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県西随想 ~県西歴史物語~


県西山岳部OB会

先日、週末の仁川で、県西の校歌が高らかに響いた。毎年恒例の県西の山岳部のOB会が開催され、ご招待いただいたので初めて参加し、母校の最近についてお話した。 創部58年という山岳部は、県西でも伝統のあるクラブ。明るく、さわやかな集まりで楽しいひとときとなった。元山男・山ガールの皆さんの多士済々のこと。今も現役で登山を続けている人。信州に山小屋を持ち、県西OBで共同管理している人。遠く県外から参加された方もいて、約40名のにぎやかなOB会であった。今年4月のネパールの大地震に登山中の現地で遭遇された方の撮影画像の報告もあった。アフリカの映像も紹介された。マレーシアのボルネオで4年間お仕事をされていたOBの、手作り激辛カレーも賞味させていただいた。県西の卒業生はグローバルな活動をしている。若い日々の山上での記念撮影の白黒写真もスクリーンに披露され、アコーディオ ンの演奏で県西山岳部の部歌の合唱もあった。
 このように、県西で青春を過ごした様々なクラブや同好会のメンバーの、人と人とのつながりが今でも各地で続いている。そしてその場所から新たな出会いや発見もある。この日は、たとえば、講堂・食堂の横のメタセコイアを約半世紀前に自分が植えたというOBの方のお話も聞けた。小さな苗木はぐんぐん成長し、今では見上げるほどの大木になって生徒たちを見守っている。この山岳部OB会では、「くさぶえ」という歌集を持参している方もいた。かつて県西に入学するとこの歌集が配られ、歌声の活動があった。県西の応援歌「山海萬里」の熱唱もあった。個人で耳にあてた機械から音を楽しむ今の高校生は、いつまでも皆と歌える歌をいくつ知っているのだろう。
 ちなみに県西の応援歌「山海萬里」は創立80周年記念の県西歌集のCDにも収録されており、作詞不詳、作曲は明治学生歌とある。今回のOB会で、この歌のメロディは明治時代の歌「ワシントン」から来ているとの指摘があった。「ワシントン」といえば作詞は不明だが、作曲は東京音楽学校出身の北村季晴。青森師範学校や長野師範学校で教え、長野では県歌「信濃の国」を作った。長唄など邦楽を五線譜に採譜した音楽家としても知られている。彼の作ったオペラである、桃太郎をテーマにしたおとぎ歌劇「どんぶらこ」は、宝塚少女歌劇の第1回の演目となる。
 山岳部はかつてリュックに重い石を入れ、玄関前のロータリーをぐるぐる歩く練習をしていた。質実剛健そのもののクラブであった。そのクラブは今はない。OBの方々の復活への思いを感じた。神戸阪神間は六甲山を背山とし、神戸外国人居留地のイギリス人などの活動の影響も受けて、戦前から登山やハイキングの市民の活動が盛んである。芦屋ロックガーデンの名付け親であるRCCの藤木九三や、単独行の加藤文太郎をはじめ著名な登山家も多く、県西をはじめ戦前から誕生していたような伝統ある学校の登山部の歴史は、このアルピニズムの延長線上に連綿と続いてきた。また、来年も県西山岳部の歌と校歌をアコーディオンの伴奏で歌いたい。 2015年執筆(石戸信也)

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