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第1学期終業式(R1.7.19)校長挨拶

 皆さんこんばんは。いよいよ夏休みですね。電気科科長の高橋先生が発行している「稲妻通信」にも書かれていましたが、この機会を利用して是非、旅に出てみてください。そこには人との出会いや今まで気づかなかった自分との出会いがきっと待っています。

 さて、私は国語の教師なので、今日は漢字の話をしたいと思います。先ほどの話ではないですが、旅に出ると皆さん「おみやげ」を買いますよね。「おみやげ」は漢字で書くと「土」「産」と表記します。これは「その土地の特産品」という意味を表しています。ただこの表記では「どさん」もしくは「とさん」としか読めません。これがなぜ「みやげ」になったのでしょう。

 実はその土地の産物を「よくて選び、人に差しげ」たので「みあげ」。それがなまって「みやげ」となったのです。つまり「土産」は当て字だということです。みなさん、お土産を「おどさん」と読んで笑われた経験はありませんか。でも、ある意味「おどさん」の方が漢字の読みとしては正しいのです。

 このように、当たり前だと思っていることの背景に、いろいろな「理由」が隠されていることが、漢字の世界ではよくあります。今使った「当たり前」も実はそう。「当然」と書くべきところを誰かが間違えて「当前」と表記したことから生まれた言葉です。ですから「当然」と「当たり前」の意味の違いを論じるなんてナンセンスなのです。

漢字に限らず、「そんなの常識だ」と思い込んでいることが身の回りにたくさんあります。でも、それは表面上そうであるだけで、調べてみると奥深くにそうである「理由」が隠されています。ものを知るというのはそういうことです。「常識」に目隠しされていてはだめです。「常識」を疑うところから「想像力」も「創造力」も生まれるのです。