KOBE High School Super Sciense Program, Hyogo Prefecture

県立神戸高等学校 総合理学科

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県立神戸高等学校

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※ 総合理学科は,「普通科総合理学コース」が発展した新しい学科です。

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サイエンスツアーⅡ「京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所」

活動の目的と方法

写真:実習調査研究船と生徒たち
実習調査研究船と生徒たち

 サイエンスツアーとは「先端科学の現状や研究の様子を体験的に学びながら,科学や科学技術に対する関心と理解を深めること」をねらいとする,総合理学科の活動です。

具体的には,以下の点を考慮して学習内容を決定して実施します。

  • 研究施設において長時間の体験学習を行う。そのために,サイエンスツアーは土曜日や長期休業日を利用して行う。
  • 体験学習の内容は,将来の進路目標の一つである「理系の研究者」という職業の専門性を念頭においた上で,研究や科学技術に対する理解を深めるものにする。
  • 体験学習は研究施設の設備を使い,少人数のグループに分かれて実習や実験を行う。
  • 実際に最先端の施設や設備の稼動の様子や,どのような研究がどのように進んでいるかといった先端科学の現状や研究の様子を理解するための時間を設ける。

 平成19年度のサイエンスツアーⅡは,野外活動を含む研究をターゲットとして,京都府舞鶴市の京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所に出かけて行いました。主な研究の場が研究施設内であったサイエンスツアーⅠとあわせて,研究の方法やデータの考察に関してより広い知識をもち,上記のねらいが実現できることをめざす活動です。


「サイエンスツアーⅡの内容

 学校ではできない実習や実験を専門的な立場から指導していただきました。その結果,生徒は研究の一端を理解するとともに,野外実習の厳しさ,人間の暮らしと環境についても学習しました。内容は以下のとおりです。


1.実習:

写真:仕掛けたカゴトラップの引き上げ
カゴトラップの引き上げ
写真:ボートに乗り刺し網を回収している生徒(手前)
ボートに乗り,刺し網を回収
テーマ「より閉鎖的で生活排水の影響が現れやすい東舞鶴支湾を午前と午後に各2定点ずつ調査し,私たちの暮らしが内湾環境にどのような影響を与えているかを考える。」

 生徒は2グループに分かれ,午前と午後で交互に下記の実習を行いました。

  • 実習Ⅰ「刺し網トラップ採集」:
    舞鶴水産実験所周辺に仕掛けた刺し網やカゴトラップで採集された魚類などを使い生物同定方法を学習する。
  • 実習Ⅱ「湾内海洋観測」:
    船で舞鶴湾の環境調査と生物採集。
    環境調査:水温・塩分濃度・濁度・蛍光量(植物プランクトン量=基礎生産量の指標)と溶存酸素量測定
    生物採集:Smith-MacIntyer型採泥器で底棲生物(ベントス)採集

※ ただし,当日は実習調査研究船の突然の故障があったため,船を使わない調査・実習に時間を多めに割り当てることになりました。

2.施設・標本の見学と説明

写真:標本庫を見学する生徒
標本庫を見学する生徒
 わが国では最大の魚類標本を所蔵している水産生物標本館を,説明を受けながら見学しました。


3.講義:

 実習のまとめと,海洋や舞鶴湾の環境等のさまざまな研究に関する講義です。 それは,研究の現状等を含めた専門的な内容でありながらもわかりやすい内容で,実習後の生徒たちは熱心に聞き入っていました。



結果と生徒の感想

 施設を十分に使用させていただき,事前に実習のための仕掛けをしていただいたり,観測船を使用させていただくなど,多くのスタッフに協力していただいた結果,生徒は貴重な体験学習ができました。野外活動を含む先端研究に触れた生徒たちの,感想の一部を紹介します。

写真:フグを解剖する生徒
フグを解剖する生徒

「日本海とその他の海との違いから温暖化,魚の特徴などについて聞くことができた。」

「人間が行なってきたことのツケが海や川を始め,自然に表れてきていると思う。私たちはそれを自覚しなければいけない」。

「野外での実験の厳しさも学ぶことができました。」

「命あるもので実験するということで無駄にはできないと思いました。実験・調査の後のデータ解析と考察は大事なのだと思いました。」

「生まれて初めての解剖もうまくできて,寄生虫を取り出せて,魚の内部構造もわかりうれしかったです。」

 また,生徒のレポートの記述から,次の効果があったと考えられます。

  • 魚類の同定方法をはじめとする研究の初歩を,体験を通じて理解した。
  • 自然のさまざまな要因によって研究の方向が変化させられたり研究の進行に制約が生じるなど,野外活動を含む実験や研究における障害や困難についても学習できた。
  • この体験学習や実習内容から暮らしを考え直し,人間の生活と自然との関係や環境問題へと考察を広げることができた。
  • 実習船の故障があったにもかかわらず,本校の通常の活動では到底できない実習や講義をしていただいた。また,わが国最大の魚類標本を所蔵する標本館などの施設見学・説明もあり,満足感が高かった。サイエンスツアーIとは異なる見方で,「研究とはどういうものか」というテーマについての理解を深めることができたと思われる。

2008年1月 公開

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