第2回県立高等学校長期構想検討委員会発言要旨

 

1 日 時  平成18年10月31日(火)10:30〜12:30

 

2 場 所  県立武庫荘総合高等学校

 

3 出席者  別紙

 

4 会議の概要

(1)第1回検討委員会発言要旨の確認

(2)協 議

   「県立高等学校教育改革第一次実施計画」の評価・検証及び「県立高等学校教育改革第二次実施計画」(仮称)の方向性について

 (ア)各学校の個性化・特色化の推進

 (イ)県立高等学校の望ましい規模と配置

 (ウ)入学者選抜制度・方法の改善

 (エ)定時制高校の活性化と望ましい配置

 (オ)その他(改革全体の評価・検証及び方向性等)

 ※ 会議に先立って、県立武庫荘総合高等学校の施設見学及び授業見学を実施

 

5 発言要旨

〔第1回検討委員会発言要旨の確認〕

  委 員

    ・ 本日配付された資料を、第1回検討委員会の発言要旨とすることについて委員会として了承してよいか。

  委 員

    ・ 異議なし。

  委 員

    ・ 委員会の了承を得られたので、第1回検討委員会でその取扱いを決めたとおり、第1回検討委員会の発言要旨を事務局で適切な方法で公表して欲しい。

  事務局

    ・ すみやかに県教育委員会のホームページで公表することを予定している。

 

〔各学校の個性化・特色化の推進についての発言〕

  委 員

    ・ 本日、県立武庫荘総合高校の授業を見学させてもらったが、生徒のニーズに応じて少人数での講座を開設されていることに感心した。

  委 員

    ・ 総合学科の特色は、生徒の進路に応じた選択科目を用意することだと思うが、本日見学した「茶道」の授業は、生徒の将来の進路にどう結びつくのか。

  委 員

    ・ 総合学科では、将来の進路に結びつくものだけでなく、今の15歳の子供たちが求めている科目も開設している。「産業社会と人間」では、「自分を知る、社会を知る、自分と社会のつながりを知る」ことを目標にした授業を行っている。そのため、本校でも将来の進路に対応した科目を選択させるとともに、生徒の興味・関心のある科目も選択させ、生き生きと学ばせるようにしている。

  委 員

    ・ 兵庫県の高校では、現在「授業改善」をテーマに研究授業の実施などの取り組みが進んでいるが、どこの高校でも感じることがある。日本の高校生の学ぶときの雰囲気がやや暗い。もっと明るく楽しく学べる授業づくりができないか。これは、どの学科でも共通した課題である。

    ・ 高校では、専門性の強いところであってもベースには共通した教養が必要である。ベースとなるものとしては、まずは対話する能力などコミュニケーション能力、次に、幅広い教養としての茶道のような日本の伝統文化や国際理解、さらに、大人になっていく上で自分の考えを持つことが必要ではないか。総合学科では、この様な学びが含まれており、他の高校でも見習いたい。

    ・ 中学校では、9教科の学習が中心で、それ以外の内容、例えば福祉に関する内容は「本来すべきもの以外」という認識になりがちだが、総合学科ではそうした中学校での学習の枠に入りきらない生徒の興味・関心に対応した科目を学習できるところが特色である。こうした総合学科も、高い専門性を身につける専門学科も、普通科も、いろいろな種類の学科があっていい。

    ・ 総合学科や特色ある学科の課題は、その特色を中学生に分かりやすく伝えることがまだ不足している点である。

  委 員

    ・ 「茶道」を授業で行うことを否定しているのでなく、進路に結びつくものなら選択でよいが、幅広い人間性を育てる科目といわれるのであれば、全員に学ばせることも検討してもいいのではないか。

  委 員

    ・ 高校教育は青年期の教育である。従って、世の中に出て行くための科目の学習も、一生涯心豊かに生きていくための土台となる科目の学習のどちらもが必要である。それぞれに必修科目と選択科目を設置し、多様なものとすべきである。

  委 員

    ・ 授業見学を通して、施設設備や人的配置を有効に活用していると感じた。総合学科の実践を総合学科以外の学科にも広げるよう、総合学科とそれ以外の学科での学校間連携を可能にするよう検討してはどうか。

  委 員

    ・ 私立中学高等学校連合会が中学校3年生対象にとられたアンケートでは、高校を選ぶにあたって重視することや利用したい情報など、興味深い質問項目がある。今後、県教育委員会でも同様のアンケートをとることを考えてはどうか。

  事務局

    ・ 県では現在中学3年生対象のアンケートをとっていない。今後研究していきたい。

  委 員

    ・ このアンケートは、各地域の学校数や生徒数に比例して対象者数を決め、無作為抽出で対象者を選んで実施している。同様のアンケートは大阪でも実施されている。

  委 員

    ・ 総合学科は、学区に1校ぐらい作ってはどうか。普通科の特色は難しいので、新しいタイプの学校で生徒の選択を広げてほしい。

    ・ 情報、福祉、芸術などの特色ある専門高校は、第一次実施計画の中にあったが設置できていない。そこで、第二次実施計画の段階で前に進むよう考えていって欲しい。

  委 員

    ・ 総合学科は、学校規模が小さいと選択科目を十分設置できないため、ある程度の学校規模が必要である。

  委 員

    ・ 高校が特色化することはいいが、中学校を卒業するときに、高校を選択する能力はあるのか。

  委 員

    ・ 今日見学したような総合学科の授業を、中学生にも見学させることができたらよいのだが。

  委 員

    ・ 中学生の中には、高校を選択するにあたっての意識の高い生徒と低い生徒がいる。トライやる・ウイークやオープンハイスクールなども生徒の進路意識を高めることにつながるが、親の働く姿をもっと子どもに見せるべきだと思う。

  委 員

    ・ 進路意識の問題として、中学校になると学力差が出てくるため、実態として進路が分かれざるを得ないということがある。こうした差があるということを念頭において考えていく必要があると思う。

 

〔県立高等学校の望ましい規模と配置についての発言〕

  委 員

    ・ 現在の通学区域についての基本的な考え方を教えて欲しい。

  事務局

    ・ 現在兵庫県では中学区制をとっており、16の学区がある。阪神・神戸などの7地域の中をさらにいくつかの市町によってまとめた形で各学区が構成されている。ただし、平成17年度に統合した神戸第一・芦屋学区は、神戸地域と阪神地域の両方にまたがっている。

  事務局

    ・ 16の通学区域は、普通科の学区である。総合学科や単位制高校の推薦入学や専門学科では、全県学区となっている。県全体では、総募集定員の約2割が全県から出願できる。

  委 員

    ・ 神戸第一学区と芦屋学区を統合して、現在の状況はどうなっているか。

  事務局

    ・ 神戸第一学区と芦屋学区を統合したのは、芦屋学区の高校数が少なくなり、芦屋市内の中学生の選択肢が少なくなっていたことに加え、神戸第一学区の一部から芦屋学区の高校にも出願できるようになっていたからである。統合する時には、生徒や保護者の中には、「隣の学区の高校も受検できるようになって良かった」という意見と、「隣の学区からも受検できるので合格しにくくなるのではないか」という意見の両方があったが、学区を統合した現在の状況をみると、高校選びの選択肢を拡大するという点では効果があったと考えている。

  委 員

    ・ 子どもが選択する特色の中に、学力であったり総合学科があったりするのがあってもよいと思う。

    ・ 通学区域については、現在の通学区域を定めた時期と比べて、交通機関はかなり発達している。そうした中では、例えば神戸市は1つの学区とするなど、通学区域は拡大の方向で考えてもいいのではないか。

  委 員

    ・ 通学区域が拡大され、例えば全県1学区にでもなると、中学校の教員が進路指導をしなければいけない高校の情報が膨大になるという課題もある。

    ・ 隣接する学区に行けるようになっていても、できれば地元の学校に行きたいという思いがある。

  委 員

    ・ 学区外から入学してくる生徒の中には、「地元の高校に進むことが嫌だった」と言う生徒が含まれている。例えば、特色選抜においては、普通科であっても学区外から受検できるようにするといった柔軟なことを考えてはどうか。

  委 員

    ・ 通学区域の問題は、受け入れる側(高校)と送り出す側(中学)で意識が違う。送り出す側では、多様な高校の特色を一つ一つ生徒に説明し、それぞれの生徒にあった高校を指導しなければならない。学区が拡大することで、中学校の教員がすべての高校の情報を把握して十分進路指導できるかどうか心配である。

  委 員

    ・ 兵庫は同じ県内でも地域によって状況が異なり、一律に考えるのは難しい。実態に即した通学区域を考えていく必要がある。通学区域が拡大されれば、選択肢が広がる代わりに、地元の子どもが地元の学校に行きにくくなるということも起こり得る。

  委 員

    ・ 従来の学区の外から成績上位の生徒が入ってきたら、成績下位の生徒が地元の高校でなく他の地域の高校を受検しなければならなくなる場合も考えられる。

  委 員

    ・ 兵庫の場合は広いので全県1区にするとひずみが大きいと思うが、現在の学区では閉塞感があるのも事実である。生徒にとっては、もう少し選択肢が欲しいと思っているのではないか。県下7地域を基本にした学区にすることを検討する価値はあるのではないか。

  委 員

    ・ 通学区域を広げると、遠くの学校に進学する場合交通費がかかる。授業料を免除されている割合も調べた上で議論した方がいいのではないか。

  委 員

    ・ 平成19年度から県立の商業・家庭に関する専門学科は全県学区になるが、すでに全県学区になっている他の専門学科の状況を見ると、学校によっては、実際に学区外から入学している生徒は少数であるというところがある。従って、通学区域が広がっても、志願状況は大きく変わらないと思う。ところが、中学校側は学区外から入学してくる生徒がたくさんいるのではないかとかなり心配していると聞いた。高校側と中学側での受け止め方が違う。

  委 員 

    ・ 専門学科において通学区域を県下全域にしても、実際に学区外から志願する数は少数である。しかし、そのことについての中学側と高校側の意識がかなり違う。

 

〔入学者選抜・方法の改善についての発言〕

  委 員 

    ・ 入学者選抜における調査書が、相対評価から絶対評価に変わり、10段階から5段階になったことで、1段階の重みが大きくなっている。

  委 員

    ・ 阪神間は総合選抜であるが、総合選抜学区の中で総合学科は単独選抜なので、生徒が選んで納得して入学してくる。しかし、普通科の場合、総合選抜なので例えば尼崎学区や西宮学区では90%、伊丹学区では65%は居住地優先になっているため、学校を選べずに入学してくる。そうしたことが高校の特色化の足かせになっている。

    ・ 定時制では、入学者のうち約3割が不登校経験者である。そのうち約7割は高校入学後不登校から脱却している。この理由は、中学校時代の人間関係を引きずることなくリセットできているからだと思う。ところが、過去を断ち切ることが総合選抜では難しい。同じことは、統合等で学校数が減り小規模化した学区でも言える。複数の学校が選べる状況となるべきだ。

  委 員

    ・ 総合選抜学区では、高校入試が近づいても行く学校が決まっているので勉強しないと聞いた。高校に対しても学力がつく教育を期待する声が多い中で、もっと子どもたちが学ぶ意欲を持ち頑張れるような選抜制度にすべきである。あわせて、特色化の進んでいない地域については、魅力ある学校づくりをさらに進めていって欲しい。

  委 員

    ・ なぜ少子化になるのかということを議論したことがある。そのとき話が出たのは、子どもの教育にはお金がかかり「これ以上産めませんよ」ということだった。だから、少ない子どもを手塩にかけたいという思いになる。少子化の問題を考える上では、公立高校もいわゆる学力をつけることをもっと目標にすべきではないか。

  委 員

    ・ 私学助成の問題があるが、公立・私立をこえて、生徒がいろんな学校から選択できる形にしていくことが望ましいと思う。

    ・ 高校の特色化を考える中で、入口(高校入試)もその特色にふさわしい方法で実施することを考えてもいいのではないか。

  委 員 

    ・ 複数志願選抜の実施学区においては、第一志望加算点の関係で、複数志願選抜実施校以外の学校では、志願変更前に志願者が定員に満たない学校がある。

    ・ 特色ある教育を行う学校については、県下どこからでも出願できるようにすべきである。

    ・ 他県の国立大学では、高い職業意識を持った生徒をとるために、専門学科枠を設けている。職業に関する学科の入試も、そうしたことを視野に入れて考えていくべきである。

 

〔定時制高校の活性化と望ましい配置についての発言〕

  委 員 

    ・ 多部制単位制高校のニーズは多い。是非設置を考えて欲しい。

  委 員

    ・ 現在、不登校生徒の問題がクローズアップされている。そうした意味で、西宮香風高校のような多部制高校をもっと増やして欲しい。

 

〔その他(改革全体の評価・検証及び方向性等)の発言〕

  委 員

    ・ 高等学校の教育で一番大切なのは、中退者を出さないことだと思う。どんなに特色ある教 育をしていても、中退者を出したら意味がない。また、大学入試だけでなくもっと大切なものがある。掃除をせずに単語を覚えているような生徒が将来の日本のリーダーになるようではいけない。

  委 員

    ・ 兵庫県の高校中退率は、全国平均よりも低い。しかし、なおいっそう中退者を少なくするよう考えていくべきである。

    ・ 生徒が満足感を得ることができるようなことができる学校が必要である。

        

(別 紙)


 


  氏 名


       所 属 ・ 職 名


 出  席


委 員 長


梶田 叡一


兵庫教育大学長


    ○


副委員長


桂  正孝


宝塚造形芸術大学教授


    ○


委  員


天野 明弘


兵庫県立大学副学長


   ○


委  員


長瀬 荘一


神戸女子短期大学副学長


   ○


委  員


渡邊三枝子


筑波大学特任教授


   欠


委  員


小田  毅


県議会文教常任委員会委員長


   欠


委  員


池田 志朗


県経営者協会会長(川崎重工業顧問)


   ○


委  員


田治米政美


日本労働組合総連合会兵庫県連合会会長代理


   ○


委  員


糸野 清明


神戸新聞論説委員


   ○


委  員


西門 義博


県私立中学高等学校連合会理事長(三田学園理事長)


   ○


委  員
 


小川 雄三
 


都市教育長協議会長(神戸市教育長)
 


代理出席
(池内神戸市教委指導部長)


委  員


圓尾 哲一


町村教育長会長(太子町教育長)


   ○


委  員


松下 敬幸


県立高等学校PTA連合会長(県立長田高校PTA会長)


   ○


委  員


内藤美佐子


県PTA協議会理事(西宮市PTA協議会長)


   ○


委  員


藤井  修


県立高等学校長協会長(県立長田高校長)


   欠


委  員


伊藤 正幸


市立高等学校長会長(神戸市立兵庫商業高校長)


   ○


委  員


岸本 芳信


県立高等学校長協会工業部会長(県立兵庫工業高校長)


   ○


委  員


稲垣  明


県立高等学校長協会定通部会長(県立神崎工業高校長)


   ○


委  員


岸野 建陽


県中学校長会長(神戸市立横尾中学校長)


   ○


委  員


江原 礼子


県小学校長会代表(伊丹市立緑丘小学校長)


   ○


委  員


田中 章愛


県立香寺高校教諭


   ○


委  員
 


塚田 良子
 


三田市立ゆりのき台中学校教諭
 


   ○
 

 ※ 委員以外に、県立武庫荘総合高等学校白水陽一校長が設置要項第5条3項により出席

 事務局  岡野幸弘(教育次長)、平井敬員(高校教育課長)、吉田耕造(高校教育課主幹)、

      中野憲二(高校教育課高校教育改革係長)、指導主事