締まった気持ちで舞台に臨むことができました。神戸地区では和太鼓部というものは殆ど存在していないため、自分の力を試すというチャンスが少なく、ついつい緊張感を失ってしまうことがありますが、この大会で改めて初心に戻ることができ、出場の機会を頂いたことに大変感謝しております。ただ、参加する度に思うことですが、審査員のコメントには疑問を感じます。顧問としては生徒へ今後の活動に向けての練習のポイントやアドバイスが頂けたらと期待しますが、今回もチームのスタイルや指導者の考え方等に対する意見みたいなものを頂いてしまいました。私はその様な事は頼んではいません。審査員をされる方々にはご一考いただけたら有り難いと思っています。
全国高校総合文化祭で得たもの
市立神戸西高校 2年 久保田 潤
今回の出場では、兵庫県代表として全国高校総合文化祭に出場できたこと、そして優良賞をいただいたことが一番の出来事だったと思います。私たち和太鼓部がこの総合文化祭で自分たちの満足のいく結果が残せたこと、そしてその演奏を目にとめてもらえた事が嬉しかったです。今回の出場で一層、和太鼓を好きになり、また自信と活力がわきました。他校の演技の中からもいろいろな事を学んだり、驚いたりで、とても良い経験をさせていただきました。これからもこの昔からの伝統芸能である和太鼓をいつまでも残していきたいと思いました。
全国高校総合文化祭を振り返って
県立三原高校 郷土芸能部顧問 大嶋ルリ子
本校郷土部は昭和27年に創部されて以来、淡路の伝統芸能である人形浄瑠璃を継承しています。現在では人形操り・語り・三味線の三業を全て生徒がこなし、島内外の公演・取材は年間約20回程度です。今年度は2年ぶりに第24回全国高等学校総合文化祭に出場することができました。8月8・9日に静岡県浜北市で行われた郷土芸能部門発表会では47校が参加した過去最大規模の大会で、年々上がるレベルの高さに今年も驚かされました。参加校の増加は部門が活気づき好ましいことである反面、一校の演技時間の短縮を余儀なくされるという問題もあります。今回演じた「三十三間堂棟由来」は、35分で演じる外題を制限時間である15分に短縮したもので、物語の微妙な展開がカットされた分、内容が十分に伝わるかどうかという面で大きな不安を抱えていました。が、3年生を中心に夏の厳しい暑さの中、汗だくになりながら直前まで練習した成果は十分発揮されたと思います。与えられた時間内で伝えたいことを精一杯伝えることができました。残念ながら今回は賞をいただくことはできませんでしたが、部員にとってはそれが次への大きな励みとなったようです。今後も一層芸に磨きをかけ、郷土芸能の担い手として努力していきたいと思います。 最後になりましたが、大会参加にあたり、県高文連をはじめ多くのスタッフの方々にお世話になり心より感謝しています。
心が一つになった全国高校総合文化祭
県立三原高校 2年 安宅 清夏
私達は今回の全国高等学校総合文化祭を通じて多くのすばらしい日本の伝統芸能に触れることができました。私達は淡路の伝統芸能である淡路人形浄瑠璃を継承していますが、他府県でもその地方独特の郷土芸能を継承している高校生がいることを知り、とても身近に感じました。私達は夏休み中の練習も決して十分とは言えない状況で本番を迎えました。部員の誰もが大きなプレッシャーを感じながら、それをお互いにかき消すかのように本番直前まで舞台裏で必死に調整しました。舞台袖で待機している仲間の真剣な顔を見た時、心が引き締まりました。三味線の旋律に合わせての語りと人形の操り、私達は1つになりました。15分という時間は短いようでもあり、また、長くも感じました。その中で伝えたいことは伝えられたと思います。今回の経験を生かし、今後も郷土の伝統芸能の光を絶やさないようにがんばりたいと思います。