第6章 定時制通信制高等学校の活性化と望ましい配置
 
1 生涯学習社会に対応した単位制高等学校の設置
 働きながら学ぶ生徒や全日制課程の中途退学者など、これまでの定時制高等学校に学ぶ生徒とともに、自分のペースや興味・関心等に合わせてじっくり学びたい生徒、特定の教科・科目の受講を希望する者、さらに生涯学習社会における県民の学習希望にも対応するため、昼間部・夜間部を持つ新しい単位制高等学校の設置を推進する。


【改革の方向】
  1. 平成13年度に阪神地域(西宮市)に設置した後、西播磨地域及び神戸地域の3地域へ各1校を順次設置する。さらに、阪神地域について、工業教育を希望する生徒に対応できる単位制高等学校の設置を推進する。
  2. 設置に当たっては、働きながら学ぶ生徒をはじめとして、生徒の通学時間や通学の利便性を考慮して交通至便な場所に設置する。
  3. 多様な入学生徒の興味・関心、学習希望等に応える魅力ある学校づくりを進めるため、柔軟な単位認定や少人数指導、ガイダンス機能の充実など履修形態、教育方法等を工夫する。
  4. 他の生涯学習機関との連携を通して、地域の人材や指導者の活用、また、地域の特性に基づいたコミュニティ活動の場とするなど、異年齢の人々との交流を図るとともに、資格取得などのために高等学校の授業における一部科目の履修や聴講を希望する社会人のリカレント教育の機関とする。
《推進計画》 
前 期(〜平成15年度) 後 期(〜平成20年度)
・平成13年度−阪神地域(西宮市)に設置
・平成15年度−西播磨地域への設置
・神戸地域について、神戸市教育委員会と協議しながら設置
・阪神地域について、工業教育を可能とする単位制高等学校の設置


2 定時制高等学校の活性化と望ましい配置等
定時制高等学校に学ぶ多様な生徒の学習ニーズに応じた教育内容・方法の工夫、履修方法や選抜制度・方法の改善、新しい単位制高等学校を核としたネットワーク化などの定時制高等学校の活性化を進めるとともに、全日制課程への進学志向の高まりと生徒数の減少による小規模化が進み、教育活動に困難が生じてきている定時制高等学校の現状を改善するため、定時制高等学校を必要とする生徒の存在、生徒の通学の利便性、定時制高等学校の果たしている役割などを勘案しつつ、新しい単位制高等学校への発展的統合など、学校の活力の維持と教育活動の活性化を図る観点から、望ましい規模の確保と配置の適正化を推進する。


【改革の方向】
  1. 活性化方策
    1. 職業に関する教科・科目の履修について、実務等による代替を促進する。
    2. 「体験活動」科目等の設置による、学校外の学習成果の単位認定を推進する。
    3. 通信制の課程に在籍する生徒が定時制高等学校の授業を履修できる通定併修の実施を推進する。
    4. 新しい単位制高等学校を中核として、学校間連携やメディアを通じた学校間のネットワーク化を活用した共同授業等を推進する。
    5. 働きながら学ぶことを希望する生徒に対する入学者選抜制度・方法の改善を推進する。
    6. 分校の呼称については、全日制課程の分校と合わせることとする。
  1. 望ましい規模・配置
    1. 教育条件や学習環境を整備する新しい単位制高等学校を設置する地域にあっては、合わせて近隣校を統合あるいは募集停止する。
    2. 入学者が2年間継続して30%に充たず、将来にわたり増加の見込めない学校については、統合あるいは募集停止の対象として検討する。
    3. bの基準に該当する学科についても、統合・改編あるいは募集停止を検討する。
《推進計画》
前 期(〜平成15年度) 後 期(〜平成20年度)
・平成13年度−阪神地域への設置に合わせて近隣の4校を募集停止
        −通定併修の実施、働きながら学ぶことを希望する生徒に対する選抜制度・方法の改善
・平成15年度−西播磨地域への設置に合わせて近隣定時制高等学校を募集停止
・神戸地域への設置に合わせて近隣定時制高等学校を募集停止
・メディアを通じた学校間のネットワーク化を活用した共同授業等の実施
 
 

第7章 生涯学習社会等への対応
 
 1 地域に開かれた学校づくり
 これからの生涯学習社会においては、人々の学習活動や社会教育活動を、様々な立場から総合的に支援していく仕組みを構築していくことが求められている。従って、高等学校にあっても、地域の人々のますます多様化する学習活動や学習ニ−ズに応え、誰もがいつでもチャレンジでき、自らの能力と努力によって自己の未来を切り拓いていけるよう学習支援システムの整備を図り、地域に根ざし、地域に開かれた学校づくりを進める。


【改革の方向】
  1. 社会人等の学習ニーズへの対応
     単位制高等学校の弾力的な履修制度を活用して、高等学校の教科・科目の一部履修を可能にするとともに、教職員の協力などにより、多様な生涯学習講座を開講し、学校のもつ教育力を地域に積極的に提供する。
  2. 学校施設等の開放
     余裕教室等を活用した地域コミュニティ活動等への場の提供や体育施設・図書館等の施設開放を積極的に進める。
  3. 学社融合の推進
     近隣の大学との連携や地域の社会教育施設等を活用し、学社融合の視点に立って学校の教育活動の活性化を図っていく。
  4. 学校支援ボランティアの推進
     地域に支えられ、地域に貢献する学校づくりを推進する観点に立って、地域の人々にボランティアとして参加を促し、教育活動の充実を図っていく。
  5. 学校外の意見を取り入れる仕組みの検討
     活力ある学校づくりを推進する観点に立って、保護者や地域の人々の意見を学校運営に取り入れる仕組みについても検討を進める。
2 学習成果の評価
これからの社会にあっては、どこで学んだかという以上に、何を学び、何ができるのかということが極めて重要であり、そのためには、これまで主として行われてきた学習機会の場や機会の提供だけでなく、学習の成果を社会で通用させるシステムが不可欠である。このため、高等学校においても、地域の人々が学習して得られた成果を教育活動の中に生かしていくとともに生徒の校外での様々な活動や成果を単位として認めるなど、学習成果を評価し活用する仕組みの工夫をする。


【改革の方向】
  1. 地域の教育力の活用
     地域の優れた人材を授業や部活動等の教育活動において積極的に活用しその活性化を図るとともに、人々の学習の成果を地域社会の発展に生かす観点に立って、高齢者や女性等の個人のキャリア開発に努める。
  2. 体験活動の評価
     地域での生徒のボランティア活動、文化活動、自然体験や就業体験等の様々な体験の評価を積極的に行うとともに、その成果を可能なものについては単位として認定するなど、制度の整備・拡充を図る。
《推進計画》
前 期(〜平成15年度) 後 期(〜平成20年度)
・単位制高等学校における一部科目履修、生涯学習講座等による社会人等の学習ニーズへの対応
・学校支援ボランティア登録制度の整備、学校外の学習成果の単位認定の拡充
・学校の施設開放や人材の相互交流等を通して地域に根ざし地域に開かれた学校づくりを推進
 
 

〔その他の事項〕

 
1 実施計画の広報と見直し
高等学校教育改革を推進するに当たっては、教育関係機関との協議・調整に努めるとともに、実施計画の内容及び各高等学校の特色等について、中学校生徒や教員、保護者をはじめ県民への広報・啓発を積極的に行うこととする。また、後期の推進計画については前期の推進状況や実施内容の検証、その後の状況の変化等を踏まえ、適切な時期に見直しを行う。
2 教育条件等の整備
 生徒減少期において一人一人の個性の伸長と多様な学びに対応する教育の質的な充実を図るため、人員配置や施設・設備などの教育環境・教育条件の整備に配慮するとともに、教職員の人事異動に当たっても、学校の個性化・多様化の推進に向けた人材の配置に配慮する。
3 市立高等学校との関係
 実施計画は県立高校を対象として策定するが、市立高等学校の設置者である市教育委員会と将来構想等について協議・調整し、県立・市立が相まって改革を推進していく必要がある。また、通学区域、募集定員、入学者選抜等については、今後とも協議・調整のうえ、協調して推進していく必要がある。
4 私学との関係
 本県の高等学校教育については、これまでから公立高等学校と私立高等学校が公私協調に基づいてその充実を図ってきたが、生徒の減少期を迎え、今後は兵庫の教育の質的な向上に向けて特色ある学校づくりを一層推進する中で、互いに切磋琢磨しつつ協調と競合を図っていくことが大切である。

           
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