郷土芸能部門活動記録
郷土芸能部門委員長
(県立志知高等学校) 中村勝年
平成4年度に発足した本部門の加盟校は、8校と少数ではあるが、兵庫県各地の代表的な伝統芸能を継承し、国内外で公演活動をするなど活発な部が多い。
平成11年8月に山形県で開催された第23回全国高校総合文化祭には市立兵庫商業高校と県立志知高校が出場した。
平成11年11月に徳島で開催された第19回近畿高校総合文化祭には市立神戸西高校が出場した。
平成11年11月に西宮で開催された第23回兵庫県高校総合文化祭第6回郷土芸能発表会を開催し、加盟校のうち7校の発表があった。
1.兵庫県高校総合文化祭
1)兵庫県総文にむけて
11.07.08 第1回運営委(サンピア明石)
11.10.26 第2回運営委(西宮東高校ホール)
11.11.14 搬入、仕込み、リハーサル
2)第23回県高校総合文化祭郷土芸能発表会
月 日11月14日(日)13:30〜16:00
会 場 西宮市 西宮東高校ホール
参加校7校
参加生徒 130人 観客人数 80人
プログラム
開会式
歓迎のことば(神戸西高校 天宅 悠 )
挨拶(県高文連郷土芸能部長 島田英樹)
@兵庫県立播磨農業高校(播州歌舞伎)
A兵庫県立千種高校(和太鼓)
B兵庫県立浜坂高校(麒麟獅子舞)
C兵庫県立志知高校(淡路だんじり唄)
D神戸市立神戸西高校(和太鼓)
E神戸市立兵庫商業高校(龍舞)
F兵庫県立三原高校(淡路人形浄瑠璃)
(加盟校の県立須磨東高校は不参加)
出場校は加盟校の7校。各校とも日頃練習を積んだ演目に取り組み、充実した演技が行われた。演技は2時間半程度で、持ち時間は各学校15分程度しかなかったが、各校の持ち味を存分に発揮した発表会であった。運営は加盟校顧問15名と、司会1名(三原高校郷土部)があたった。
観客数も、チラシ5000枚を近隣の高校、公民館に配布し、さらには、西宮在住の加盟校OBへ直接案内状を郵送するなど、宣伝に努めた。観客人数は加盟校の生徒を合わせても200名程度と少なかったが、後の観客アンケートの結果からわかるように、高校生の溌剌とした演技が観客の皆様に大きな感動を与えることができたことは今後の我々の励みとなった。
本部門の加盟校の中には創作和太鼓、地域の伝統的な和太鼓に取り組む学校や、500年の伝統をもつ人形浄瑠璃を継承する学校、絢爛豪華な歌舞伎に挑戦する学校、国際都市神戸を象徴するかのようにアジアの民族芸能に貪欲に取り組む学校、静寂のなかにも威厳を感じさせる獅子舞を継承する学校、戦争の悲しみをひしひしと伝えるだんじり唄を語り継ぐ学校がある。また、加盟校3校はハンガリー、韓国、シンガポールなどへの海外公演などにも出かけ、それぞれの国において日本の伝統的な芸能を披露し、日本と世界との文化の架け橋としての役割を果たしている。これらの文化交流を通じて、次世代を担う高校生たちは日本の伝統芸能の素晴らしさや継承の意義を実感したことであろう。
本部門は日本人の心である日本の伝統芸能を継承している。その日本人の心をいつまでも忘れないようにし、また、新世紀での新たなる創造と発展を目指して本部門は邁進したいと考えている。
3)出演生徒の感想
三年間麒麟獅子サークルに所属して活動を続けてきました。その中で、神戸や淡路に行き、その地域の特色や他の学校の発表を見ることができました。今回の西宮での発表が僕達にとっては最後になりましたが、今後も地域の伝統を大切に思う気持ちを忘れることなく、活動を通して得た経験を生かしていきたいと思います。
(浜坂高校 3年 清原 雅彦)
私は初めて参加させてもらいましたが、各校の演技や演奏はとても印象的なものでした。とくに同じ和太鼓で出演していた神戸西高校の演技に感動を覚えました。小人数で人を引き付ける魅力を私達も身に付けたいと思いました。そのために技術的にも精神的にも自分自身を向上させて、私達独自のムードが出せるように努力したいと思います。
(千種高校 2年 春名 智恵)
昨年この発表会へ出場させて頂いた時、私は他校のレベルの高さに驚愕しました。我が歌舞伎部の日頃の練習を思い出し、恥ずかしく思いました。あれから一年、今日まで欠点を徹底的に改善することを中心に練習し、今年の発表会は良い演技が出来たと思います。今後とも、昨年のショックを教訓にして、頑張る次第です。
(播磨農業高校 2年 長谷川 彩)
私は各地の郷土芸能を披露し合えることと、観客の皆さんが喜んでくれることが、とても嬉しいです。来年はもっとレベルを上げて、驚きと感動を与えたいと思います。
(市立兵庫商業高校 2年 永吉 純二)
今回の大会は予想通りの素晴らしい大会になったと思います。この県総文を通し、地域の人々に郷土芸能の素晴らしさをより深く認識していただけたと思います。私達、神戸西高校は和太鼓という形でその素晴らしさを伝えていきたいと思います。また、私達の活動を地域社会の発展へとつなげていきたいと思っています。
(市立神戸西高校 2年 天宅 悠)
高校生の総合文化祭というのは、僕にとっていいものだと思えた。それは自分達が楽しんで郷土芸能をやっているように、他の学校の人達も同じように楽しくやっているのを感じることができたからです。「やらされてやっているんじゃない」というのがすごく伝わりました。自分達の努力を見せ合ういい場だと思いました。
(三原高校 2年 金山宏樹)
今回「兵庫県総合文化祭」に出演させていただきまして、有難うございました。こんなに大きな舞台で公演できたことを部員全員で喜んでいます。これからは郷土芸能の伝統を継承のために、後輩達の指導に頑張りますので、どうぞよろしく応援お願いします。
(志知高校 3年 泊 怜好)
4)観客アンケートより(一部抜粋)
とても高校生とは思えないくらいすばらしかったと思います。同じ位の年の人達がこのようなことをやっているのは、すごいと思いました(15才女性)。
地味な活動もあるが、海外での活動もという事で、いずれもすばらしい(40代男性)。
高校生たちがこの様に郷土の文化を残すために活動していることを知り感動を覚えました(50代女性)。
人間の可能性を感じさせられた思いです。いいものを有難うございました(40代女性)。
和太鼓の迫力はプロのよう。龍舞は舞台が狭く気の毒だったがとてもよかった(女性)。
若人の元気活発な発表に久しぶりに感動しました。淡路出身の私にとり、父の戦死のことと重なり、志知高校のだんじり唄が特に印象に残りました。人形浄瑠璃により福を頂いて帰り、またの機会を楽しみにしています(50代女性)。
2.第23回全国高校総合文化祭郷土芸能部門
実施概要
月 日 平成11年7月31日・8月1日
会 場 山形県新庄市民文化会館
2)全国総文に参加しての感想
輝く未来を信じて
市立兵庫商業高校 龍獅團顧問 阪口智敬
改めて全国大会に出場してくる各校の取り組みの素晴らしさと、レベルの高さを実感した。「この演技をするためにどれほど厳しい練習を繰り返したか」と、他校の演技の中に垣間見る。
生徒たちの努力も然ることながら、指導する教員の努力も大変なものがある。これらが分かるだけになお一層感動してしまうのである。「所詮、高校生がすることだから」と侮れない。各地の郷土芸能を、自信と誇りを持って取り組み、発表するための努力は大変なものがある。
これは、取り組んでみなければ、決して理解できるものではないが、演技を見てもらえば、必ず伝わるものがあると確信する。多くの人々に、演技をご覧頂き、共に感動できる機会を多く持ちたいと思う。まだまだ高校生が各地の郷土芸能に取り組み、そのレベルがいかに高いかを知られていないことは残念な事であり、今後はこれらの取り組みを広く知らせていく必要性を強く感じる。年齢によって感じ方は異なっても、様々な郷土芸能に感動するに違いない。輝く郷土芸能の未来を信じてやまない。そのためにも取り組む郷土芸能のレベルを更に上げ、質の高いものにする挑戦をしていこうと考えている。
全国高校総合文化祭の思い出
市立兵庫商業高校 3年 中田 賢一
全国のたくさんの高校生が、その土地に根付いた郷土芸能を、一生懸命に練習し、披露した全国大会。僕達も全国大会で成功するために毎日納得が行くまで練習しました。僕達は龍舞で出演することになりましたが、高度な技の連続で会得するのに時間がかかり、初めはうまくまとまりませんでした。しかし、誰一人として諦めず、投げ出す者もいなかったので、日がたつうちに素晴らしい龍が舞うようになりました。大会での他校の演技はとても素晴らしく、さまざまな郷土芸能を見学し、大変勉強になりました。僕達も他校に負けない演技ができて良かったです。この全国大会に出場し経験したことは龍獅團の財産にもなり、チームの絆も一層強まりました。これからもこの経験を忘れず、チーム一丸となってがんばりたいです。そして一人でも多くの高校生が郷土芸能に興味関心を持ってもらいたいと思います。
全国総合文化祭の潮流
県立志知高校 郷土芸能部顧問 松崎 煌
「今年の暑さは格別だ」と地元の人々が口を揃えてうなった酷暑のなか、山形県新庄市で全国総文祭・郷土芸能部門発表会が開催された。山形県といえば、昭和の初めに日本最高気温を記録した場所だとかすかな記憶があったものの、東北の地の涼夏を期待しての参加だっただけに、それはそれは大変でした。大会はその猛暑にふさわしく、過去に優秀校東京公演を体験したほとんどの学校が出揃っての、豪華で熱気に満ちた舞台の連続でした。
私はここ数年、全国総文祭を毎年見学しているが、大きな変化を探すとすれば太鼓の分野である。太鼓は、日本福祉大学付属高校と日本航空高校が全体をリードしてきたと思うが、「創作和太鼓が郷土芸能か?」という一部の批判を受けてか、一昨年の鳥取大会あたりから大きな変化を見せはじめた。具体的には、演技時間が少し長くなり、その中に踊りや獅子舞などの祭りの要素を入れるようになってきた。
我校は、大会二日目の午前に浄瑠璃くずしの淡路だんじり唄で出場し、声高らかに「岸壁の母」を歌い上げた。審査をする人にどのように評価されたか定かでないが、鳴り物入りの歌で派手な踊りを多人数で演じる学校には、到底太刀打ちできないと大会終了後に感じたことも事実である。最後に、大会参加にあたり、県高文連をはじめ多くの方々にお世話になり、感謝の気持ちで一杯です。−感謝・合掌―
全国総合文化祭で学んだこと
県立志知高校 3年 泊 怜好
今回、山形県新庄市で行われた「全国総合文化祭」に出演させていただいて、ありがとうございました。高校に入った時からの夢だったので、部員一同とても喜びました。山形県は郷土芸能の宝庫で、観客の皆様も熱心に見ていただいたのが印象的でした。私達の演技はまだまだ未熟でしたが、自分たちなりに一生懸命できたと思います。全国大会に出場し、他の高校の演技を見せていただいて、大変良い勉強になりました。全国大会では日本各地の郷土芸能を熱心に受け継いでいる高校生に出会い、交流することもできました。迫力のあるもの、優美なもの、伝統のあるもの、いろいろな郷土芸能に出会うことができ、本当に刺激的で、感動的な経験となりました。有難うございました。