あとがき
序論にもふれているように、本県の教育は「心の教育」をキーワードとして大きく前進しようとしている。さまざまな取組がなされているが、学校教育の根幹は日々の授業に有ると言ってよい。
 本小冊子は、具体的な日々の特別活動やホームルーム、あるいは朝の学活(ショート・ホーム・ルーム)において、「心の教育」をどう実践していくかを、試行的に模索した足跡である。
 もとより、特別活動やホームルームは、その目標に基づいて年間計画に沿って行われるものである。今後、本小冊子に掲載された取組を参考に、年度当初から、教育目標が「心の教育」の観点から見直され、学校において「心の教育」の具体的な取組が一層充実する一助となれば幸いである。
 そのためにも、本小冊子における取組はただ単なる事例報告に留まらず、授業の事前事後の児童生徒の「心」の変化をできるかぎり客観的に表せるように努めた。そのために、心理学的テストや質問紙を用い、分析手法として統計的な処理をも行った。普段の教育活動にはなじみにくい用語や数字があるために、読みづらいという感想を持たれる方もおられるとは思うが、このような実証的な変化や効果をもとに「心の教育」を論じていかなければ、ややもすると恣意的な実践に押し流されてしまうことを危惧するのである。
 「心の教育総合センター」は、大学の研究活動と学校の教育活動の融合する場として設立され、より幅広い観点から心の教育の方向性を見いだしていく役割を担っている。今後もこのような実証的な開発研究を積み重ねていきたい。
 昨年4月、県立教育研修所内に「心の教育総合センター」が開設され、平成10年度の具体的な取組が検討された。限られた人員と予算の中で「まず、『心の教育』として何が必要か」の論議と「どこまでできるのか」の論議の中で、心の教育の授業開発研究と実践研究は、さまざまな取組のなかでも、センターの中心的な取組となった。
 小・中・高等学校の現職教員9名の推薦を受け、「心の教育開発研究委員会」が発足したのが昨年6月であった。以降委員会は5回の会議を重ねたが、その間教員委員のみなさんには、学校での校務を果たしながら、教案を開発し、さらに効果測定のための心理学的テストや質問紙を検討、実際の授業実践を経て、原稿をまとめていただいた。並大抵の仕事ではなかったと思われる。9名の教員委員のみなさんに感謝の意を表すと共に、ご高配を賜った所属学校の校長先生、また所属教育委員会のみなさまに心からお礼を申し上げたい。
 また「心の教育開発研究委員会」にカウンセラー委員として出席いただき、適切な指導・助言をいただいた「ひょうごっ子悩み相談センター」のカウンセラー、中内みささんと宮野素子さんに、心からの感謝を伝え、本小冊子のあとがきとしたい。
                                               平成11年3月末日
          県立教育研修所心の教育総合センター「心の教育開発研究委員会」事務局
                                          主任指導主事  古田猛志
                                             指導主事  小林 宏

「心の教育授業実践研究(第1号)」

発行日:1999年3月31日

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