県立神戸高等学校
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3学期 終業式 式辞
県立神戸高等学校 校長 中野 憲二
先ほどのアセンブリの時に、中村自治会長が「漠然とした提案でなく、具体的な提案をしてほしい」という趣旨の話をしていました。
iPS細胞を発見してノーベル賞を受賞した山中先生は、最初の研究資金を検討する審議会では、たった一人をのぞいて「SFのようだ」「無駄金」などと低い評価だったそうです。しかし、その審議会は1人でも認めれば研究資金が出せることになっていたそうです。
もう一人例を挙げると、近代的な病院、看護制度の祖といわれるナイチンゲールは、どちらかというと博愛精神的な文脈で注目されがちな人ですが、科学史の文脈では、統計学者として取り上げられます。ナイチンゲールの時代には看護の重要性は顧みられず、看護に当たるスタッフの社会的地位もかなり低いものでした。数学教育を含む豊かな教育を受けていたナイチンゲールは、クリミア戦争の従軍経験を通じて、兵士の死亡原因を統計的に調査した結果、戦闘の負傷を直接の原因で死亡する兵士よりも、その後の看護の質の低さによる感染症などで死亡する兵士が多数を占めることを証明し、看護の重要性を説きました。これは、当時のイギリスで激しい論争を呼びましたが、最終的にナイチンゲールの主張が通り、これが現在の看護システム、病院の設計までにつながっています。
自分がつかんだ大切なことを仮説としながら、それを具体的な事実で証明し、仲間づくりをしながら説得し調整して実現していく、そのことを忘れないようにしてほしいと思います。
最後になりますが、卒業した先輩、71回生は後期試験までよく粘り、結果も出してくれました。70回生も現役の時に悔しい思いをしたことをバネによく頑張りました。皆さんもこのような先輩の中にロールモデルを見つけて、花を咲かせて下さい。
あと10日もすればソメイヨシノが咲き始める頃です。ソメイヨシノは、普通、8月中には来年に咲かせる花芽を作り終え休眠に入ります。この花芽は、2℃~7℃の低温が30日程続けば休眠から目覚めることができるそうです。
私たちは寒さという厳しい環境を、服を着こむことや暖房を用いることで凌ぎ、暖かくなる春を心待ちにしますが、ソメイヨシノは冬の冷温に打たれ寒さをじっと耐え、寒さを受け入れて目を覚ましているのです。
皆さんもソメイヨシノと同じように夏には準備をし、つらいときがあっても耐え、その後目覚めて目標を達成されることを願っています。
よい仲間に恵まれた、この神高生活を心から楽しみながら、健康で活躍されることを心から祈念して式辞とします。
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2019.3公開