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第69回卒業証書授与式校長式辞

  厳しい冬を乗り越えた和田岬の街路樹も芽吹きはじめ、ようやく春の訪れが感じられる今日の佳き日に、ご来賓の皆様ならびに多数の保護者の皆様のご臨席を賜り、兵庫県立神戸工業高等学校第69回卒業証書授与式が挙行できますことを、誠に嬉しく思います。

 この栄えある式に、公私ご多用のところご臨席賜りましたご来賓の皆様に、高いところからではございますが、教職員一同を代表しまして、厚くお礼申し上げます。

 ただいま卒業証書を授与しました59名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本校における全課程を修了し、大きな目標であった卒業証書を手にすることとなりました。心からお祝い申し上げます。

 また、この日までお子さま方の勉学や生活を支え、励ましてこられた保護者の皆様、お子さま方のご卒業おめでとうございます。そして、ご苦労様さまでした。幾多の困難を乗り越えて、卒業を迎えることができましたのは、保護者の皆様のご理解とご協力の賜物と、深く感謝申し上げます。

 さて、卒業にあたり卒業生の皆さんに、私からはなむけのメッセージを贈りたいと思います。

 それは、何度か話したことですが「何事も諦めず一歩ずつ進むことでゴールが見えてくる」、だから「前向きに進んで欲しい」ということです。

 皆さんが本校に入学してから、こうして卒業を迎えるまでには、多くの困難があったと思います。皆さんのほとんどは、昼間は仕事をして、夕方から本校で勉強しました。仕事と両立しながら学校に通い続けることは、口で言うほど簡単なものではなかったでしょう。勉強や実習が難しくて欠点をとったこと、欠席時間数がオーバーになりかけたこと、クラスの中での葛藤やトラブル。そして、途中で挫折する仲間も見てきたと思います。でも、そうした中、皆さんはこうして卒業まで頑張り抜きました。入学前も入学後も、自分に自信が持てなかった人もいるかもしれません。でも、卒業できました。今は諦めずに卒業まで努力した自分に、胸を張って、自信を持って欲しいと思います。

 ですから、学校や仕事に限らず、何事も根気よく前向きに考え、一歩一歩進んでいこうとする気持ちや姿勢を持ち続けて下さい。それが大切です。

 さらに付け加えるならば、皆さんの周りの人たちのことを忘れてはいけません。皆さんがこうして卒業できるようになるまで、家族や先生、友達、職場の方々など、多くの人が、皆さんを支え、励まし、応援してくれたはずです。そして、これからも多くの人に支えられながら人生を歩むことでしょう。一歩一歩前向きに。

 今、社会は工業技術の進歩が目まぐるしい時です。皆さんが入学した頃と較べても身の回りで変わったこともたくさんあるはずです。電灯がLEDになり、スマートフォンをコミュニケーションツールとして使いこなす人が増えました。IT技術は円熟し、インターネットと端末で情報とモノとを結ぶIoTの出現や、膨大な情報を有効的に選ぶ人工知能AI、仮想現実を創り出すバーチャルリアリティVR、自動車やバスの自動運転などの実用化。建築の世界ではリフォームからリノベーションへと流行が変化しました。今後、どのように社会が変化していくのか予想が付きにくい時代です。さらに、経済も不安定な時代です。皆さんは、これからどう生きていくのでしょうか。目の前のことだけしか考えられず、世界がどう動くのかなんて自分には関係ないと、考えがちです。しかし、現実の社会という足元をしっかり見つめながら進むことも、社会人としては大切なことです。一歩一歩踏みしめながら。

 最後になりましたが、保護者の皆様、ご来賓の皆様には、今後とも、本校のさらなる発展のためにご指導・ご鞭撻を賜りますようにお願い申し上げます。

卒業生の皆さん。教職員一同これからも皆さんのことを心から応援しています。卒業生の限りない前途を祝福し、式辞とします。

 平成29年2月28日

                      兵庫県立神戸工業高等学校

                      第23代 校 長 長船 洋二郎