第3章  スクールカウンセラーからみた
              「不登校の課題とその対応の実態」に関する調査研究


                上地安昭(心の教育総合センター)
               古田猛志(心の教育総合センター)


1 本調査研究のねらい

 わが国のスクールカウンセラーが一部の学校へ配置されて、本年度は5年目になる。まだまだその人数は少なく、全校配置にまでははるかに遠いが、現状では学校現場に欠かせない専門職員として定着の方向へすすみつつあるとの見方が強い。文部省がスクールカウンセラー制度を導入したのは、学校現場の深刻ないじめや不登校問題への対応策であったことは、周知のとおりである。ただし、この制度の導入から5年目を経た現時点においても、全国の不登校児童生徒の数は増えつづけ、止まることろを知らない状況にある。スクールカウンセラー制度に即時的な効果を期待するわけではないが、スクールカウンセラーは専門家として、学校現場において直に不登校問題へ接する豊富な経験の積み重ねにより、この問題の本質へかなり精通している者と理解している。つまり、学校の教師では気づくことが困難な、不登校の背景にある複雑な問題やその支援のあり方についての課題や方策等、今後の不登校問題の取り組みに生かすべく有効な手段を種々持ちそなえているに違いない。
 本調査研究は、このような視座のもとに、スクールカウンセラーは学校現場において、どのような方法で、どこまで児童生徒の不登校問題へかかわっているのか、またその手応えはどうか、スクールカウンセラーにとっての難題は何か、不登校の原因はいったい何なのか等、不登校の現状をスクールカウンセラーがどのように捉え、今後どのような対応が必要なのか、といった問題を可能な限りにおいて明確に理解する目的で進められた。


2 調査方法

1)調査実施時期
 平成11年11月のほぼ20日間にわたって実施した。

2)調査対象者と調査方法
 兵庫県下へ配置されている、小・中・高等学校のスクールカウンセラー69名を対象に郵送法で、匿名を原則に実施し、52名の回答を得た。回収率は75.4%であった。

3)調査内容
 調査内容は、本誌の巻末に資料として掲載したとおりである(p26〜p43参照)。本調査の意図にそって、筆者等が独自に考案した自由記述式の質問項目を中心に、7つの項目で構成した調査用紙を使用した。


3 調査結果の分析と考察

 調査結果の内容は本論文の後半部分へ「『スクールカウンセラーと不登校』に関するアンケート結果」として提示したとおりである(p26〜p43参照)。自由記述の各質問への各回答者の意見は、いずれも貴重な提言であり、部分的にプライバシーにかかわるおそれのある固有名詞を中心に削除ないし抽象的表現に修正した上で、全回答内容を本論の重要資料として漏れなく掲載し紹介することにした。
 以下に本調査結果について、質問の順を追って、その要点を分析した上で、若干の考察を加えることにする。

)学校現場の不登校問題は深刻である

 回答を寄せた52名のスクールカウンセラーの中、半数以上の30名(57%)のスクールカウンセラーが、配置校における不登校問題は「やや深刻」と感じており、12%の者は「非常に深刻」な状況にあると受けとめている。3人のカウンセラーの中2人の者が深刻と判断していることになる。ここで、それぞれの配置校の一般教師の不登校問題に関しての深刻度と比較して示したいところであるが、このことについては次回の調査に委ねたい。いずれにしても、不登校問題は専門家からみて油断を許さない深刻な状況にあると受けとめる必要があろう。

2)カウンセラーの活動によって不登校問題の改善は可能

 スクールカウンセラーの84%の者が、カウンセラーの活動によって不登校問題は「ある程度改善する」と答え、4%が「大きく改善する」としており、合わせて88%の専門家が「改善する」と回答している。残りの12%の者は「どちらともいえない」と答え、「全く改善するとは思えない」と答えたカウンセラーは皆無であった。なお、昨年兵庫県下の小・中・高等学校の校長・教頭の管理職者78%を対象に、同意の質問項目(現行のスクールカウンセラーの活動によって、貴校の不登校やいじめの問題が減少すると思いますか)を実施した調査結果では、「ある程度減少する」が68%、「大幅に減少する」が5%で、合わせて73%の管理職者が「不登校やいじめは減少する」と答えている。本調査結果との比較において、学校側の管理職者よりもスクールカウンセラーの方が、「スクールカウンセラーの活動によって不登校問題は改善する」と前向きな自信を表明していると理解してよいのではないだろうか。

3)90%以上のスクールカウンセラーが不登校の改善ないし好転事例を報告

 ほとんどのカウンセラーが、配置校において、不登校児童生徒への支援によって、その問題が改善し好転した事例を体験している。これらの好転した事例において、スクールカウンセラーが心がけた支援の内容の代表的なものを次に紹介する。
 「親への助言、面接、カウンセリング」、「担任へのコンサルテーション」、「不登校傾向や学校不適応児童生徒本人へのカウンセリング」、「母親面接から本人面接へ」、「別室指導」、「性急な登校刺激を差し控える」、「パニック状態から冷静かつ客観的に家族が現状へ直面できるように落ち着く方向への支援」、「教師や保護者に対し、児童生徒への受容的態度(子どもへのやわらかい見方)を涵養」、「小学校ではプレイセラピー、箱庭療法」、「高等学校の場合は、転入学への支援」。なお、さらに個々の報告については、本論の結果資料(p26〜p43)を参照していただきたい。
 不登校児童生徒の親、本人、教師への支援を目標に、スクールカウンセラーは助言、面接、カウンセリング、コンサルテーション、プレイ等を通して、専門家としての力量を発揮している現状がうかがえる。

4)スクールカウンセラーにとって不登校問題の難題は何か

 現在の配置校での不登校問題への取り組みで、スクールカウンセラーが直面している困難な問題点の主な内容をつぎに示す。
 「担任、校長、教頭の協力体制が整っていない。スクールカウンセラーを積極的に受け入れる体制にない。教師は多忙過ぎる」、「プレイ室や相談室の整備が不備」、「学校内の情報が掴めない」、「保護者がスクールカウンセラーを積極的に利用できない状況にある」、「学校への援助、家庭内問題、地域社会への介入が困難」、「教師へアドバイスしても実行できない」、「教師がスクールカウンセラーへ生徒や保護者を積極的にリファーしない。また、リファーしても保護者が応じない場合がある」、「教師との信頼関係づくりが困難」、「適応教室との連携問題、また地域社会関係機関との連携の困難」、「担任と保護者がうまくいかず、その板挟みに合う」、「生徒本人への面接が放課後に限られ、時間が取れない。授業中の面接は不可能である」、「スクールカウンセラーの勤務時間と日数が足りない」。
 これらの意見から、学校側の教師や保護者とスクールカウンセラーとの協力関係や信頼関係の確立の困難さが、児童生徒の不登校問題への積極的な取り組みを阻害している大きな問題点ではないかと理解している。両者の相互に理解し合う関係の促進を計るための条件の整備や方策を講ずる必要があると考える。とくに、スクールカウンセラーが活動しやすいように、相談室の整備や授業中の面接時間の設定への特別な配慮等への学校側の前向きな対応が望まれる。

5)兵庫県を中心に昨今の不登校の恒常的な増加傾向の原因は何か

 スクールカウンセラーが捉えた不登校の主な原因は、つぎのような内容である。
 「家庭や地域社会の教育力の低下。つまり、人間関係の希薄化、信頼関係の欠如、倫理観の乏しさ等である」、「父親と母親の親役割不足。つまり、親の未成熟と子育て機能の低下が問題」、「教職員の不登校への理解の低さ」、「学校に対する信頼感と魅力の乏しさ。つまり、学校が唯一でないとの考え方」、「社会の変動に伴う多様な価値観の浸透」、「高度情報化社会の弊害」、「学歴社会の弊害」、「高等学校への不本意入学(輪切り)」。
 なお、この質問に対し、「震災の影響」を指摘したのはわずかに2名に過ぎず、ほとんどのスクールカウンセラーが不登校の増加の背景に震災があるとは考えていないことが推察される。また、「子ども自身の問題」を明確に指摘したカウンセラーは1名だけで、スクールカウンセラーは、一般に子ども本人よりも、学校、家庭、地域社会に不登校の原因が潜んでいるとの見方を強く持っていることが理解される。
 いずれにしても、これらの意見は、従来不登校の専門家の多くが提示してきた要因と同意のものであり、不登校問題が現状の社会全体にかかわる難題であることを改めて示唆するものである。

6)不登校問題の改善のためのスクールカウンセラーの条件は何か

 不登校問題の改善のために必要なスクールカウンセラーの活動をさらに活性化する条件は何かとの質問に対し、本アンケートへのその他の自由な意見も含めて、その主な内容をつぎに示す。
 「専門家としてのスクールカウンセラーのさらなる力量形成と資質向上。つまり、コンサルテーションやコーディネイションの力量、学習不適応や集団活動を指導(ガイダンス)する力量、アセスメントの力量、メサイヤコンプレックスの克服、学校教育に関する専門的な知識と実践経験等である」、「スクールカウンセラーの時間や日数および人数を増やす」、「地域や学校風土に馴じみ精通する」、「養護教諭や心の教室相談員との連携」、「学校と学外の専門機関(病院等)とのパイプ役を果たす」、「対処療法的な活動だけに限定せず心の教育や予防的・開発的カウンセリングの領域へも力を入れる」、「スクールカウンセラーは孤独な存在なので、相互の連絡会、研修会を通して横の連携を計る」、「情報交換が必要」等である。
 ここでは、カウンセラー自らが、スクールカウンセラーとしての専門的な力量の不足を自認しており、専門家としてのさらなる力量形成と資質の向上の必要性を提言している点を高く評価したい。現任のスクールカウンセラーは、大学や大学院においてスクールカウンセラーの養成を目的で訓練されたわけではなく、臨床全般の専門家としての臨床心理士の資格取得者であることから考えると、スクールカウンセラーとしての力量の足りなさは否めない事実として受けとめる必要がある。とくに、全校児童生徒を対象にした予防的・開発的カウンセリングの力量やグループカウンセリングおよびコンサルテーションやコーディネイションの力量を高める研修は欠かせない。さらに、わが国におけるスクールカウンセラーの学校現場への導入に伴う活動については、歴史的に前例がなく、全てはこれから各自が独自に開発せねばならない状況におかれている。それ故、専門家同士の連携を計り、連絡会や研修会を開催し情報交換を密にするとともに、相互の力量を高めるための継続的な研鑽が望まれる。
 スクールカウンセラーという未知なる専門職へ一歩足を踏み込んだ心境について、あるカウンセラーが本調査のアンケートにつぎのような意見を寄せているのが印象に残っている。「スクールカウンセラーは孤独な存在です。他のカウンセラーがどんな活動をしておられるのか、どんな知恵を出しておられるのか、もっと知りたいです。この意味で、このようなアンケート調査の結果を配布してもらうのはありがたいです。昨年度も大いに役に立ちました」。不登校問題の改善への専門家の効果的な支援を期待する前提条件として、専門家として十分機能していないと自認している、現任のスクールカウンセラーに対する関係機関への支援も積極的に促進する必要があると考える。


4 まとめにかえて

 本調査研究は、教育関係者の期待に応えて、スクールカウンセラーは不登校問題の改善に、どのようなかたちで役に立っているのかを検証する資料を得る目的で計画された。同時に、不登校問題の改善に必要な条件は何か。専門家としてのスクールカウンセラー自身の問題や家庭、学校地域社会の要因を含めて、スクールカウンセラーがこの問題についてどのように判断しているのか、その内容を分析するねらいのもとに実施された。
 本調査結果の要点は、つぎに示す内容であったと解釈している。

(1)スクールカウンセラーは学校現場の不登校問題は深刻な状況にあると判断している。

(2)スクールカウンセラーの活動によって不登校問題の改善は可能であり、その成果としての成功事例が多く報告されている。

(3)不登校問題の改善への取り組みで、スクールカウンセラーが直面している難題として、教師とカウンセラーの協力関係の不足と相談室の不備および保護者の消極的な態度が主な要因と指摘されている。

(4)不登校の原因として、スクールカウンセラーは、学校、家庭、地域社会における教師や大人の教育力と指導力の低下を指摘している。子ども自身の問題を指摘した者は皆無に等しかった。

(5)不登校問題の改善のために必要なスクールカウンセラーに求められる条件は、スクールカウンセリングの専門家としての力量形成と資質向上であるとの指摘がなされた。

(6)わが国のスクールカウンセリングの専門職は、非常勤とは言え、未知なる学校職である。それ故、カウンセラー相互の連絡会、研修会を積極的に開催し、綿密な情報交換のもとに研鑽を積み重ね、専門職としてのアイデンティティを確立する必要がある。

 正直言って、わが国の不登校問題は現状のスクールカウンセラー制度の導入によって、大きく改善するとは筆者等も大きな期待を抱いているわけではない。不登校問題は単に教育現場の課題にとどまらず、広く社会的、文化的な問題が深く絡んでいる要素が強いからである。とは言え、当面スクールカウンセラーへ託された関係者の期待には多大なものを感じざるをえない。どこまでその期待へ応えることが可能なのか。その真価が問われるのは、まさにこれからであるとの認識は必要であろう。 


5 「スクールカウンセラーと不登校」に関するアンケートの結果

実施月:平成11年11月
対象者:スクールカウンセラー(69名)
回答者:53名
回収率:76.8%


T 配置校における不登校問題はどの程度深刻ですか。

(校種) 小・中 (計)
1 非常に深刻な状況にある。 1 4   1 6
2 やや深刻な感じがしている。 4 19 4 4 31
3 特に深刻な状況にあるとは言えない。 5 3 3 1 12
4 全く深刻な状況ではない。   1     1
5 どちらとも言えない。   3     3
(計) 10 30 7 6 53

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U 現状のスクールカウンセラーの活動によって、不登校問題の改善は可能だと考えますか。

(校種) 小・中 (計)
1 大きく改善されると思う。   1   1 2
2 ある程度改善すると思う。 8 25 7 5 45
3 改善するとは思えない。          
4 全く改善するとは思えない。          
5 どちらとも言えない。 2 4     6
(計) 10 10 7 6 55

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V 現在の配置校において、スクールカウンセラーがかかわって、不登校問題が改善ないし好転した事例や取り組みの概要を簡単にお書き下さい。また、改善した理由やスクールカウンセラーが果たした役割もお書き下さい。


■私の行っている学校は、いわゆる不登校はありませんでした。家庭が崩壊していて福祉の方々が関わることがほとんどでした。
■登校を行き渋る子がいたが、その子が休み時間をカウンセリングルームに来て色々話をしたり、また母親にかなり問題があったのだが、1/月ペースの回数により、どうにかその子が毎日学校に来れるようになった。
■不登校についての考え方、親の子どもに対するかかわりなどについて助言。(子どもは来室せず)
■○拠点校ですので小学校、中学校の子どもたちが来ます。中学生は登校していない日予約して、来校します。(自校ではないので来校しやすいようです)不登校は続いている。○小学生、別の学校の母親が来れられ(やはり自校以外なので、気楽に来校できるようで)母親の子育ての意識が好転した。
■拠点校ということで、以前から関わっていた中学3年生の不登校の母親カウンセリングを1年以上毎週続けてきて、最近登校し始めている。内的な母親の受容と各担任がかかわりを続けていてくれたことが再登校時に、たいして緊張感なく、自然にクラスに入ることを可能にした。
■○3年生から不登校の小6男子。母親面接と、担任が適度なかかわりをするようにコンサルテーションを3月まで続けた。本児は卒業証書を受け取りに登校。中学へは断続登校ができている。カウンセラーの役割は、母親を通じて、家族関係がいくらか変化したことと、担任へのコンサルテーションにあると思う。○小4女子不登校へのプレイセラピイと母親、担任へのかかわり。本児は元気になりつつあり家族の中での父親との関係がはっきり出来つつある。
■不登校の初期に保護者に直接面談し、性急な登校刺激をさしひかえるよう助言し、保護者、教師もそれを受け入れ、長期の不登校に至らず経過したものがある。担任がすばやくSCの存在を保護者に知らしめ、referし、協力的に動く人だったのでうまくいったように思う。(担任がかわり、やや不安を残している)
■スクールカウンセラーによる訪問の後、カウンセリングルームでの面接になり、再登校したケースがあります。改善した理由として、遊びの雰囲気でのかかわりがあったためと思っています。
■中3(男)中2より休みがちで中3に入り、べったり休むようになり、行事などにはたまに登校していた。担任は怠学と考え、登校を伺っていた。母親との面接を続ける中、家族とのつながりが出来てきて、家族の中で明るく元気になり、土曜日の登校が可能になってきている。SCは本人(会っていないが)と母、本人と担任のつなぎ直しをしていると思う。担任に本人理解を助けるよう努力している。
■○引越しを機に不登校となったケースで、母親の混乱した気持ちを受けとめるなかで気持ちを整理され、家族でていねいな話し合いができて、本人の希望校に転校できた。(家族が納得できる選択ができた)○継続中のいくつかのケースでは、家族内で父親との交流がはじまり、家族の見直しをされる中で、家が明るくなった。外出できるようになった。家族が仲良くなった。話し合いができるようになった。本人も次の選択に向けて、積極的になってきている等の改善が見られる。SCが果たした役割は、パニック状況から客観的に現状を家族が見られるようになり、問題解決の力をとりもどしつつあること。家族が話し合って解決していける力を取り戻していけること。
■中学2年男子、1年生より不明熱などの症状があり、欠席がちになり、2年生6月まで全欠状態となっていたのが5月より母親のカウンセリングにより家族内の力動の変化と父親のかかわりの変化をきっかけに、登校し出す。クラブを変わるなど、校内の環境調整のもと登校しだす。
■○中学3年男子、進路について悩み、不登校となるも、校内まで来れるようになる。○1年女子。学習不適応を示していたが、面接を続ける中で社会性を身につけ、少しは安定してきた。○1年男子。不安と緊張が高く、不適応反応があったが、指圧を続ける事で少し安定してきた。
■全ケースで大なり小なり改善ないし、好転していると思う。少なくとも、SCがかかわったケースで悪化しているものはない。全体としてQが大まかすぎてAnswerが難しい。
■友達とのトラブルが原因で不登校になった中1女子生徒の事例。クラブ活動だけ参加する状態から別室登校を少しづつクラスに移る教室登校へとサポートを行った。SCは本人、母と別面接を行い、本人とは人間関係図やスクーリング等を通し、自分分析してもらい、母に対しては本人のサポートの仕方や、母自身の精神的サポートを行った。クラブ、クラスの担任教師、不登校担当教師のサポートがあったこと、別室登校という柔軟な枠組みがあったことなどにより、不登校問題がスムーズに改善したと思われる。
■○改善とはいえないが、各々のケースを多角度から見ること、又他の医療機関への紹介等でケース自体に動きがでる。○家庭訪問されている先生とともに考える。アドバイスすることにより、訪問先の子供に動きが出てきている。
■最近増加している怠学傾向にある不登校児について、本人(中2男子)ではなく、保護者(主として母親)との面接により、子どもへの対応の仕方を改善することにより、再登校にこぎつけた。(五ヶ月、面接回数、Mo(15回)、Fa(2回))
■まだ関わったケースが少ないので何とも言えないが、1ケース、中2女子は、まだ教室には入れないが、たまに登校したときは、相談室に顔を見せてくれるようになり、行事には参加できるようになってきている。まだ、スクールカウンセラーがどのような役割を果たせているのか、これから果たせるのか、模索中。今のところは気軽なおしゃべりの相手という程度か?
■SCが直接関わったわけではありませんが、生徒指導の教員や学級担任が積極的に関わられて、登校できるようになったケースがあります。SCはそれらの先生と話をしたという関わり方です。
■休み始めて間もない頃に、本人とは会えなかったが母親面接を開始。その後、母親が落ち着いてくると同時に、子供の方もあまり休まなくなる。子供と直接会えなくても、身近な人物の変化によって、それが子供にもいい影響を及ぼしたのではないでしょうか。
■現状を理解、共有し、見立て、方針を示し、相談(親子交えて)することで焦点化し、生活に安定感が出、進路がはっきりした。
■≪母親面接から生徒(中2男子)への訪問につながり、Cl理解により改善が見られつつある事例≫【状況】中1、3学期より不登校。担任、友との接触を極端に拒む。【取り組み】母親面接(来室)とCl面接(訪問)を交互に実施。Cl面接により、得意分野の会話をするうちに、心を開き、徐々に内面を語り出す。(中1のクラスで受けた心の傷、父親への気持ち等)得意分野をSCが担任に伝え、それに関する事柄で担任からClへの手紙を預かる。Clも担任に手紙を書き、毎回SCを介し、やりとりが続く。Clは担任との手紙出の会話を楽しみ、生き生きとした表現で書く。表情も明るくなり、将来の希望もSCに語り出している。母親もClの内面に気づき、対応の変化。(父親との関係は未だむつかしい。)【改善理由】Clの得意分野にSCが関心を示し、認めることで、Clは自己肯定的に変化。担任、親との連携により、Clの理解が深まる。
■保健室がかなり受け皿として機能していた印象はありますが、保健室の先生の発言力や動きが増したように思います。2ヵ所で取り組める(或いは二人で)のは大きいのではないでしょうか。
■中3女子。教室に入ると気分が悪くなるから始まって、エレベーター、電車、バスに乗ることに著しい不安を示し、閉所恐怖のような症状を示して、欠席しがちとなった事例に対し、母親へのカウンセリング、養護教諭、担任等へのコンサルテーションを継続した。4ヶ月後教室に復帰した。改善の理由。SCが母親へのカウンセリングや先生方とのコンサルテーションを実施したことにより、本人を暖かく見守る体制ができ、本人もそれに支えられて元気を取り戻した。SCが早期に対応することができた。兄(大学生)達が、共感・理解する態度で本人に真剣に向き合った。本人の現実の葛藤が比較的はっきりしていた。
■中学1年生男子、一人っ子、二学期当初より欠席がちになり、担任の紹介で母親が来室。本人の自主性を尊重した関わりをするよう勧め、母親がそのように努め父親が母親を支えたからか、三ヶ月ほどで休まなくなる。
■不登校ケース5例中、3例においてこれまで家庭と学校のパイプが細かったが、SCが橋渡し役となり、パイプが太くなってきた。それに伴い、保護者の落ち着いた対応や、教師(担任)との連携が、うまく取れるようになってきた。
■別室登校のシステムをたちあげるにあたって、担当する教師を外側内側からサポートできるように思う。(現在5名別室に登校。教室にあがることのできた生徒2名)やはり、不登校生徒に直接SCが関わることは難しく、担任に対するスーパーバイズやコンサルテーションが主になるが、必要性は高いと思います。
■不登校問題が改善ないし好転したことについて高校の場合は、私は生徒や保護者が、不登校の状態から、自らの方向性を見出していくまでのお手伝いと考えています。したがって、復学した例だけが改善とは考えておりません。お手伝いの内容は、ケースバイケースですが、多いのは、本人の問題を一緒に明らかにし、整理していくことと言えると思います。@10回程度で、通信制高校に10月より転入を決め、現在元気に通っています。A5回の面接で、再登校をはじめている生徒もいます。
■本人及び担任との面談、方策、検討、及びアドバイス
■いじめに対して異常に恐怖心を抱いており、そのリーダー格が登校時の途中に出没するからという理由で不登校に至っていた生徒に対して、生徒指導が強力におこなわれた結果と家族に対する家庭内指導に繰り返し助言と激励を与えた結果、現在では不登校は解消し文化祭などでも生き生きと活躍している。いじめ指導1ヶ月間の登校停止、校長訓戒、反省文提出等がおこなわれたほか家族指導にはカウンセラーが根気よく対応した。その結果登校の勇気を出しそれが継続している。これにはどちらか一方の働きかけでは成功しなかったと思われる事例である。家族とは主に母親と祖母であったので時間がかかった。生徒指導では「お詫び会」も実施したことでさっぱりしたかと推定される。
■お子さんが不登校になると保護者は担任や学校サイドに原因を求め、疑心暗鬼になりがちなので、カウンセラーが保護者と出会ってお話をうかがう中で、担任等学校関係者への不信感を柔らげることが出来たこと。保護者もお子さんの前で学校批判をしなくなり、本人も心おだやかに休養をとった後で、不安定ながらも再登校が可能になった。
■教室や集会時など集団にいると辛いあるいは腹痛がおきるため休みがちな生徒(自己臭、視線恐怖といった訴えのあるケースもあり)をカウンセリングで支えつつ担任と連絡をとって座席の配慮等で症状が改善できた。また家庭の問題やいじめ等担任あるいは学校には話したくないことをSCに訴えることでなんとか休まずに持ちこたえられているケースもある。学校につなぐことでうまくいく、あるいは守秘義務を守ることで安心させられるSCならではの立場が改善につながった一因と考えられる。
■中学校3年生から不登校(神経症)(○○センターで1年関わった)の女子が、スクールカウンセラーのいる高校に入学し、高校の相談室で週1回会い、教室へ入りにくい時は、相談室ですごすことにより、5月下旬より教室に入ることができ、以後順調に登校している。また、幼児期の性的虐待(父親から)で心的外傷の生徒が登校しにくくなり、相談室でのカウンセリング、教育相談委員会の先生の支えなどで、相談室登校を1学期間し、2学期より教室に入れています。(相談室では、たいていは先生方がこられて授業を個人的に見てくださっていました。1学期の間)今は、休み時間は、図書室ですごし、週1回、カウンセラーと会っています。スクールカウンセラーの力というより学校全体で、取り組んでいただいた結果だと思っています。
■○小5女児:姉、高校、不登校:震災の影響で転校を繰り返し、小5一学期も3日間のみ登校。残り全欠。7月に母と面接。夏休みに子どもと、どうすごすかコメントを話し合う。2学期から全出〜現在。○中3男子(小6弟の関係から)祖父来校(夏休み中3回面接)中1の一学期半ばから不登校。震災後、両親離婚。父方にひきとられたが、その間、祖父により、母への悪口など不適切な取り扱い。中1から○○センターにおいてカウンセリングを受け続けたが、事態改善せず。思い余った祖父が講演会後、筆者に依頼。祖父の孫への対し方を話し合う。2学期から、全出〜現在。運動会で一位。
■○母親面接・本人面接から別室登校、文化祭参加に至る。担任を中心に学年の先生方へ(学年打ち合わせ時)コンサルテーションを行う。学年の先生方全体が、本人への理解を深めたことで、別室登校から、部活への参加というやわらかい対応で、本人の学校での居場所ができた。○発熱、腹痛など身体症状をうったえて休む男子について。母親面接、本人面接(インテーク)、担任、養護教諭、学年世話係を交えてコンサルテーション、病院へのリファー及び、病院ドクターとの連絡設定。症状が落ち着き、文化祭は親子で見に来る。ケースの見立てと、ドクターを含めたチームができたことで、ケースへのそれぞれの立場、関わりが整理された。
■親との面接を通して、不登校に対する親の受け止めようが変化し、それが本人の動きを活発化させる働きをしているように思う。また、本人のことを担任に伝えることで、担任の本人に対するかかわり方が変わりいい結果が出ている場合がある。
■家族に対するカウンセリングを実施したことで、家族中に不登校を示している生徒だけの問題ではなく、家族全員の問題行動の、改善に役立った。又、家庭訪問をしたことが、問題を抱えている生徒の自我の成長に役立った。
■○中学生 @1年近く継続的に面接できた。相談室登校を人目にふれないよう配慮した。Aクラス担任が熱意があり、家庭やSCとの連絡を密にしていた。B母親はあきらめ状態であったので、仕事人間の父親に生徒を通じて働きかけ、休日等は一緒にいるか遊ぶようになったこと。(不登校の原因はいじめ被害、傷つきやすい性格)
 ○小学生 @1年余継続的に面接ができた。相談室登校を人目にふれないよう配慮した。A母親が毎回児童と共に登校し、母親面接も継続できたこと。B仕事人間の父親の子育て参加を母親を通じて働きかけ、父性の関与が強まるにつれて母子分離がすすみ、独り立ちができるようになった。(不登校の原因は母子分離不安、プライドの高さによる交友関係の孤立など)二つともSCと安定した人間関係が結べたが、単に面接室内のカウンセリング関係ではなく、全人間的ふれあい、交流であったと思う。また、父性の関与が大きな転機になったと思う。
■登校しぶり傾向時における援助は、深刻化を予防できる。特に養護教諭との連携は有効である。援助については、担任教師と共に本人の心を守りながら回復へと方向付けられた例。カウンセラーは後方支援。
■○母親と毎週会い、母親の不安や子どもに対するとらえ方がかわり、好転した。○担任の先生と連絡をとり合い、母親から報告される子どもの様子をみながら、学級のうけ入れ体制や登校刺激について考えあった。○不登校の児童にいろいろな人がかかわっているケースでは、SCが呼びかけて全員が集まり話し合った(コーディネーターのような役割をとった)。
■母親の病気入院、祖母の死に直面した後、数ヶ月たって分離不安におそわれ登校出来なくなった小2の男子、見立てと分析を母親に伝え対応を助言することで安定。登校するようになった。
■○小学校のときは全欠だった生徒が相談室登校という形態の存在を知り家でとじこもることなく校内ですごすことが継続できるようになる。○適応教室との連携によりスクールカウンセラーのいる日には学校にて時間をすごすことができるようになった生徒がいる。
■親面接と子供に箱庭、プレイセラピィを行うのを原則としている。<事例小6男子>6月中旬、水泳パンツをはくのが恥ずかしいということがきっかけで、行かなくなり、学校では言いたいことが言えない。母親より、父親が関心を子供に向けていないから、関わるように言いたいと2回目に発言。SCはそれを支持。父親もそれを承諾し努力した。9月初旬、友達が迎えに来てくれて、徐々に行くようになる。最近では、待ち合わせて行けるようになり、学校でも、赤面しながらも、きちっと発言できるようになる。カウンセラーは母親を支えただけだが、家族間の力動、距離が望ましい形に変化したのではないか。最近の母親の発言「子供と私の距離は離れた。父親とは近づいたと思う。」
■対人関係のトラブルを契機に不登校傾向となった中2女子例。SCが母親面接を担当。教師側の対応に一貫性を持たせるように配慮した。
■中2女子不登校事例。母親面接継続の結果、再登校に結びついた。
■不登校生など課題を抱える生徒について、個人の記録用紙を担任が作成するようにした。問題、背景、経過が整理されたその記録をもとに、担任とSCが懇談し、見立てをした(担任ごとに1時間ずつ)。上記により、担任教師が、不登校生に個別の対応方針がもてた。例えば、中学2年A組では、B男に夜間登校、C子に休日に野活の追体験の後カウンセリングをして完全復帰、D子には担任の家庭訪問とSCの箱庭療法と親面接、E子には担任が校内でフォローなどで、複数の長期不登校生が一気に動きを見せている。
■母親面接を中心に対応し、学校との調整を行っている。教師の多忙を考えれば必要と思われる。また、母親の了解を得て、担任に状況報告することで意志疎通を計っている。
■○○市の場合、適応教室との連携。理由として、適応教室が学校復帰の通過点と考えることで、今まで密接な連携のとりにくかった学校、SC(橋渡し)、適応教室の共同作業が展開された、など。○○市の場合、生徒のストレス調査による予防的とりくみがいまくいった、など。
■相談にこられた保護者の心の安定にいくらか貢献できたかと思う。


W 現在の配置校において、不登校問題にスクールカウンセラーが果たすことが困難な問題点を3つ程上げてください。

■担任の先生だけに負担がいく。先生も時間的にかかわりが難しい。校長、教頭など、学校が一丸となって、とりくむ姿勢にかけるように思う。
■対象児が来室しない時の対応(ex家庭訪問は時間的制約がある)。他領域からの意見が得られがたい。スーパーバイズが得られ難い。
■家庭訪問など考える時の時間的制約。他領域(医療等)との連携。スーパーバイズの受け方と可否。
■別に困難なことはありません。
■日数の制約と校内の人間関係上、継続的な1対1の関係をとりにくい。親に来談意欲あるいは力のないケースが多い。本格的なプレイセラピーのための設備が不十分。
■SCを積極的に受け入れようという姿勢に欠ける傾向あり。校区が広く、家庭訪問が簡単に行えないことが多い。相談体制が充分組織化されていないので、担任個人の主観にかかっている。
■学校の方針に合わせないといけないこと。窓口になる人(スクールカウンセラーと学校)とのこまかい打ち合わせができにくい。
■SCの居場所と離れていて、学校や地域の風土がよく理解できていない。学校の歴史、教師間の人間関係把握ができず、積極的に動きにくい。学校の組織が機能していず、学校全体の協力が得にくい。
■SCの登校日以外の急速な変化に対応しにくい。学校不信のある保護者が、学校という場所にいるカウンセラーを利用しにくい。2年間という期限のある中での対応が限られること。
■職員間の問題。保護者のカウンセリングに対する地域的因習。精神疾患、転校してきた不登校生への関わり。
■学習への援助。家庭内問題。地域社会への介入。
■別室登校などをサポートする体制が学校側にないこと。配置校としてではなし、地域全体として、学校、適応教室以外の支援体制(フリースクール、ホームスクールなど)が未整備、不足していること。担任がSCにリファーしてこない。または、協力して不登校生徒をサポートするという体制、姿勢がない。
■SCの動きが制約され、自由に動けない。具体的にどのケースにどう関わってほしいのか明確化されてない。教師にアドバイスをしても実行されにくかったり、実行するのに時間がかかりすぎる。
■相談のレベルになるまでいっていない(親が子に対しお金をもらう手段にしている)。
■崩壊家庭における放任⇒怠学。長期化した不登校で学校への情熱を失った子と親。学校と家庭とのこじれたケース。
■生徒や担任の呼び出しに保護者が応じない。
■長欠や家庭の事情により、欠席が続いている生徒については、教師がスクールカウンセラーに相談する必要性を感じていない雰囲気がある。
■教員は多忙であり、ゆっくり考えたり、直接関わったりするためには、勤務時間外の時間を使う必要があります。そういうことをいろいろな先生にお願いすることはできない。したがって、SCが関われるケースは学級担任の教員が不登校について問題意識を持たれているケースが主になるような気が、現在はしている。    
■教師との信頼関係をはかるのに時間がかかる。地域性の問題があり、学校側が神経質になっている。校区が狭いためか、秘密の保持が難しく、保護者が来談しにくい。
■授業中に生徒が抜けて相談に来るのは勇気のいることであるし、不登校生徒が学校での相談は抵抗があって当然。訪問体制の整備も今一つ。
■教師の多忙さ(短時間での情報交換は、外的な面に焦点が当たりがちとなる)。相談の窓口が学校(ケースによっては抵抗があると思われる)。限られた期間(クライアントの動きが出てきている大事な時期でも2年で切れてしまう)。
■(最近の生徒の姿が見えにくいのと重なるのですが)学校内の動きをつかみにくい。小学校高学年頃から始まった不登校の場合、相談室等とのつながりも次第に拒否していて、長期化しているケースがある。そうしたケースはつながりをつけにくい印象。担任の先生によってかかわり方が違うので、その年が変わると、急に対応が違うといったとまどいがある様子。そうしたとまどいを受けとめる困難さ。
■不登校状況が長期化しているが、本人も保護者も、SCの関与を拒否し、他の相談機関にも出かけない事例への関わりをどうすれば良いか。SCにコンサルテーションを求めない教師がいること(問題の生徒を抱えているが)。不登校生徒の状況を無視した、無神経な叱責、どなるなど、感情的な指導をする教師への関りをどうすれば良いか。
■適応教室との連携。
■不登校生徒に対する直接的なかかわり(家庭訪問等含む)。地域カウンセリング機関、医療機関との連携。    
■まだ一年目でよくわかりません。私は必要と感じたら、その生徒に関係している先生たちに、話をして連絡をとり合いながらやるようにしています。
■状況が完全にはわからない。特に問題になった場合のみ上がってくるので対処療法的になる。事前に不登校傾向への問題を相談されていればやりやすい。
■カウンセリングの時間を他の授業なみに「公欠扱い」すること。クライエントの家族との接触をなるべく密接にさせること。不登校者本人のカウンセリングヘの動機づけを高めること。(例えば上記のごとき措置を講じる)
■担任と学年主任でかかえこんでいて、SCの耳に情報が入ってこない。(マイナス情報はできるだけふせておきたい)単位とのかかわりで、SCが不登校生に会ってもすぐに学校への復帰は無理だからと、頭から、SCが関わることを無駄とお考えの先生もいらっしゃる。学校には、さまざまな問題があり、不登校生の問題だけSCがじっくりと対応できる現状ではない。
■全校生徒にSCの存在がまだまだ浸透していない。教師のなかにSCに対して意識の遠さあるいは妙な先入観をもつ人がいる。SCの配置時間が少ない。(週に8時間は最低必要だと思われる)
■不登校の子は、学校の相談室には行きにくい。(友達に見られては困るなどで)
■SCが週2回しか、学校にいられないこと。○○市では、子どもの名札がなく(人権の視点などから)全ての子どもの顔と名前がなかなか覚えられない。一部の教師が未だにカウンセリング、心の相談に対し、敷居が高く感じているようだが、だいぶとれてきた。
■保護者・本人と担任との関係がうまくいっていない場合。(保護者が担任を拒否している場合)カウンセリング的な見方、かかわり方が受け入れられない担任との関係。学校や相談機関に全く背を向けている保護者の存在。
■教師たちの不登校に対する問題意識が低い。問題をかかえた生徒の問題を、学年単位で解決しようとする。たまに登校する児童生徒に対して、feed backがお粗末。
■自室に引きこもっている子を相談室に来てもらう動機づけがむずがしい。担任を通じて本人・保護者にSCのやりかた、登校の方法など伝えてもらったが成功例はない。教師の問題意識と熱意に温度差があり、一般的には関心が薄い。保護者によっては、アキラメ状態とか余計な干渉だとか学校が悪いとか、消極、積極とりまぜて拒否的態度を学校側にみせるものが多い。
■面接時間が放課後の限られた時間内になり、十分な対応が困難(対生徒)。本人が望んでも、また必要性は認められても、結果として授業中(の面接)は欠時となること。
■”不登校”ということだけをとりあげれば、勤務時間(週2回、4時間ずつ)では、”日常的な関わり”をしにくく、もう少し勤務日数が多い方がよいと思う。SCも担任もかかわろうとするが、自分の家庭と親戚の中で何とか解決を願っている家庭があり、もどかしさを感じている。相談室の場所(正門のすぐ横、人通りが多く、入室しにくい子どももいる)。
■担任が不登校を初期に認めない。その理由で対応がおそくなった。
■担任教師からの依頼がないと接点がもてない。非行傾向が不登校問題と混在している場合、スクールカウンセラーの対象と学校がとらえていない。担任教師との連携はとれても、他の教師の協力はえにくい。
■十分な時間がなく、親面接ができないケースがある。教師がSCを利用しようという意識が低い場合がある。
■指導のための施設等が貧しい。カウンセリングルームが校内にあること。回避性人格障害、自己愛的人格障害に発展する素地を持った者が含まれていることから。
■家庭の経済的、倫理的崩壊から不登校になっている。教員の理解度の低さ、すぐ本人のせいにする風潮。教員の情報をオープンにしない傾向。
■カウンセリングの場の設定。隔週勤務で対応が遅れること。教師との関係。
■特定の教師の意識改革。教職員同士の意識のズレ。教師が不登校生にかかわる時間を確保すること。
■適応指導教室の対応についての当該担当者との話し合い。配置校以外からの相談について、当該校教師との話し合い。
■巡回方式なので、1つの学校にさく時間が少ない。時間がないので、家庭訪問や別室との関わりがむずかしい。時間がないので、日常的な生徒との関わりが難しい。
■先生によって、相談にこられる場合と、相談にこられない方がいらっしゃる。家庭が家庭として機能していない場合がある。


X スクールカウンセラーから見て、兵庫県を中心に昨今の不登校の恒常的な増加傾向は、何が原因だと考えますか。3つ程上げてください。

■世の中が忙しいこと。家での教育がなされなくなっている。世の中全体が外向型の人間中心に考えられている。
■母親、父親が大人になりきれず、不安を持もって生きている人が多い。長屋的つきあいが少なく、地域ぐるみでのとり組みがない。ファミコンやTVゲームなど家の中で1人で遊べることが多く、コミュニケーション不足の子が多くなっている。
■震災の影響。親の教育意識(私学の存在等含めて)。
■震災の影響。親の意識(教育的かその反対か)。
■親があきらめてしまうことが、以前より早くなった。良い面もあるが、逆効果の面が強くなっている。
■親の子育てする力が弱くなり、放任か束縛かに偏している。幼い頃に自由な遊び体験がとぼしい。学校は行事に追われているように見える。担任は、じっくりと子どもを見守る暇がないのではないか。
■統計の取り方があるのではないか。(みんなで休めばこわくない)親も子も先生も、不登校が一般化したととらえられ、休むことで安定し、そのまま進級に積み重なる。学校の魅力の乏しさ。
■時代の流れ。母親機能の低下。子どもの欲求不満耐性の低下。
■社会の急速な変化で、祖父母、父母、生徒達間の価値感の違いが大きい。父母世代が、自分の考え、思いを主張できず、コミュニケーションが下手。人と人が相手を心から尊重、尊敬し合えない土壌がある。(物中心社会)
■一部の不登校生の多い学校では、学校のシステム(子供の居場所が勉強、クラブ以外に見つけられない。偏差値、競争がはげしい、閉鎖的)。多様な価値感が学校現場にあまりないと感じます。義務教育は、親への義務だが、子供がしなければならないと誤解されていること。地域が閉鎖的、学校と保護者、地域の信頼、協力関係が希薄。
■教職員の体質。家庭の問題(心理的父親不在、母親の抱え込み)。生徒の社会性、情緒、心理的発達の未成熟。
■地域の子どもを育てる力の低下。農村社会の崩壊と成績中心主義。宗教性(広い意味での)の欠如。
■恒常的増加傾向と、単純に言い切るのは問題。不登校の状態は以前に比べて全体として軽度化しているが、学校復帰とならないケースが多くなっている。増加でなく、不登校になった子供への、根本的な効果的な対策がとられていないのだ。
■学校システムの問題(閉鎖的、管理的等)。今の学校、授業等に魅力がない。社会の問題(人間関係の希薄化、能力主義、学歴信仰、地域社会、家族構造の変化等)。
■「学校」の魅力が湧きにくい。価値感の押し付け、一方的断片的な生徒理解。教師側の一人の人間として生徒を信用する気持ちの薄さ。
■公教育が聖なるものでなくなったこと。子どもの大人への不信感⇒信頼、感謝できる大人との出会いのなさ。学校教育が『守り』先行している。
■全体の教師が、受身的なかかわりになりやすい。コンタクトが取れないとあきらめてしまう。一対一の関係を深めていく技が不足。保護者が学校に対して深い不信感を持っている。
■人生観、幸福感が個性化、多様化してきているにも関わらず、親や教師、その他大人が今までの固定観念から抜けきれず、これまでの人生観、幸福感を押しつける。あるいは、モデルになれない社会全体が、変革の過程にあり、模索中である。
■住民の転入居が多く、地域に根ざした教育(社会教育)が十分できていないのではないか。学校は楽しくない所なのではないか(兵庫県だけとは言えない?)。何を教育すべきか(学校教育社会において)が、明確ではないのではないか。
■学歴重視の社会のあり方。学校生活、日常生活におけるゆとりのなさ。家庭での親子・家族の情緒的な関わりの希薄さ。
■家庭、家族の変化=子供の変化(背景には社会の変化)。それなのに、教師は、伝統的方法から抜け出せていない。保護者は、教師に心を開けないし、教師は保護者に対して、必要以上に、バリケートをはっているように感じる。
■画一的な教育制度。一教師、一学校での抱え込み、教師間の能力格差の激しさ。価値感の多様性。(家庭を含む)
■人間関係の希薄さ(遊びや生活・地域社会の変化、情報化等)→これは生徒側だけではなく、一部の教師側にも言えること。親の価値観の多様化(競争社会・個性化、少子化による期待大など)。家庭内の不安定(社会不安による親の不安感、夫婦・親子関係の問題など)。
■少子化、生活環境の変化、塾などの利用率の高さなどを考慮すれば、教員一人に対し、生徒の数が多い。生徒が共感しやすい時間的にも動きがとれやすい、若い年代の教員の割合が低い。父母兄と学校との間で、信頼関係が相方揺らいでいる。
■学歴志向が強く、高校がランクづけされていること。生徒自身の社会性の発達の遅れ(対人関係のとり方が下手、自己表現能力の遅れ、経験不足)。いわゆる登校拒否というより、無気力型、怠学化傾向の不登校が増えているのではないか。
■「兵庫県を中心に」と言われると不明。
■幼少期の遊び体験。大人(親中心)の家庭生活。
■高校生の場合は幼児期からの、発達課題をはたさずに、非常に幼いところがある。発達上バランスの悪い生徒が、中学までは、なんとか保護されてきたのが、高校に入って、”高校生としての”役割を果たされた時に、挫折してしまう事例も結構あります。
■家庭・社会の問題。幼・小・中・高の教育、教師の問題。
■家庭の躾が「モノ」中心の甘やかした性質に変化している。学業成績中心主義の考え方が蔓延しつつある。本人の実力以上の成績を期待する親が増加している。
■「学校へ行くことがすべて」という価値観から「学校へ行くことはさまざまな選択肢のうちの1つにすぎない」との認識も定着しつつあること。高校に進学したものの「勉強をする意味がない」「働きたい」「友人関係がうまくいかない」「学校のレベルに合わない(ついていけない)」などから、長期欠席に陥り、休学、中退に至るケースも多いようです。世の中に充満する”閉塞感”が生徒さん達の現実にも息苦しさ(生き苦しさ)を与えているのでしょうか。
■養育機関として家庭が脆弱になりすぎている。(父母の自信のなさ、子ども理解の低さ) 脆弱な家庭で成育され、問題を抱えたあるいは内在した子どもを受け入れる学校、教師側の子ども観が一面的すぎる(現実よりはるかに遅れた旧来の子ども観をもっている)。子どものエネルギー、イライラを吸収する場が学校(部活)と暴走や非行といった両極面しかなく、学校がダメなら夜遊び(非行)やアルバイトしかないという社会の貧しさにもあるのではないか。
■高校の場合、やはり、自分の思っていた高校生活とは違うと思って、不登校になる子がいるように思います。中学校の成績での輪切りの問題のように思います。体験入学というようなものが必要ではないかと思います。
■子どもの心を育てる教育の不足(目の前の対処療法的対応)。家庭での誤ったとりあつかい(情報におどらされすぎている)。社会や学校現場での「不登校」という状態を容認しはじめたこと。
■地域・家庭での人間関係がうすく、人間関係の結び方を学習する機会が減ってきている。大人(教師も含めて)が社会から受けるストレスが高く、それをそのまま子どもにぶつける事が増えていて、自我成長途上の子どもにはこなし切れない。子どもの自我発達を超えた難しい問題・課題が、学校の中に多い(意識的、無意識的ともに)が、大人が気づいていない。
■情報の種類の多さ、量の多さに対する対応のまずさ。一般社会のしつけ観の変化。(形式にとらわれている部分が多くなってきているのではなかろうか)
■社会の仕組み。世紀末に対する必要以上の不安感情。教師、家庭間の連携不足。
■子ども自身の問題 @自分の好きな事はやるが、嫌いな事はしたくないというわがままルーズな性格の子の増加 A交友関係のつまずき、傷つきやすさが引きこもりを増加させている。 B欲求不満の子が、乱暴・いじめ・いじわるをするのが増加し、加害と被害に二極化していく方向にあるのではないか。家庭の保護能力、指導力の低下。親子の心の絆が細くなる一方で、その他の身近な大人への結びつきを求めているように思う。これからの教師は授業をすればいいというものではなく、ある意味では、家庭の父母的存在、その代役的な役割まで背負うような時代が来つつあると思う。
■環境の激変(震災・経済)の影響をうけて。社会と学校の規範のギャップ。
■(音楽会や水泳授業などの)すすめ方で、出来ばえなどを大人がきにするあまり子どもを見失っていることがあり、そういったことにつまずいている子どもを見ることがある。保護者がかたよった形で教育熱心で、塾や習い事におわれている子どもが多い(学区により、高校進学が大変という話しが小学校の父兄に広がり、過度に不安になっている保護者をみかける)。担任の先生方が忙しすぎ、個別的に児童に接することが困難なように思える。
■古い文化と新しい文化の混在地に多いように思う。不登校に対する理解度が低いことで不安と葛藤が大きい。
■家庭内が機能不全をおこしている。学校、家庭、社会の関係が希薄で協力していこうという姿勢にとぼしい。
■家庭の教育力の低下。学校、教師の在り方。理由などなく、時代及び発達成長的な必然として起こる。
■長期不登校生でも卒業できるから。登校しなければならないという観念が希薄化してきたから。登校しないことも個性だという兵庫県人の寛容さ、自由さ、だらしなさから。
■関係性を実感する感情の希薄さ。基本的な価値観の曖昧さ。時間軸のゆるみ。
■遊び、友人関係等で昇華できなくなっている。ハードなクラブ活動は異常。分からない授業。
■教職員の不登校についての誤った理解。教職員・保護者と専門機関・専門家の相互信頼が不確立。県の行政に経験至上主義や専門性を軽視する傾向があったのでは?
■学校ストレスの増加/その対処スキルのなさ。早期発見の低さ/早期対処スキルのなさ。幼・小・中の一貫した教育方針のなさ。
■日本社会の構造的な変化に起因する。社会の近代化以降のビジョンがない、など。つまり、増えていると考えるのではなくこのぐらいの数の学校不適応者がいることが日常であるという体制になれていないということ。
■乳幼児期にまでさかのぼって、現代の社会に中で子どもたちが生きていく環境とその子どもたちの関係の中で当然起こってくるもののように思う。家庭が家庭としてしっかり機能していない、など。


Y 不登校問題の改善のために、スクールカウンセラーが貢献できるとすれば、現状以上にスクールカウンセラーの条件としてどのようなことが必要だと考えますか。3つ程上げてください。

■学校全体で、SCがどういう存在であるかの認識を高める。SCの技術(見たて)を高める。2年という期間ではなく長く勤める。
■1/週〜2/週の対応では無理だと思う。学校と他の専門機関へのパイプ役になる必要がある。病院との連携も必要。
■配置人員(複数配置)。配置人数の増(少なくとも1/Wより増)。教師との連携。
■現状の週1回は少ない。日数の増加、複数配置、人員の増加。教師との連携。
■継続した母親カウンセリングに熟達すること。教師へのコンサルテーションをしっかりとできること。
■勤務時間を増やして、定期面接が可能になるようにする。面接ー治療の空間の整備。学校のあり方に対して意見を述べて受け入れるだけのカウンセラーの能力と位置付けが必要。
■地域の気風や地理に精通し、機動力をもつこと。学校風土を知っていること。
■子ども以外の人達(学校の先生、親)とも堂々とわたりあえること。2年間だけでなく、続けてやれたらいい。
■現状を見据えた上での、楽観ではない明朗さがあること。協調性があること。(自分の思いに捕らわれすぎず)強くそしてしなやかなバランスのとれた人間性。(以上、無いために苦労している)
■国の管轄下にあること。(都道府県別レベルにおとさない)仕事の保証。(勤務校は2年間であっても、仕事としての継続性の保障)ネットワークの強化、今回のような連絡会を確保する。
■学校全体を有機体としてとらえていく。校内の有効なネットワークの創造。(PTAも含む)一つ一つのケースを安定してこなしてゆける場、環境作り。
■学習不適応者への対応。不安な生徒への指導。養護の先生への補助的支援。
■SCの能力の向上(私も含めて)。常勤でなくてよいか。一週間に3,4回学校に勤務できることが大切。一週間一回では、学校の要望にこたえられない。
■社会、学校の中で市民権を得ること 試験的事業ではなく、学校システムの中に位置付けられること。学校内だけでなく、地域に根付いたサポート、協力体制を作っていくこと。スクールカウンセラー連絡会、研修会などの連携の重要性、各SCが各学校で孤軍奮闘するだけでなく、横のつながりを強化し、教育委員会が文部省等に提言ができるような組織作りを行う必要があるのでは?
■教師とは別の専門家として認めて、制約しないで動けるようにすること。教師とSCのお互いの専門性を大切にして協力し合うこと。
■学校の先生と同じ勤務内容。学校の先生達から信頼される人格。学校内でのスクールカウンセラーの位置付けの明確化。
■個人相談の世界にとどまらず、教師集団の中へ割り込んでいく姿勢が必要。但し、ある程度の心理的距離が取れないと、集団に飲み込まれて、批判できなくなってしまう危険もある。また、逆にボイコットされるかもしれない。
■派遣校にいる時間がもう少し必要。SCは不登校に関する幅広い予備知識が必要。SCは派遣される地域のことをよく知っていることが必要。
■SCの身分の保障。SCをする上で、必要と思われることについての研修と勉強。活動時間の拡大。
■2年間では短すぎる。もう少し、長いスタンスを持ちたい。時間帯に幅を持たせたい。
■自由なフィールドワーク。人件費などの経費の確保、身分保障。
■期間の延長(担当者の変更はやむを得ないとしても)。SCの配置の恒常化。
■配置される前に基本的な情報や研修をもつ。訪問、保健室、心の教育関係の先生方の連携のために、ある程度、職域、専門性の違いについての認識を互いに。身分が不安定であいまい。
■グループ指導について、教師と対等に考えることができる、理論の学習の体験が必要。学校訪問の回数を増やすこと。学年会に関っていくなど、校内組織との連携をすること。
■週2〜3回の勤務形態。SCの資質向上。SCの年令に関する考慮。
■現状の条件内でも十分に活動し、成果をあげていない面があり、現条件でさらなる努力が必要であろう。
■勤務日数の増加(常勤体制)、又は複数人員の配置。定期的な情報交換、研修の場。
■生徒の見たてと、生徒をとりまく両親、担任等を含めたアセスメントをきちんとすること。重症の事例が増えていると感じていますので、特に大事と思います。
■生徒の自己表現、自己確立、自己援助、自己成長を促すカウンセリング。
■カウンセラーの配置校の増加。カウンセラーの校内での位置づけの明確化。独立校方式の重点化。
■生徒さんとじっくり関われる時間や空間が必要。結果(成果ー再登校)を急がさないでほしい。不登校生の背景にあるもの(経済的なこと〜病理水準の深いものなど)は多様なので、SCの技量を磨く必要性も感じる。「見立て」「アセスメント」「どう対応するか」治療的なことも含めて病院ルートにのせることなど。
■学校というより1地区に配属される(小・中・高)ことで、問題を抱える子ども(家庭)を長期間支え、学校につなぐことができるのではないか。SC間の情報交換や関連機関との連携を仕事(出張)として保障してほしい。正規職員として採用され、転勤という形でいろいろな地域・学校を経験するなかでSCの資質がより専門的なものとして向上すると考えられる。
■学校のことを、直接的にでも、間接的にでも、知っている方が学校側とうまく行くように思います。(ex公立の教育センターのような場所で、一定期間働くとか。一応教員の免許は持っているとか)
■週1勤務から、週2か週3勤務(かおのみえるSCへ)。職員室の席にしても、空きスペースという安易な考え方でなく、問題を抱えた教師や職員全体を見渡せるような席を要求していくこと。一部の学校では、SCによる家庭訪問を喜ばない教師もいるようだが、積極的に、保護者や子どもと関わっていくこと。
■単独校方式、常勤で、教職員組織の中にきっちりと位置付けられること。学校で起こる数々の問題(特に危機介入的に関わる必要があるもの)に対して関わりが作れるような勤務時間数・形態が必要。学校組織や学校教育について、スクールカウンセラーがもっとよく知り、学ぶこと。
■同一校勤務年限がもっと長いほうが好ましい。2年間ではいかにも短い。小学校でのかかわりをもっと大事にしたい。
■2回/w位が望ましい。週1回では、生徒に対する積極的な介入が望めない。家族治療が少なすぎる。死者の出た家族にたいするケアが少なく、喪の作業が少なすぎるために、親のうつ的気分が子どもに伝わりすぎる。教師が自分の気持ちを正直に表現し、生徒の登校に対する責任感をもう少し明確にすれば、スクールカウンセラーも援助できる。
■自発的に来談するのはまれであるから、子どもとSCを結ぶ橋渡し役、尻押し役の教師の存在が大きい。養護教諭はその点理解があるが、一般的には温度差、学校差がみられ、十分ではない。SCは相談室で坐して待つという姿勢でいいのかと自問自答する。めったに来ないカウンセリング対象者のみを相手にしていればいいのか。もっと広く相談室の役割を拡充して多くの子どもが気安く出入りする方がいいのか、そのためには性格診断(中学校)、遊びの道具(小学校)など用意して積極的に利用してもらうのがいいのか。私自身は後者の方を実践しているが、個別の相談も少し増えたように思う。
■コンサルテーション、コーディネートの技術。
■勤務時間を増やすこと。スクールカウンセラーだけでなく、ケースの受け皿として機能できる相談機関の充実と、組織化の必要性を感じる。
■時間がもっとほしい。不登校及びスクールカウンセラーの啓蒙。
■時間を増やす。現在中学校の単独配置ですが、校区内の小学校に関わっていきたい。義務教育の9年間を1つの単位としてみていく体制が必要。
■もう少し時間の余裕がほしい。プレイ用の用具を買える予算枠が必要。
■様々な指導技法に精通していること。授業中でもカウンセリングが可能である。不登校予備軍を事前に発見し、指導できること。
■あらゆる面での見立ての実力。
■1週間に1日はSCが勤務している体制づくり。SCの横の連携。精神科医の嘱託。
■配置年限の延長(2年では後半1年の対応が中途半端)。教師に対して、SCの機能の講習を徹底していただきたい。
■スクールカウンセラーの常勤化。(全日勤務で2〜3日/週ぐらい)学校の中でのSCの立場を制度的に明確にする。その上で、物理的条件として相談室の整備。
■学校と教師との連携、信頼関係をとれること。関係機関と連絡をとりあえること。保護者と面談する時間や機会を十分にとれること。


Z 「スクールカウンセラーと不登校」やその他の問題に関し、自由なご意見をいただけましたら幸いです。

■SCの集いの中でいつも思うことは、アピールすることも大事ですが、どこかメサイヤコンプレックスを感じさせるものがたくさんあります。SCの技術や心がまえなどを高めることはすごく大切だと思います。
■私の力不足もあり、不登校生を何人かもっているが、なかなか改善されないので、その難しさを痛感している。
■継続ケースの増に伴う対応をどうするか。配置終了後のケースへの対応をどうするか。
■継続ケースが増えている。配置校終了後どうするか。
■一般に不登校の解決には時間が必要と思いますが、先生方が地道に安定してかかわり続けることの意味があまり評価されてないのではないかというように見え、心配です。
■SCの配置は機械的でなく、受け入れの教育委員会や学校に充分受け入れ態勢を整えてからすること。受け入れしにくい学校にSCを配置すると個人のSCだけでなくSCの存在意義まで否定されそう。
■「不登校」は何がきっかけで改善するかわからない。きっかけの一つにスクールカウンセラーもある、ぐらいに考えておいたほうがいいと思うのですが。
■基本は「不登校の一人の生徒のために何ができるか」と考えるが、そうすると、担任のクラス、学校全体、の問題へと関心が広がり、力量も無く、「週一回の出校で何ができるか」と無力感を覚える日々です。
■不登校は、家族にとっても生き方を問うサインのように感じます。学校にもどることだけを解決の目標としないことに、関係者の理解が得られたならと期待しています。
■不登校に対する学校の体制の不一致。職員個々の価値観により切り捨てる方向を持ち不登校を親のせい子供のせいで回避する傾向にある職員にかかわる不登校生の改善。又不登校に至らずとも良い者が、不登校に陥っていたりするところへのかかわりに苦労しています。
■根本的には家庭における父親・母親の問題があると思うので、小グループによる指導を必要とする。
■スクールカウンセラー連絡会、研修会などの連携の重要性、各SCが各学校で孤軍奮闘するだけでなく、横のつながりを強化し、教育委員会が文部省等に提言ができるような組織作りを行う必要があるのでは?
■学校の中に入れば入るほど、心の病んだ子に出会うことが多く、心が痛みます。
■2年では思い切った教師集団へのかかわりはできにくい。1年目は、カウンセラーの係りとの連携を大切に考え、ケースがスムーズになるような努力がいる。学校のようすが分かってきて、教師集団への「かかわり」を深めて動き出していっても、次の1年では成果は思うようにあげられない。学校側は即決の成果を求める傾向が強い。
■SCは@担任と生徒A親と子B担任と親C担任と他の教師(管理職や養教を含む)等とのつなぎ役になり、関係改善や相互理解に果たす役割も大きい。日頃から柔軟な姿勢で、それぞれとの信頼関係を築けるように自分自身も成長させていかねばと常に心がけている。
■個人個人の裁量に任されている領域が多すぎる印象があります。かかわり方、面接室の整備等、やりがいもあるのでしょうが、目に見えにくい荷の重さを感じています。
■@教師は多忙すぎて、生徒にていねいに関ることができにくいのではないか(時間的にも、気持ちの面でもゆとりがない為)。A側からみていると、生徒に対し、一方的な注意、叱責の多いプライドを傷つける叱り方をする先生がおり、生徒を一人の人間として尊重していない関り方に接すると悲しくなる。(他校で)
■SCの横の連携が非常に希薄だと思います。(特に少人数配置の地域)研修の場を定期的に設けていただければと希望しています。
■難しいこととは思いますが、授業中にも、生徒が必要と感じた時に、カウンセリングルーム(カウンセラー)を利用できるようになればいいとお思います。
■教職員の中からカウンセラーに適する人材を選抜し、当分臨床心理士のスーパービジョンを受けさせ次第に実力を強化しつつ、能力開発を試みる。(時間はかかるが止むを得ない)その中で能力ある者には人事面で優遇策を図る。例えば養護教諭等のなかにはそういう人もいるかと期待しうる。但しこれには、臨床心理士の強力な推薦が不可欠であろう。
■不登校生の御家庭への家庭訪問や受験ストレス軽減のために生徒さん達と一緒にリラクゼーションをしたりとSCの活動に校長先生はじめ諸先生方(養護教諭が絶妙なるコーディネイトをしてくださっています)が、大変協力的で感謝していいます。
■心理士としての知識や感性が、現場の教師・生徒・保護者に役立っている実感があり少しずつでも授業をうけもったり、PTAの講座をしたり等、学校に受け入れられていくなかで、自分のできること、役割が見えてきて、充実感を感じています。できることなら自分メインの仕事にしていきたいし、やっていく自信も持てるようなってきましたが、生活を支える仕事としての条件が満たされていないのが残念です。
■学校側の相談システムがはっきりしているので、働きやすいと思います。又、精神科医とも、学校側が、電話で相談できるシステムになっているので、安心して、その子どもと会っていくことができました。年1回でも、精神科の先生とのケース研究などあればうれしいですが。(もちろん、思春期の事例を多く扱っている精神科医の)
■問題がおこったときの対処法としてのSCも大切だが、もっと、子どもの心を育み強くするような(心の教育や専門的な)SC活動も必要と感じる保護者(中間層や大きな問題を抱えていない)とも連携をとっていくこと。
■スクールカウンセラーは、健康な子どもの発達段階や発達課題についての知識や、幼児から思春期までの発達の見通しを見立てる力が必要に思われます。そのあたりはルーム臨床や病院臨床と異なる特徴のように思いますので、そのような研修も必要でないでしょうか?
■SCが何だか対処療法的な活動の場になっているような気がする。
■スクールカウンセラーの目を通してみる問題行動と教師たちの目を通してみる生徒たちの問題行動の差が大きい。そのために問題行動を理解するのに時間がかかりすぎる。家族療法について知識のないのも、問題解決を遅らせる感じがする。
■スクールカウンセラーは孤独な存在です。他のSCがどんな活動をしておられるのか、どんな知恵を出しておられるのかをもっと知りたいです。その意味で、このようなアンケート調査の結果を配布してもらうのはありがたいです。昨年度分も大いに役に立ちました。
■登校しぶり現象がみられる初期の援助は、深刻化を予防できるのでは… そのためにカウンセラーは、1回目で勝負する覚悟が必要。不登校生徒にも(教師を中心に)チームで支えると援助が長く続けられるのでは。
■子ども達への対応はもちろんですが、学校現場の教師をどう支えていくかがとても重要な役目だと感じています。教師間のストレスへの対応をも含んで活動すべきと痛感しています。
■半年以上不登校状況にあれば(治療機関にも通わない)進級、卒業させない。教師にカウンセリング実習やいじめ不登校研修を20時間以上受けさせる。強迫神経症的不登校にはやまびこの郷は有効だが、無気力型不登校生には戒律の厳しい None Free Schoolが必要。
■発達的に未熟な生徒が増加し、むしろ、かつてなら不登校となっていた状態でも登校している現実が出てきたように思う。
■継続していくことが大事。不登校生の生活する環境にも問題。
■校区によって、児童・生徒の背景に大きな差があり、学校ごとに抱える問題の根深さに差がありすぎる。教師もおそらくそうでしょうが、SCとして配置された学校・校区により要求される労働の較差に悲鳴をあげている。
■利用可能な専門機関のリストを配布していただきたい。スクールアドバイザーとして訪問した際、スクールカウンセラーの利用について知らないケースが多いので、情報提供を徹底していただきたい。
■予防的な観点からみて、不登校になる前の身体的傾向や行動的傾向を示す子供たちと関わることが必要。極論すれば、起こってしまった不登校は教師にまかせればよいと思う。


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