第4回県立高等学校長期構想検討委員会発言要旨
1 日 時 平成18年12月25日(月)10:00〜12:00
県立高等学校長期構想検討委員会 報告(素案)について
※ 第1回〜第3回の検討委員会の協議をもとに事務局で作成した県立高等学校長期構想検討委員会の報告(素案)をもとに協議
・ 本日配付された資料を、第3回検討委員会の発言要旨とすることについて委員会として了承してよいか。
・ 委員会の了承を得られたので、第1回・第2回検討委員会の発言要旨同様、第3回検討委員会の発言要旨を事務局で適切な方法で公表して欲しい。
・ すみやかに県教育委員会のホームページで公表することを予定している。
〔県立高等学校長期構想検討委員会 報告(素案)についての発言〕
・ 第二次実施計画の方向性における「今後の高校教育のあり方」の中で、「各高校が切磋琢磨しながら教育活動や学校文化における特色化に努力し」と記載されているが、「学校文化」という言葉はどのような意味か。また、「切磋琢磨」という文言が必要か。
・ 第二次実施計画の方向性における「魅力ある教育活動の推進にあたっての視点」の方向性の中で、生徒の生きる力をはぐくむこととキャリア教育が結びつけられているが、キャリア教育が生きる力をはぐくむことにつながるのか。
・ 高校の特色化といえば、これまでは教育課程の特色化に主眼がおかれてきたが、課外活動や学校行事等を含めたものを「学校文化」ととらえ、今後は学校文化の特色化も進める必要があると考えている。
・ キャリア教育には、狭義と広義の捉え方があると思うが、本来は生き方・在り方の教育という広い意味で捉えるものである。今回の報告(素案)では、そうした広い意味のキャリア教育として記載すればいいのではないか。
・ いわゆる受験学力のみによる競争や序列化はよくないと思っているが、「切磋琢磨」ということは必要であると思う。
・ 「学校文化」には、文化祭などの行事や部活動、制服、校風などいろいろなことが含まれる。学校の個性化・特色化を進めるために、学校文化においても特色化を図ることは記載しておいた方がいいと思う。ただ、「学校文化」という言葉の意味が分かりにくいのであれば、用語解説の中に入れてはどうか。
・ 第二次実施計画の方向性における「今後の高校教育のあり方」の中で、「生徒の多様なニーズに対応した教育内容を用意する」と記載されているが、「用意する」という表現では、教育内容を「生徒のいうことに合わせる」という意味に読みとれる。生徒の個性を伸ばすために、もっと学校として「意図」したり「指導」するという主体的な表現にならないか。
・ 第二次実施計画の方向性における「県立高等学校の望ましい規模と配置」の方向性の中で、「通学区域については今後その望ましい在り方を検討していく必要がある」となっているが、他府県での学区拡大の流れをみれば、兵庫県でも生徒の選択肢を広げる意味で学区を広げることは有効であると考えられる。
・ 平成20年度から総合選抜の尼崎学区と明石学区にも新しい選抜制度が導入されるが、他の総合選抜の学区についても見直しを進めていくべきだと思う。
・ 第二次実施計画の方向性における「入学者選抜制度・方法の改善」の方向性の中で、「新しい選抜制度については全県的な導入を推進することが望ましい」と記載されている。ここには、総合選抜の見直しも含まれていると考えていいか。
・ 第二次実施計画の方向性における「今後の高校教育のあり方」の中で、「生徒の多様なニーズに対応した教育内容を用意する」と記載されているところについては、「用意する」を「工夫する」か「創意工夫する」といった表現にしてはどうか。
・ 学区の拡大については、兵庫県では他府県に比べ地域によって状況がかなり違うことを考慮する必要があると思う。
・ 第二次実施計画の方向性における「大学や地域等との連携」の方向性の中で、「生徒一人一人の職業観・勤労観を育成するために、すべての学科でインターンシップをさらに推進していく」と記載されている。インターンシップは就業体験であると思うが、普通科でも就業体験をするのか。
・ 現在、兵庫県では、高校生就業体験事業の中で、普通科も含めたすべての県立高校で、職業人の講演や大学の研究室や研究機関での体験等も含めて、何らかの形での就業体験を実施することを推進している。
・ インターンシップは職業準備教育的なものではないか。職業観・勤労観を育成するためには、「キャリア教育を推進する」とつなげた方が自然ではないか。
・ 高校生就業体験事業の中で、県庁インターンシップも実施しているが、単にその仕事の内容を知るというだけでなく、体験を通じての職業観や勤労観を育てることを目的としている。
・ 普通科の高校でも、大学の研究室での実習を希望する生徒もいる。また、大学教授に高校に来ていただき話をしてもらう機会を作る中で、生徒に将来の生き方や在り方を考えさせる機会を作っている。
・ 第二次実施計画の方向性における「大学や地域等との連携」の方向性の中には、地域との連携について具体的な内容が触れられていない。都市部の高校では必ずしも学校の近くの生徒が多く通学しているわけではないので、地域との連携は難しいところもあるが、地域との連携については具体的に記載する方がいいのではないか。
・ 第二次実施計画の方向性における「今後の高校教育のあり方」の中で、「各高校が切磋琢磨しながら教育活動や学校文化における特色化に努力し、それを選択できるシステムにする」と記載されているところについては、その高校を選んで入学した生徒に対応すること、また、魅力ある学校をつくることは高校の責務であることからも、「切磋琢磨」という言葉を残しておいて欲しい。一方、「それを選択できるシステム」という表現は少し分かりにくいのではないか。
・ 全体を通して、特別支援教育についての記載がないが、何らかの形で触れておく必要があるのではないか。
・ 第一次実施計画における「その他」の課題の中で、「発達段階に応じた体系的な全国に誇れるキャリア教育を、小中高が連携しながら創造すべき」と記載されているが、「発達段階に応じた体系的な」という表現は、やや抽象的なのでもう少し具体的なことを書いた方がいいのではないか。
・ 報告(素案)では「特色ある教育」という言葉が多く使われている。第2回検討委員会で授業を見学させていただいた、総合学科の武庫荘総合高校は本当に特色ある教育を行っており、すばらしいと感じた。ただ、「特色」ということばはシンボル的に使われているように思われるが、「特色」の中に「大学進学」も入っていると考えているのか。
・ 兵庫県における公教育は、公立だけでなく私立も担っている。現在設置している芦屋国際中等教育学校は、公立でしかできない中高一貫教育校だと思うが、今後、大学進学を目指した中高一貫教育校も作っていく予定はあるのか。
・ 複数志願選抜の検証の一つとして新入生対象にとったアンケートの中で、第1志望校の決め手を聞いた設問の選択肢に「大学等への進学や就職の状況」を含めており、進学や就職の状況も特色の一つであると考えている。しかし、それだけで学校が序列化されることは好ましくないことであり、学校行事や部活動なども含めて、高校の特色は多面的に見て欲しいと考えている。また、そうした各高校の特色に応じて、生徒が高校を選択できるようにすることが大切であると考えている。
・ 中高一貫教育校については、郡部における1〜2学級の小規模な学校に絞って考えている。こうした高校では、生徒数が減る中で、分校となることやさらには閉校することが、地元でも憂慮されている。こうした中であっても、地域が支えていける状況があれば、連携型の中高一貫教育校とすることも活性化の一つの方法ではないかと考えている。
・ 我々は、いわゆる受験学力という尺度で高校を序列化することは考えていない。少なくとも第二次実施計画を策定する上で、受験学力一辺倒で高校教育改革を考えていこうという発想ではないことを理解して欲しい。
・ 学区は統合していなくても、自由学区を設置していることで、他学区から成績の良い生徒が集まっている公立高校がある。
・ 学区を拡大すると、学校間格差が広がるのではないかという心配がある。また、中学生が多くの高校の中から進学したい高校を選ぶ力があるのかどうかも疑問である。中学生が高校を選択するために、高校のオープンハイスクールに参加しているが、オープンハイスクールの回数が増えることになれば、中学校では授業ができず授業確保が難しくなるという現場の問題が生じてくる。
・ この検討委員会は公立高校の教育改革について協議している会であるが、私立高校のことも念頭においた上で、考える必要があると思う。
・ この検討委員会では、ドラスティックな学区の改編までは考えていないが、第二次実施計画の次の計画を考える時には、公立も私立も含めて、生徒の高校選びの選択肢の校数はどのくらいがいいのかということを考えることも必要になってくるかもしれない。
・ 学区については、兵庫県は交通の不便な地域もあり、他の都道府県と同じように考えることは難しいと思う。
・ 特色ある教育ということについては、それぞれの学科によりその評価の規準は違うはずであり、一律に進学や就職の状況で評価するということは好ましくないと思う。
・ 生徒数が減っている一方で、重度の障害がある生徒は増えている。高校においてもその問題を考えることが必要であり、検討委員会の報告の中でも、特別支援教育について何らかの形で触れることが必要であると思う。
・ 他の委員も発言されたように、特別支援教育については何らかの形で触れてはどうか。
・ 障害児を持っている親から、高校進学についての悩みを聞くことがある。特別支援教育について触れて欲しい。
・ 第二次実施計画の方向性における「入学者選抜制度・方法の改善」の方向性の中で、「複数志願選抜と特色選抜からなる新しい選抜制度については、全県的な導入を推進することが望ましい」と記載されているが、県立高校と市立高校の両方がある学区については、県と市が連携して進めて欲しい。
・ 第二次実施計画の方向性における「入学者選抜制度・方法の改善」の配慮すべき事項の中で、「新しい選抜制度を導入する際には、制度の趣旨やしくみについて中学生やその保護者に十分周知・広報を図る必要がある」と記載されているが、生徒や保護者に説明する中学校の教員にも十分説明して欲しい。また、小学校の保護者へも説明をして欲しい。
・ 入学者選抜においては、塾の存在も無視できないと思う。
・ 高等学校については適格者主義という考え方もあるが、公立高校の教育が税金で賄われていることを考えると、すべての子どもに高校教育を提供するという考え方も必要ではないか。小中高校までは、社会保障の一環だと思う。
・ 兵庫県では中退者率は全国平均より低いが、定時制に限れば約15%ある。不登校率も全国平均よりは低いとはいえ約2%ある。授業料の減免者は少しずつ増えており、貧困家庭が増加している。貧困家庭の子どもや障害がある子どもが高校教育においても排除されないことが必要ではないか。
・ これらの課題については、本文の中に入れ込むのは難しいと思うので、「おわりに」を作って、その中で「こうしたことも検討委員会で議論した」という形で列挙してまとめてはどうか。
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氏 名
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所 属 ・ 職 名
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出 席
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委
員 長
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梶田 叡一
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兵庫教育大学長
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○
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副委員長
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桂 正孝
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宝塚造形芸術大学教授
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○
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委 員
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天野 明弘
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兵庫県立大学副学長
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欠
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委 員
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長瀬 荘一
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神戸女子短期大学副学長
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○
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委 員
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渡邊三枝子
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筑波大学特任教授
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欠
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委 員
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小田
毅
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県議会文教常任委員会委員長
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○
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委 員
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池田 志朗
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県経営者協会会長(川崎重工業顧問)
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○
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委 員
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田治米政美
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日本労働組合総連合会兵庫県連合会会長代理
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○
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委 員
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糸野 清明
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神戸新聞論説委員
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○
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委 員
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西門 義博
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県私立中学高等学校連合会理事長(三田学園理事長)
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○
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委 員
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小川 雄三
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都市教育長協議会長(神戸市教育長)
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代理出席
(池内神戸市教委指導部長)
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委 員
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圓尾 哲一
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町村教育長会長(太子町教育長)
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○
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委 員
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松下 敬幸
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県立高等学校PTA連合会長(県立長田高校PTA会長)
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欠
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委 員
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内藤美佐子
|
県PTA協議会理事(西宮市PTA協議会長)
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○
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委 員
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藤井
修
|
県立高等学校長協会長(県立長田高校長)
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○
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委 員
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伊藤 正幸
|
市立高等学校長会長(神戸市立兵庫商業高校長)
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○
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委 員
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岸本 芳信
|
県立高等学校長協会工業部会長(県立兵庫工業高校長)
|
○
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委 員
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稲垣
明
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県立高等学校長協会定通部会長(県立神崎工業高校長)
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○
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委 員
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岸野 建陽
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県中学校長会長(神戸市立横尾中学校長)
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代理出席
(梶神戸市立本山中学校長)
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委 員
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江原 礼子
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県小学校長会代表(伊丹市立緑丘小学校長)
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○
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委 員
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田中 章愛
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県立香寺高校教諭
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○
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委 員
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塚田 良子
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三田市立ゆりのき台中学校教諭
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○
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事務局 岡野幸弘(教育次長)、平井敬員(高校教育課長)、吉田耕造(高校教育課主幹)、
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